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本の傷みが気になるから、上から2冊目を買ってしまう

私は少し神経質なところがあって、本の傷みが気になってしまう。
本を買うときは上から2冊目をとるし、アマゾンで中古の本を買うときは状態が「非常に良い」ものを選ぶ。
傷んでいる本を買ってしまったときは、その傷が気になって読書に集中できなくなる。

ここまでくると、強迫観念のようなもので、自分でもしんどくなってくる。
買い物のときはきれいなものを選ぼうと時間と労力がかかるし、傷のせいで読書に集中できなくなってしまっては、なんのために本を買ったのかわからない。
そんな私が憧れるのが、本の傷みをあまり気にしない人である。

本の傷みを気にしない人は、本屋でも一番上の本をパッと取って、すぐにレジに向かう。
私はその躊躇のなさに、江戸っ子に通ずる粋のようなものを覚える。
あんなふうに買い物ができれば、さぞや気持ちのいいことだろうと思う。
ただ、書店員になってから、そうはいってられない出来事に出くわすようになった。
レジ業務をしていたある日、お客さんが持ってきた本をレジで読み込もうとしても読み込めない。
戸惑って表紙を確認すると、「見本」と書かれた赤いシールが貼ってある。
ようするに、お客さんが売り場に置いてあった見本用の本を持ってきてしまったのだ。

しかも、これは一度や二度のことではない。
私はもう何十回も経験していて、頻度でいうと一週間に一回はくだらない。
そのたびにレジを出て売り場を往復し、見本品と同じ本を探して取ってこなければいけない。
こうなってくると、「本の状態を気にせず、パッとレジに持ってこられるなんてうらやましい」という気持ちよりも、「さすがにもう少しちゃんと確認してくれよ・・・」という気持ちが大きくなってしまう。

過ぎたるは及ばざるがごとし。
本の傷みを気にしすぎるのもいけないが、気にしなさすぎるのもよくないのかもしれない。
本屋では、上から2冊目の本を選んで、傷があるかないかちょっとクヨクヨするくらいがちょうどいいのかもしれない。

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