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割安な銀行6社を一挙分析!(三井住友、りそな、福岡、武蔵野、フィデア、富山第一) 割安株の探し方 vol.40

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 株まとめ@元証券マンと言います。

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 これまでの株価分析記事の一覧はこちらです。

 本シリーズの記事が今回で40記事となりました。
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 vol.32の記事で、2019年12月6日の株価により、以下の基準で銘柄スクリーニングを行いました。

(1)東証一部上場
(2)予想PERが8倍以下 
   ※8倍以下の理由はこちら
(3)実績PBRが1倍以下 
   
※1倍以下の理由はこちら
(4)配当利回りが4%以上 
   ※配当利回りの注意点はこちら
(5)1単元が100万円以内


 その結果、13業種35社が抽出されました。

 今回の記事では、その中で卸売業の次に一業種当たりの抽出数が多かった、銀行業の銘柄について見ていきたいと思います。





①銀行業セクターの概要

 銀行業セクターには、メガバンクから地方銀行まで、大小様々な銀行株が軒を連ねます。

 銀行は商社と異なり一般消費者とも密接に関わる業種なので、馴染み深いのではないでしょうか。

 特に、三菱UFJ、SMBC、みずほのメガバンク3行は「赤・緑・青」と色で表現されることもあり、特に知名度も高いと言えるでしょう。

 メガバンク3行にりそな銀行と埼玉りそな銀行を加えた5つの銀行を「都市銀行」と呼び、その他の地域密着型の銀行は「地方銀行」と呼ばれます。
※あおぞら銀行のようにどちらにも属さない銀行もあります。

 銀行の3大業務は「預金」「貸出」「為替」ですが、これらの機能は基本的に都市銀行も地方銀行も大差ありません。



 ちなみに、銀行業の時価総額上位3社は以下のようになっています。
(2019年12月18日終値時点)

(1)三菱UFJフィナンシャルグループ:8兆1,897億円 PER 8.5倍、PBR 0.45倍
(2)三井住友フィナンシャルグループ:5兆6,492億円 PER 8.0倍、PBR 0.51倍
(3)みずほフィナンシャルグループ:4兆3,345億円 PER 9.2倍、PBR 0.48倍

 ※2019年11月末、銀行業平均:PER 8.2倍、PBR 0.3倍
 ※2019年11月末、東証一部平均:PER 17.4倍、PBR 1.2倍


 上位3社は、メガバンクと呼ばれる3社ですね。

 銀行業平均自体が、東証一部平均より大幅に低くなっています。(なぜ低いのかは後ほど説明いたします。)

 その中では、メガバンク3行は(特に)PBRは平均より高いですね。


 では次に、具体的な割安銘柄について見ていきましょう。




②スクリーニングにより抽出された銀行業の割安銘柄は?

 vol.32の記事(2019年12月6日付)でスクリーニングを行った結果、以下の銀行株が抽出されました。

※時価総額は2019年12月18日時点の終値です。


(8316)三井住友フィナンシャルグループ 5兆6,492億円 

(8308)りそなホールディングス 1兆1,411億円 


――――――――――――――時価総額1兆円の壁


(8354)ふくおかフィナンシャルグループ 4,101億円 

(8336)武蔵野銀行 657億円 ※埼玉の地銀

(8713)フィデアホールディングス 248億円 ※山形の荘内銀と秋田の北都銀が統合

(7184)富山第一銀行 236億円 


 時価総額のバラつきがかなりありますね。

 銀行セクター全体としては、時価総額上位3社(メガバンク)がずば抜けていて、1,000億円以下の地銀がかなり多いです。

 銀行業で上場している企業は、全て東証一部に所属しており、東証二部やマザーズなどの新興市場に上場している銀行はありません。





 

③各銘柄の業績及び配当推移は?

 それでは、各銘柄の一株あたり利益及び配当金の推移を見ていきましょう。


(8316)三井住友FG一株利益は横ばい、増配継続

(8308)りそなHD一株利益は18.3期が頭1つ抜けてその他は横ばい、増配継続

(8354)ふくおかFG一株利益は波が激しい、増配継続

(8336)武蔵野銀行一株利益はやや右肩下がり、配当横ばい

(8713)フィデアHD一株利益右肩下がり、配当横ばい

(7184)富山第一銀行一株利益はやや右肩下がり、配当横ばい


 見て頂けるとわかるかと思いますが、時価総額が高い企業ほど業績と配当が右肩上がりで、低い企業ほど横ばいの傾向があります。

 にもかかわらず、これらの銘柄はスクリーニングの結果、等しく割安銘柄として抽出されているという事実は面白いですね。


 それではなぜ、これらの銀行株は割安のまま放置されているのでしょうか。




④なぜ銀行株の投資指標(PER)は割安なのか?

 それでは次に銀行株のPERが割安な理由を見ていきましょう。


 簡潔に述べると、「収益力が落ちているから」という点に尽きます。

 正確には、今後、今以上に収益力が落ちていくと見られているということです。


 収益力が落ちている理由は大きく3つあります。

(理由1)日銀の低金利政策などの金融緩和

 金融緩和とは経済成長を促す政策の1つです。

 具体的政策は公定歩合操作や公開市場操作などになりますが、簡単に言えば、日銀が金利を下げることで、企業の設備投資や個人の消費を促進させる効果を狙うものです。

 アベノミクスの3本の矢のうちの1つですね。

 実際に大胆な金融緩和により株価は上昇しましたが、一方で日本の市場金利は非常に低い水準を維持したまま今日に至ります。
(例えば個人向け国債の固定5年の利回りでは、驚くべきことにわずか0.05%です)

 銀行の3大業務のうちの「貸出」については、利用者の預金と貸出金利との金利の差(利ざや)により利益を上げるビジネスモデルですが、この長引く低金利により利ざやを取るのが難しくなっています


(理由2)貸出先の減少

 特に国内では設備投資なども一服し、貸出先が少なくなっているという事情もあります。

 実際、不適切な融資の事例としてスルガ銀行のカボチャの馬車事件なども記憶に新しいですね。
参考『「かぼちゃの馬車」事件の実態』

 景気の波が激しい現代においては健全な経営が不可欠であり、株主に対して借金の少なさ(自己資本比率の高さ)をアピールする上場企業も多く、企業は不要な借り入れはできるだけ避けたいと考えています。

 ただでさえ利ざやが取れない上に、数をこなすことも難しくなっているのが銀行の貸出事業の現状と言えます。


(理由3)キャッシュレス・仮想通貨の普及による為替業務の需要低下

 一昔前までは現金以外でお金のやり取りをしたければ、銀行振込や手形しかありませんでした。

 しかし、現代ではLINE pay やpaypayなどの決済サービスではユーザー間の送金が手軽に行えます。

 そうなると、銀行の3大業務の1つ為替業務の需要が低下しますね。

 またビットコインなど仮想通貨も今以上にインフラが整えば、銀行にとっては脅威になるでしょう。


 その他PERの注意点などの詳細については、過去記事をご覧ください。




⑤なぜ銀行株の投資指標は割安なのか?(PBR) 

 それでは次に、銀行株のPBRが割安な理由について見ていきましょう。


 簡潔に述べると「現状の純資産額が当てにならない」ということが原因と言えます。

 純資産は【総資産−負債】で計算されますが、銀行の資産の結構な割合を占めるのが貸付金(融資残高)です。

 例えば三井住友FGですと、総資産の37%をこの貸付金が占めます


 PBRが1倍を割っている状態は、会社の清算価値よりも株価が低いので割安というロジックなわけですが、銀行が清算するような経済状況になった場合、資産に計上されている貸付金はほとんど貸し倒れていると考えられます。

 つまり、清算時には今表面的に見えているような資産(純資産)はなくなると考えられるため、株価は上がらずにPBRも1倍を割ってしまっています。

 

 一般的な業種であれば、多少なりとも現金化できる固定資産なども持っているでしょうが、銀行の場合現金化できる資産の比率が極端に少ないと言えます。

 こういった要因から、銀行は経常的に割安なPBRとなっています。


 その他PBRの注意点などの詳細については、過去記事をご覧ください。





⑥買い検討可能な銀行株はあるか?

 ここまで、銀行株が割安になっている理由について見てきました。

 その上で、投資対象となり得る銘柄は(8316)三井住友FGのみだと考えます。


 理由としては、一株利益及び配当が唯一堅調に右肩上がりになっており、かつメガバンクであり圧倒的な規模を誇るためです。

 前述の通り割安である理由はありますが、日経全体が上昇している今、大企業の中では数少ない割安銘柄だと思いますので、さらに詳細を見ていきたいと思います。




⑦まとめ

 今回は、銀行株について見てきました。

 PER・PBRに関して、それぞれ割安の理由がありましたね。

 次回の記事では、メガバンクの1つ、(8316)三井住友FGについて詳細を見ていきたいと思います。

 次回もよろしくお願いします。




 本記事の内容がよかったら、これまでの記事もぜひご覧ください。

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