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緊張感と優美さ「パネル割」

「パネル割」とはコンクリート打ち放し仕上げの時に型枠に使用する黄色のパネコート板の割付のことを指します。コンクリート打ち放しの仕上げの「ライン」となって現れるので重要な要素の一つです。

緊張感と優美さ

パネル割は「躯体図」というコンクリートの躯体の詳細図面から考えていき、「ピーコン」と呼ばれる型枠の板同士を結び固定するものの位置とともに考えていきます。このピーコンの跡は打ち放しの時に表面に「孔」となって現れるので非常に重要です。

3×6版(90㎝×180㎝)のパネル横使いの場合、建物の壁の高さにもよりますが1枚につきピーコンは2コ×3列の6コまたは2コ×4列の8コを使用します。このピーコンの数が多い方が構造としては安定します。コンクリートの比重は2.4程度で、水の2倍以上あるので、打設時にはかなりの荷重が型枠にかかります。特に壁の下側の方は上部のコンクリートの重みを受けるので耐力が必要になります。ピーコンを多く使用するとコンクリート打設時に型枠が安定して、壁の垂直、水平のラインが出て、出来上がった時に建築全体として凛々(りり)しいものとなります。

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このピーコンの数と位置については型枠大工と相談しながら決めていきます。施工前に概ね決めていきますが、実際現場に入ってから、決定するところも多くあります。仕上がった時に床などがくる場合はわざとピーコンの位置をずらして仕上げで見えなくすることもよくあります。逆に仕上げとしてピーコンを見せたい場合は「ステピーコン」と言って構造には関係ないのですが、意匠としてわざと型枠に取り付けておいて仕上げに現れるようにすることもあります。

ピーコンの数を少なくしていくと、打設の時にかかる荷重により型枠が崩壊するリスクがあり、実際にピーコン跡を仕上げに見せたくないために取り付けず、打設時にコンクリートの圧で型枠が膨らんでしまうこともあります。

コンクリート打ち放しの場合、パネコートの板1枚に対してピーコンを2コ×3列にした場合、実際は仕上がり面が微細に膨らんでいます。打設時のコンクリートの圧により型枠板が僅かに曲がるためです。この時の曲面は僅かですが施工しているとよく分かります。また、完成してからもコンクリートの表面に光が射した時に壁面の湾曲として感じることができます。

この僅かな曲面に施工の時の緊張感と完成してからの美しさを感じることができると思っています。

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可能性

コンクリートの型枠に使用する黄色のパネコートの裏側には「桟木」を取り付け、準備をしておいてから現場で建て込みます。この時にパネコートと桟木を固定するのに「釘」を使用します。コンクリート打ち放し仕上げの場合実際はこの「釘」の跡が仕上げとなって現れています。釘頭は実際には直径5㎜程度で、仕上がりを見た時に遠目からでは分かりませんが近くで見るとよく分かります。この釘の位置を設定し施工するのには手間と時間がかかり私も実際の建築では一部でしか行ったことがありません。いつかは施工してみたいと思っています。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

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