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日銀保有のETFを労働者に配ることの効果と提言

日本の経済政策としての提案です。
「政府が日銀の保有しているETF(上場投資信託)を労働者に配ること。」を提言します。

ETFとは、特定の指数、例えば日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)等の動きに連動する運用成果をめざし、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託です。

現在、お札を発行している日本銀行は「資産価格のプレミアムへの働き掛け」として株価の対策にETFを購入をしています。
日銀は累計で約50兆円の日本の株(ETF)を保有しています。

このETFを一旦、政府が買い取り、その後、経済対策として、NISAやイデコなどの仕組みで労働者に渡すことを政府は取り組むべきです。
これは日本にとってただの経済政策ではなく、将来、必ず必要となる政策です。

理由1 賃金上昇を継続的なものにするため、高齢者負担増と高齢者から労働者へ資産移転が必要。

現在、岸田政権は賃上げを押し進めようと、税制などを使って、企業の内部留保を吐き出させようと企業に働きかけています。働く人々にとって賃金が上がるのは良いことですが、賃金の「継続的」な上昇と内需拡大、経済の好循環が生まれなければ意味がありません。果たしてこれは可能なのでしょうか?答えを言うと、このまま政府が賃上げを促しても内需は拡大しませんし、賃上げも継続されません。
まず、賃上げが企業全体に波及しません。
上場企業の利益水準はトレンドからすると過去最高の水準であり、賃上げしようと思えばできます。内部留保を多く持っていることも事実です。一方、日本の労働者はどこで働いているかというと、上場企業の様な大企業で働いている人と中小企業で働いているの割合は、大企業3割と中小企業7割となっています。7割は中小企業で働いていて、うち7割が赤字。大企業は賃上げしたとして、はたして中小企業は追随できるのでしょうか?
中小企業の生産性が上がらなければ、全体の賃金は上がりません。それは当然、利益が増えていかないと賃上げはできないとできないことと同義です。
消費量が増える。かつ、もしくは生産性の低い企業が整理されないと中小企業の生産性は上がらないのです。
GDPは個人消費の割合が52%を占めます。
残り21%が政府消費。
16%が設備投資。
6%が公共投資。
中小企業の売り上げの多くは当然、最終消費者である個人消費が上がることによって上がります。もしくは輸出です。
設備投資は輸出だろうが、国内向けだろうが最終消費者のために設備投資をするのですから、売れないことには話になりません。よくこのことを無視したことをいう評論家もいますが、日本企業全体の売り上げが上がっていかないと賃金は上がらないのです。
また、内需を拡大しようとしても、消費者が不在です。どういうことか?
消費は喚起するもの。魅力的なものを作り、売れる商品を作らなければならない。その通りです。それが経済を発展させます。でも、冷静に考えてください。消費者はだれなのか??
日本の人口は1億2500万人
日本の労働人口は約6800万人。非労働人口が5700万人。
消費者はだれなのか大まかに考えると労働者と高齢者が6:4くらいの割合になるのではないかと思います。
大雑把に言うと消費者の内訳は 資産を持つ保守的な高齢者 と 資産と賃金の低い労働者 の構図なのです。これは日本では60歳以上が7割の個人金融資産を保有していることからも、この構図が想像できます。資産を持つ高齢者は、年金がそうそう上がることもありませんし、基本的に消費にリスクを取ることを嫌います。それでも資産を取り崩してまで消費したいと思うものを作れるか?そんなことができるでしょうか?おそらく健康食品などの限られたものでしょう。では、イノベーションが起きて例えばiPhoneのような売れる商品ができたとします。そのような最先端な商品を誰が買うか?たぶん買うのは資産のあまりない労働者です。労働者は今お金がないので家計に負債つまり借金を抱えて買わなければなりません。現に携帯電話の購入などはローンを組む人も多い。同じような購買行動を行えば消費は増えます。ほかにはリボ払い、ツケ払い消費です。これは持続可能なのでしょうか?
GDPの個人消費の割合は約5割を占めます。現状、持続的に個人消費を増やすには、高齢者が資産を取り崩すか、労働者が家計負債(借金)を増やすしか方法はないのです。
 そして、多少消費が上向いたとしても、国内で付加価値創造の連鎖が続く前に、非常に負担の大きい社会保障費に吸収されてしまい、賃上げまでに至りません。
 また、賃上げを先に促すと設備投資は増えません。国内で売れないなら、海外で売ればいい。と考える方がいると思います。そのための設備投資を増やせば確かに雇用も増えます。労働市場が引き締まり、賃金上昇になるかも知れません。しかし、国際的に展開している企業はリスク管理をしながら事業を行わなければなりません。サプライチェーンの分散化と労働力の確保のために現地化を進めています。人口減少と高齢化が進む日本に生産拠点をおくことも一種のリスクです。ましてや賃上げを先にやってしまうと、企業にとってコストの高いところでわざわざ生産することになります。これは企業にとって無意味です。今のままでは政府が賃上げを促しても内需は拡大しませんし、例え賃上げが一瞬実現したとしても継続しません。むしろこのまま大企業だけ賃上げを行った場合、格差を拡大させ、階層社会となってしまう恐れがあります。
解決するためには、資産を多く保有している高齢者の負担を相応に増やし、労働者世帯の負担を減らして、使えるお金の量を増やさなければ、社会全体に回るお金の量は増えていきません。
つまり、日本の企業全体の売り上げが増えていかない限り賃上げの継続は不可能なのです。
高齢者から労働者への資産移転。これが絶対に必要です。そのために、日銀が保有しているETFを労働者に配る必要があるのです。ETFを保有させることによって投資のすそ野も広がり、資産効果をもたらすことができると予想されます。
現在はシルバー民主主義。高齢者の社会保障の大きな削減は難しい状況となっていますが、ETFの保有と投資の波及は相対的に現金を減価させていきます。表現は悪いですが、高齢者はこの政策について多くの人が理解ができないかも知れません。反対も起きないでしょう。
ただ、株価は上がる可能性があるので年金(GPIF)への安心感は広がります。

理由2 日本の資産構成を変えなければならない。

理由1と似たようなことですが、労働者はお金を貰っても貯蓄に回す人が大半です。もしくは住宅ローンの返済。株なんて買わない人、買えない人が大半です。
2022年、日本の個人金融資産は2000兆円。60歳以上の割合は70%に及ぶ
1400兆円。認知症の方の全く動かない資産が200兆円と言われます。
労働者は社会保険料を給与から引かれていますが、日本全体としては年金として配られた後に貯蓄になってしまっているのです。個人金融資産の増え方を見て、労働者の資産が多く増えればいいのですが、高齢者の現預金がたまっていっているのが現実です。これではお金が回らないのが当然です。
国内にお金が回らないということは、当然売り上げは上がっていきませんし、給与も上がっていきません。
もう一度整理すると、個人金融資産のほとんどを持っている高齢者の資産は動かない。
企業は縮む内需に設備投資をしようと思いませんし、賃金を上げようとしないので、さらに国内でお金が回らない。
年金や会社を支えているのは現役の労働世代なのに、日本銀行が株式を買う政策の恩恵は労働者にいきません。(年金はありますが。)
昔は人口も増え、売り上げや給料も上がっていくし、銀行にお金を預けておくと、金利が高かったので今の高齢者にあたる人たちの資産は勝手に増えて行きました。「銀行に10年くらい預けておくと、倍になった」なんて話がありましたが、今の労働者は会社の売り上げも増えないし、給料はなかなか上がらない。銀行に預けても金利はつかず資産も増えない。株式も持ってないから、株が上がっても自分には関係ない。という状況。資産効果が労働者にないのです。
今は、発行された国債費が回り回って個人金融資産(高齢者)と企業の内部留保(企業が賃金を上げないかわりに溜まっていきます。)に回っているだけです。ただ、そこから動かないので、物価と賃金が上がりません、税収も増えません。また、経常収支の海外直接投資収益、証券投資収益も企業の内部留保と個人金融資産に回りますので会社と高齢者に溜まるだけになります。ETFを現役労働世代が保有すると間接的に企業の海外の直接投資収益を受けとることにもなります。日銀の利益は結局、政府に歳入される訳ですから、ETFを政府が買い取り、それを現役労働世代に配っても現状の現金給付の景気対策と変わりません。
 むしろ、昔ほど乗数効果の無い公共事業や、ハイリスクハイリターンなスタートアップに投資を行うよりもETFへの投資のほうが堅実ですし、資産効果は高いと思われます。
今回の提案は、日本の将来うまくいくための「仕組み」を作ることです。
リフレ派と言われる方々は消費税減税や公共事業などの財政支出を訴える人も多いですが、そもそも税金を取る仕組み自体が価値のあるものであり、下手な減税は徴税価値を棄損させてしまい日本の信用リスクが高まる恐れもあります。また、公共事業についてはそもそもの人手不足や機械化のため、昔のように大量雇用なんてできませんし、波及効果は薄いです。
 自国通貨建ての債務は財政再建が可能であるというのは正しいと思いますが、急激なインフレで再建を行ってしまうと、円安が過度に進んでしまい対外的に金融資産そのものの価値を棄損してしまい問題ではないかと思います。
ETFを労働者に配ることによって、配当金や値上がり益などが将来の消費喚起、内需拡大にもつながるのです。

理由3 r>gはAI・ロボットの普及で最大化される。

将来どこかの時点でシンギュラリティ起こるとされています。AIやロボットが普及していくのは間違いない。新しい仕事は生まれるでしょう。しかし、この産業革命は昔のようには労働者に新しい仕事の「量」は増やしません。単純労働などは代替されていくと予想されます。誰しもが人間独自の思考力や表現力を発揮できればいいのですが、そうはいきません。我々よりも多く長く働くことができる存在が産まれるのですから、コストも引き下がります。そのような事業に投資でできる投資家が断然有利となるのです。よって経済学者ピケティの言ったR(資本収益率)>G(経済成長率)はますます拡大していくと思われます。
この拡大を防ぐ対処法として資本収益を労働者に与えること。つまり、株式を労働者が保有する必要があるのです。
日本と米国の個人金融資産の内訳を見てみましょう。
保険・年金 25%(日本) 32%(米)
株式・債券 15%(日本) 54%(米)
預貯金   56%(日本) 12%(米)
どちらがこの先の未来に資本収益を稼ぐことができるでしょうか?
当然アメリカだと想像することができます。しかも、アメリカはイノベーションの大国です。つい最近、テスラは人型のロボットを発表しましたし、他の企業でもAIに並々ならぬ投資を行っています。
 一方、日本は縮む内需の中、新しい投資や研究もままならない状況に追い込まれているのです。
 日銀がETFを買っていることは、時代の流れとしても正しい。もっと日銀はETFを買うべきだと考えています。なぜなら、最終的に日銀の利益は日本政府が享受し国内に残るからです。
そこからさらに直接、労働者にETFを保有させることにより、資本収益を与えることになります。配当や値上がりを労働者が享受できるようになるのです。労働者を日本経済のステークホルダーにすることができます。
 これには反論もあるかもしれませんが、政府は高齢者の雇用を継続的に続ける環境を整備することを進めています。これも生産性が上がらず賃金が上がらない原因です。高齢者の雇用を行うことは、生産性を高めませんし、賃金コストを安くすることにつながります。また、リスキリングなどの雇用政策は大切ですが、最適化されても日本全体の消費や支出を増やすかどうかは疑問です。むしろ多くの職がAIやロボットに代替されていく未来では大きな時間のロスになる可能性さえあります。
 本当に時代に合わせて日本に求められているものは、高齢の雇用者や単純労働を増やすことではなく、AIやロボットを積極的に導入を行い日本全体の生産性を高めて、金融・財政政策で資本収益を最大化することです。つまり、今までに築いた日本の資産を投資に振り向けて、労働者に資本収益を与え、さらに資本収益を高め、安心の年金と将来に希望を持てる資産づくりを行うことこそ、時代に合った社会の形ではないでしょうか。

まとめ
「政府が、日銀の保有しているETF(上場投資信託)を労働者に配ること。」
これは社会を大きく変えることができます。
ETFを配ることで、企業・株主・労働者・政府がすべてステークホルダー化されます。配り方としてはiDeCoのような確定拠出年金で配ることにより、簡単に売られることにはなりません。換金されるのは65歳以上になってからとなります。
むしろ、この政策は投資の裾野を広げ、投資家層を増やす結果につながりますので、株価も上昇しますし、配当金や値上がり益などが将来の消費喚起、内需拡大にもつながるのです。(アメリカの1980年代から現在までの再現)
また、日銀自体のETFの売却問題も解決されます。
アベノミクスによって、間違った金融政策は修正され労働者を増やしました。しかし、時代はすでに次の段階に入っています。少子高齢化と人口減によって潜在的需要の減少と社会システムの老朽化が始まっています。
これを解決するのは、総合的なシステムアップデートが必要です。
このまま場当たり的な経済政策をやっても、根本的な解決にはなりません。
増える国債と増える個人金融資産、内部留保。
お金はあるはずなのに、景気は悪い。なぜか貧困が増える社会。
そのうち国債の発行が上限を迎え、リスクが高まってしまいます。
もう答えは出ています。
お金が回らないシステムと付加価値の連鎖が起こらない社会の構造が原因です。いわば、日本経済は動脈硬化の状況なのです。
ぜひ、今回の提言をご検討ください。

以上となります。長々とお読みいただきありがとうございました。私はこの政策を本気で政治家や著名人、Twitter上で広げていきたいと思っています。
もし共感いただけるのであれば、政策の一つの案として知っておいていただき、拡散いただければと思います。大変ありがとうございました。

日本鶏団連会長 Twitter@kabuchicken369
nipponkdanrenkaityou@gmail.com

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