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Hello 中国東方航空, goodbye 中国東方航空 【ネパール紀行】

日付: 2019/02/20

飛行機の中

僕が利用した航空会社は中国東方航空だ。とにかく安い。そして、評判も悪い。成田を経った僕は北京に向かったのだが、その時はJALとのコードシェアであって値段以上のサービスを得られた。その機内で僕はボヘミアン・ラプソディを視聴する事ができ、上々の気分で北京に降り立った。評判は外れたな。めちゃくちゃいい会社じゃん。この先のフライトも安心だな。そう言う気持ちで昆明行き、5:55出発の飛行機に乗った。

あれ?高速バスに乗った?そんなシートの狭さだった。格安航空では並なシートの狭さではあったが、北京行きの広さとどうしても比較してしまう。まぁこんなものか。持ち前の寛容な心で赦すと言うよりは、ここまで全然寝れていない事から来る疲れに負けて、どうでも良くなってしまった。眠気のままに、いつの間にかこつりと寝ていた。

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通路側最後尾から見た景色。窓際ではなかったのが残念。

気がついた時、周囲の乗客は機内食を食べ終えて片付けようとしていた。準備する際にはそれなりに音が出ると思うけど、全く気がつかなかった。通路側に座っていたため、奥の人へ機内食や飲み物を渡すのは苦労した事だろうと申し訳なくなる。確かにお腹が空いた。北京について、激辛のフィレオフィッシュしか口にしていない。キャビアテンダントさんが通りかかった時、自分の分の機内食をお願いした。快く引き受けてくれたのだが、非常に可愛いキャビアテンダントさんであり、得した気分にもなった。

機内食はすぐに届いた。左上に透明なカップに入った野菜、右上にビニール包装されているパン、そして真ん中にアルミ箔の蓋がされてあるほんのりと暖かい大きめの器だ。最初、大きめの器には主菜が入っていると思い込み、ならば野菜は前菜だと考えて透明なカップを空にした。次に、主菜を食べるべくアルミ箔を開いたら、出てきたのは一面のお粥だった。先に食べてしまった野菜は、このお粥にかけるものだったらしい。少し悲しい気持ちになりながら、パンをおかずにお粥を食べた。お粥をおかずにパンを食べていたのかもしれない。いずれにせよ、味は覚えていない。そうこうしているうちに、昆明に到着した。

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機内食の模式図。右上はじゃがいもじゃなくてパンです。

昆明長水「国際」空港にて

北京首都国際空港と比べると小さい空港だった。それでもクアラルンプールやバンコクといった東南アジアに向かう便は多々出ており、中にはOSAKAと言う文字も散見された。北京首都国際空港がデカすぎるのだ。微妙に暖かい昆明は、中国の南部、雲南省に位置する都市だ。ここでのトランジットも5時間ほどあり、それは観光も憚れるが待つには長い中途半端な時間でもあった。到着後、まず何か食べたいと思ってあたりを見渡すと、馴染み深い「 M 」マークが目に入ってくる。マクドナルドだ。北京にて予想外の辛さに深いボディーブローを食らうのだが(前回記事参考)、昆明のMも気になって、同じフィレオフィッシュに挑戦してみる事にした。だが、いざ購入しようとしてもクレジットカードが使えない。現金かQRコードしか受け付けないらしい。国際空港にてクレジットカードが使えない事態は想像していないぞ、この先に備えてなるべく現金は換金したくない。

AndroidユーザーでモバイルWiFiを持っていない自分は、ケータイに頼ることもできなかった(中国国内ではGoogleは使えないため、Android機は無用の長物と化する)。そもそも1元が何円だかすら知らない。この世界において一気に僕は情報弱者となってしまった。しかしよくよく考えると、このケータイに頼らない旅こそが2000年以前のバックパッカーがしていた旅だろう。己の勘を信じて突き進み、運と人情で乗り越えていく、それこそが彼らにとっての旅の醍醐味だったのではないか。旅のハプニングは思い出、自分の足で歩き回り、人に聞いて、なんとか使えるお店を探そう。ここは昆明長水国際空港。どこか1店舗くらいはQRコードではなくてクレジット決済も受け入れてくれるだろう。そこまでの探索を精一杯、楽しむ事にしよう!そう考えて5歩進むと、隣の中国料理店でクレジットが使えた。

窓の外、想像の外

中国料理店でスパイスたっぷりの米麺を美味しく食べた3時間後、昆明を出発した。昼前の出発だったので、ようやく明るい中での飛行機である。ラッキーな事に窓側の座席だった。離陸からしばらくは本を読む事に集中する。しばらくもすると段々と集中力が切れて、ついには窓の外からキラキラ反射するナニカに気を取られてしまった。目をやると、それは川だった。飛行機からでもきしめんのように見える川幅から、相当大きな川だとわかる。何より驚きだったのが、これほどに大きい川が蛇行し、そして何回も枝分かれしては合流していることだった。きっと雨季には水量がもっと増加し、氾濫し、流路を変え、地形をとつとつと変えているのだろう。コンクリートと堤防でカチカチに固まれた日本では、こんな自由な川はまず見えない。闊達で遠慮のない川の様相に興奮を覚えながらも、乾季でもこれほど大きいこの川はなんだろうと考える。今回、中国の南端からネパールに向かうルートを取っているはずだった。途中で交差する大河と言えば、、、、、メコン川*だ。中国、タイ、ラオス、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、これらの国を支える一流国際河川メコン川。飛行機からとは言え、こんな大きな川をみる事ができるなんて驚きだ。

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大きな川

予想外の景色に、川を超えたあとも感動しっぱなしだった。これがTHE WORLDかーとか、これがNATUREかー、とか。しばらくすると、またチラチラ光るものが見えてきた。なんと、先ほどの川の倍近く大きい川が流れている。もしかしたら、こっちがメコン川だったのかもしれない。先ほど抱いたはずの感動は、行方知れずとなってしまった。

スケールが違かった。こんなに大きな川なのに、なんて自由なんだろう。今までの経験からは全く想像できてなかった。そんな景色を見て感動していたのに、さらに大きな景色が登場する。知らなかった事は、想像できないし、想像できない事は、予測できない。乱気流で揺れる機体を、なぜか遠くに感じていた。この先、どんなんだろう。やや感傷に近い気持ちを抱きながら、窓の外を見続けていた。ふと、遠方に異様な雲を見つけた。陰影がはっきり、輪郭はカクカクしていた。

それは、雲、ではなかった。

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死角からやってくる。ヒマラヤの景色は予想外にやってきた。驚いた、感動もあった。それ以上にワクワクした。今回の旅の目的、エベレスト街道はあの山々の麓を走っている。道中、どんな山を見れるのか。エベレストは高いのか。想像も予測もできなかったけれども、ワクワクしていた。

西に向かう飛行機の北側に並ぶヒマラヤが、左の窓から見えたという事は、飛行機が大きく旋回している事を意味する。そろそろカトマンドゥに到着するだろう。日本を経ち、24時間になろうとしていた。

評判は外れたな。北京を降りる際に中国東方航空に対して抱いた気持ちは、変わっていなかった。

次回 カトマンドゥ到着後

(※メコン川だと思っていた川はガンジス川の支流、ヤムナー川だという事が、帰国後わかりました。だけど、あの時はメコン川と信じ切っていました。)




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