見出し画像

わたしの【少女マンガ5選】

マンガ、好きです。 
友達で、憧れで、先生で、勇気で、夢。そして愛!
5つになんて選べない。
とりあえず少女マンガに絞ってみましたが、それでもなかなか選べなかった。
選べないなか無理やり選んだ、わたしの殿堂入り5選を紹介させてください。
めっちゃ長くなったけれど。



①【ガラスの仮面】 新しいバトルマンガ


娘を出産するとき、わたし病院に「ガラかめ」を持ち込みました。
だってニンプ雑誌に「好きな音楽や香りなど、リラックスできるものを持ち込むのも良いでしょう」って書いてあったんですもの。
看護婦さん、荷物運んでくれるとき「重っ!」って言ってたね。
そりゃそうよね、当時手に入る既刊全巻入ってたからね。
とにかくそんな人生の一大事にも、お供として選んだのが「ガラかめ」でした。(結局、お産が始まると読んでる場合じゃなかったんだけどね☆)

主人公マヤとライバルの亜弓さんとの関係が、とても良いのです。
地味で冴えない素人マヤが努力で這い上がって、天才美人お嬢様の亜弓さんとお芝居で対決するお話。
と思いきや、単純にそうじゃないところがこのマンガの奥深いところ。

なにもかも完璧に見える亜弓さんの方が、マヤの才能をいち早く見抜き、嫉妬に苦しんで人知れず努力を重ねたりするわけ。
対するマヤは、憑依型の演技の才能を持つくせに、それに気づかないド天然かつ自己肯定感が低めの子。ただお芝居が好きという気持ちだけで突っ走ります。
亜弓さんのように賢く誇り高い人には、マヤは闘いにくい相手だったんだろうな。
だがそんなマヤも、壁にぶつかるうちに一皮二皮剥けて変わっていったりして。

理性派VS本能派ともいうべき2人の、闘いと何度もの進化&覚醒!
2人の関係性が少しずつ変わってきて、手の届かない憧れの存在から対等なライバルに、そして独特の友情が生まれるあたりがまた素晴らしい。
殴り合いから生まれる女子の友情とか、これはもう新しいバトルマンガと言っても良くない?

どこをどう切っても面白いのですが、特におすすめは、文庫で言うと13巻から14巻の、野外劇「真夏の夜の夢」から「ふたりの王女」にかけて。
オーデションのくだりも最高なのですよ。「毒」とか!
「ガラかめ」の作中劇の完成度の高さは、何度も舞台化されていることでも明らかですが、「ふたりの王女」はまた格別なので是非。

速水真澄社長の、いい年してちょっとキモめのマヤへの純愛とか、
その許嫁の壊れかけの詩織さまとか。
サブキャラの動向からも目が離せません。
個人的にわたしは水城秘書が好き。

画像2

水城さん。この人クールでデキる女だけど、絶対、推し(速水社長)の恋愛ウォッチとか趣味で、日々萌え苦しんでいるんじゃないかと。←たまらん

とにかく、娘らの嫁入り道具として、全巻もれなく持たせるつもりなので、美内先生の御筆が進みますことを待ち望んでおります。


②【ポーの一族】 現人神の表現力


ポーの魅力はどこかって、あの独特の雰囲気だと思うのですよ。
なんなのかしら、あの風にそよぐ髪は。
風の強さも、髪の柔らかさも伝わってくるじゃないですか。
石畳の硬さ、その上を歩く靴音。バラの花びらの質感と香り。
ドアを開ける様子でその重さも感じられるようです。
そして心情とシンクロする光と影。

あんな雰囲気を醸し出せるなんて、とてつもない表現力だと思う。
萩尾望都先生はやっぱり神。
現人神なんだなと実感します。

もちろん、ストーリーや世界観がピカイチなのは言うまでもありません。
望まずに永遠の命を持つ吸血鬼(バンパネラ)=「ポーの一族」に加えられたエドガーが、同じく一族となったアランとともにおよそ300年を永遠の少年として旅する物語。
死ぬことの叶わない宿命に加えて、美しい少年の姿のまま時が止まってしまったという耽美な設定。
絵柄もストーリーもいちいち美しく、ため息がもれます。

時系列がバラバラのまま話が進んでいくのも、ミステリアスで印象的。
ことに2016年の40年ぶりの連載再開には呼吸が止まりました。
エドガーが、アランが、この時代にも息づいているかもしれないと思うと鼻血が出ます。そう、ふたりの旅がまだ進行形だというこの喜び。
生涯をかけて、ゆっくりと何度も味わっていきたい名作。

画像3



③【ベルサイユのばら】 愛のジェットコースター


史実に基づいたスケールの大きさと華やかさ!
「ベルばら」は、まず18世紀のフランスはベルサイユという、ツボを心得た絢爛な舞台にやられてしまう。だって、ドレスにお城に舞踏会だよー!目が喜ぶ!

華やかに激しく、気高く咲いて美しく散った王妃マリー・アントワネットに、
言わずと知れた「男装の麗人」オスカル。
この2人を中心に、フランス革命前夜の大きな歴史の波とそれに翻弄される愛が、理代子先生の華麗な筆で描かれます。

そう、「ベルばら」の最大の魅力は「翻弄と愛」!
これに尽きると思うのです。
運命に翻弄されるがゆえにほとばしる愛や、耐え忍ぶ愛。
止まらない大きなうねりの中で、さまざまな愛がもつれ、輝き、散っていきます。とくにオスカルとアンドレは……いやいやいけません。わたくしごときがネタバレをしてしまっては、これから読まれる方の人生の楽しみを奪ってしまう。

とにかく「ベルばら」は、ジェットコースターに乗るが如く、壮大なストーリーに身を任せて、翻弄されながら読み味わうべし!
そして、オスカル様の凛々しさと垣間見える乙女さのギャップに、みんな射抜かれてしまえば良いと思う。

④【バナナブレッドのプディング】 大島弓子を読む理由


大島弓子先生の作品にはハズレがありません。
他の作品も素晴らしくとても選べなかったので、あえての「バナナブレッド」であることをご容赦ください。

デリケートすぎる少女の心の機微を扱った作品が多く、ときに難解とまで言われる大島作品。
その世界は一見、乙女チックなカワイイものであふれています。
愛らしい絵柄に、夢いっぱいのフリルやリボン、お花や星たち。
そして繊細で詩的なセリフやモノローグ。
けれどその甘くてカワユイ世界の中に、どれほどの毒が、刃物が、飛び道具が潜んでいることでしょうか。実は、心臓をぎゅっと掴まれるような作品も多々あるのです。乙女チックテロリスト、大島弓子。

「バナナブレッド」の主人公・衣良は、独特の強すぎる感受性を持った、まぁいわゆる変わりものの(ただしチャーミングな)女の子。
最愛の姉の結婚を前に情緒が不安定になり、彼女特有の悩みからエキセントリックな方向に話が進んでいきます。

「ベルばら」のような壮大なスケールとは対極の、「世界でたったひとつの自分だけの悩み」の物語です。
大島作品には、衣良のような変わりものや、居場所を探している子、マイノリティなどが必ず出てきます。それは人間に限らず、幽霊や宇宙人、動物なんかの場合もあるけれど。
そしてみんな大小なにかしらの傷を持っているのですが、その傷は、可愛らしい絵柄を持ってしても、ときに残酷で絶望的で痛ましいほど。

特異なシチュエーションの、特異な人の、特異な悩み。
私とはかけ離れている悩みのはずなのに、こんなに胸をえぐられてしまうのはなぜだろう。

【注意:以下、ネタバレ含みます】



「バナナブレッド」のラストで、衣良の姉・紗良が、夢の中で赤ちゃんとお話しする有名なシーンがあります。
今でもこんなに孤独なのに生まれてくるのが怖い、という赤ちゃんに対して沙良は、最高に楽しいことが待っているから、まあ生まれてきてごらんなさいと元気付けます。

そして目が覚めて、自分が言っていた「最高に楽しいこと」について思うのです。

わたし自身もまだおめにかかっていないのに ほんとうになんなのでしょう
わたしは自信たっぷりに子どもに答えていたんです

ここを読むと、泣きそうになってしまう。
どこかにきっとある「最高に楽しいこと」の予感。
なんて素敵であたたかいんだろう。

大島作品では、どの作品にもこの「最高に楽しいこと」の予感が描かれているように思います。今はどこにあるかわからなくたって、必ずこの世にあるからね!と自信たっぷりに。
不確かでもいいのです。誰かにそう言ってほしいときってあるから。
「自分だけの悩み」を持つ人に染みわたる励ましだと思います。

だから、どんなに傷を負ったって全ての登場人物は最後には顔をあげるし、私は大島弓子を読んでしまうんだろうなぁ。



⑤【笑う大天使】 読むヨガ、もしくは読むカイロ


史上最強の名門お嬢様学校・聖ミカエル学園を舞台に、お嬢様になりきれないアウトサイダー3人娘、史緒・和音・柚子が大活躍するコメディ。

ときに巨大な猫をかぶりながらも、等身大の自分を大切にしてほのぼのと、だが颯爽と歩いていく3人の姿が痛快です。そして、ちゃんとそれぞれにあたたかく見守ってくれる王子がいる辺りは、お約束。

とにかくテンポが小気味良く、ちょいちょい挟まれるギャグのレベルも◎。
作者は博識で知られる川原泉先生。
カーラ教授の異名に違わず、本作でも豊かな蘊蓄がふんだんに披露されます。
ついでにパロディもてんこ盛り。ポーが、ベルばらが、ケンシロウが・・・!
本編の続編や他の作品で、3人娘のその後を追えるのも嬉しいところです。

川原作品の魅力といえば、気負わない自然体の「抜け感」でしょうか。
普通ならあまりマンガの主人公にならないような、淡白でテンション低めのぼんやりキャラにこそ、先生の愛を感じます。
どんなタイプの子にも、青春とロマンスが等しく輝く、優しい世界。

読後は、肩の力がスッと抜けて、精神的な肩こりに効くんじゃないかと。
しかも、ほっこりじんわりとあたたかくなります。
そうか、これはもう読むヨガ、もしくはカイロかもね。
しかも効果は持続性が高いのです。

#私を構成する5つのマンガ

この記事が参加している募集

読書感想文

マンガ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?