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虚船より、青い惑星へ愛を込めて


聴こえていますか。

私はこの「虚船」で無限の宇宙を旅しています。

いくつか、淡い桃色の約束を携えて。桜の咲くころにきっと会いましょう、徒然、空白の時を彩った交々の話に花を咲かせましょうと、空(くう)で指を切った大切な人が両手、両足に指では足りないくらいいるのです。

視界は、出航の日と変わらず良好であります。人類の罪を可視化した無数のデブリが、宇宙の爛漫な風景を汚している様を私は目に焼き付けています。

私の生まれ故郷である青いあの惑星で、最も美しいものは極東の島国の芽生えの季節に咲き誇るあの桜であると、私は、これから、万が一、人類未踏の惑星で、私たち人類と意思疎通できる生命体との邂逅が叶えば、誠心誠意伝えるだろうという確信があります。

どうか、私と約束した愛する人々が私を完全に忘れてくれますように。願わくば、桜の咲く頃に、何か異物めいた、幻想小説の一説を思い出すようにだけ、こっそり私の存在が彼らの脳裏に浮かんで、そしてすぐに泡沫に消えてしまいますように。

私はそれだけを願う。

あの青い惑星と、そこに生きるすべての命を愛している。

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