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舞台に吹く旋風(つむじかぜ)の正体は……。明後日プロデュース『青空は後悔の証し』

舞台に吹く旋風(つむじかぜ)の正体は……。明後日プロデュース『青空は後悔の証し』

久々に、頬がしびれるほどの疾風に打たれる感覚を持った。理解しようと足に力を入れ、必死に目を凝らすが、突き放すように強い風が絶えず吹いてきて、点が見えてもなかなか線にならない。
戦争や災禍など、大きな社会問題を作品の中心に置き、現代との接続をわかりやすく見せた、ここ数年の岩松了はここにはいない。
ひたすら個人の心にフォーカスし、それも、心の闇に分け入って謎を解くのでなく、奥を覗けば闇しか出てこないの

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曖昧のツボ──シアターコモンズ'21を繋げた、百瀬文の『鍼を打つ』

曖昧のツボ──シアターコモンズ'21を繋げた、百瀬文の『鍼を打つ』

シアターコモンズ'21のプログラムを体験した。
シアターコモンズとは、サイトには「都市に新たな共有地(コモンズ)を生み出すプロジェクト」とあり、もう少し噛み砕いて言うと、演劇メインのアート&カルチャーフェスティバルとなるだろうか。フェステバル/トーキョーの初代プログラム・ディレクターで、今年、文化庁の芸術選奨新人賞を受賞した相馬千明さんが中心となって、2017年以降毎年、2月から3月にかけて港区を

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パルテノン多摩『演劇人の文化祭』を企画した理由と、文化祭の詳細

 東京の小劇場で活躍する若い劇作家や演出家に話を聞くことの多い私は、2000年代に入って数年経った頃から、つくり手の変化を感じるようになりました。

 ざっくりした表現になりますが、それまでの主流が「演劇しかない」人だったのに対して、「演劇を選んだ」人が増えてきたのです。役者を目指して劇団に入り、いつの間にか脚本を書き演出もするようになったが、演劇以外のことは目に入らないまま走って来た、というのが

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