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大企業からベンチャーに出向して気づいたこと #大企業の管理職がすぐ始められる在宅勤務のコツ

(文:宇佐美 絢子)

 多くの日本企業が緊急事態宣言を受け、手探りのまま突入した在宅勤務ですが、伝え聞くのは運用方法への戸惑いです。私自身13年間にわたるNECでのオフィス勤務から一転、2020年4月からケイスリー株式会社(以下、ケイスリー)に出向し在宅勤務を開始したばかりなので、元の職場で起きているであろう管理職たちの戸惑いや葛藤はよく分かります。
 そこで全く異なる環境から改めて自分がいた職場を振り返り、大企業の管理職でも自らの裁量ですぐに始められる、在宅勤務を軌道に乗せるコツをまとめてみようと思います。

「勤務態度の監視」が管理職のミッションか?

 大企業の管理職にとって「部下が真面目に働いているか監視する」のは勤務管理の中でも特に重要なミッションの一つでした。

 これまで管理職は、部下が勤務中にパソコンに向かう様子や、外出中にどこで何をしているのか確認することで「部下が真面目に働いているか」を監視することができていました。真面目に働いていれば結果が伴わなくても許容されるプロセス重視の組織とも言えますが、それゆえ管理職が部下の勤務態度を把握できていたのが従来のオフィス勤務の特徴です。

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「見えなくなった勤務態度」と「見えるようになったアウトプット」

 ところが完全な在宅勤務に切り替わると、部下の働く姿が見えなくなり、「部下がサボっていないか監視」することができなくなってしまいました。そこで大企業の管理職たちは、見えない行動を可視化するためのルールを多く生み出していると聞きます。

・チャットへの常時ログイン
・メールでの始業/休憩/終業宣言
・始業時と終業時のテレビ会議
・作業内容と所要時間の報告 など
 ※ 勤怠管理システムと上記を併用するケースも多い

 チャットがオフラインになるとすぐに上司から電話がかかって来るというケースも耳にしました。このようなルールを二重にも三重にも課せられた部下たちは、信用されていない事実を認識するとともに、アウトプットよりも頑張って働いている態度が重要なのだと思い知らされるわけです。
 
 ですが在宅勤務に伴う変化は、勤務態度が見えなくなったネガティブな面ばかりではありません。見落とされがちですが「アウトプットを正確に把握しやすくなった」というポジティブな変化もあります。
 これまで部下の勤務態度ばかりに目が行き、なんとなく感覚的に捉えていたアウトプットですが、日々の活動予定と成果の報告等を通じて、定量的に捉えられるようになったのです。アウトプットが把握できると、一人一人の生産性や業務負担が可視化され、公平な評価も行いやすくなります。この変化を上手く活用することこそ、在宅勤務を軌道に乗せるコツだと考えられます。

自ら仕事を取りに行くベンチャー

 ケイスリーでの在宅勤務を開始して驚いたのは、メンバー全員アウトプットへの意識が非常に高く、チーム全体にアウトプットを頻繁に共有する文化が根付いていることです。質の高いアウトプット出すために、チームメンバー各々が積極的に仕事を作り、取りに行っています。
 一方大企業の場合、評価は横並びの要素が強く、なるべく自分の仕事を増やしたくないというインセンティブのほうが強く働くので、仕事は上から降ってくるものでした。

 この違いは、ベンチャーにおいては自身のアウトプットこそが自分と会社の未来に繋がるものであり、それを最大化するために各々が試行錯誤を続けてきた、という各メンバーの意識に起因するのだと思います。
 もちろん、そのような職場においては椅子に座っているという行為自体は何の価値も持たないので、働いていることをアピールするメンバーもいなければ、そこに注意を払う上司もいません。

管理職の重要ミッションはアウトプットの管理

 世の中の人々は提供された価値(つまり企業のアウトプットや、その先の影響)に対してお金を支払うのであり、プロセスに対してお金を払ってくれる訳ではありません。たしかに企業の信用という点において適切なプロセスを踏んでいることも大事ですが、それは必要条件でしかないのです。
 そして企業のアウトプットは、社員一人一人のアウトプットの集積です。つまり管理職が本来重点的に管理すべきはアウトプットであり、プロセスを管理することはアウトプットを最大化する一手段でしかないのです。しかし組織が大きくなると、どうしても手段が目的化しているケースが多いのではないでしょうか。

管理の矛先を勤務態度からアウトプットにシフトする

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 大きな組織において全く異なる文化のベンチャーの組織制度をそのまま移植すると、却って生産性を下げる危険もあります。

 ですが私が大企業でもすぐ導入すべきだと考えるのは、① まず管理職が部下の勤務態度の監視をやめることです。サボっていないか疑心暗鬼になって監視を強化すると、監視する側/される側という対立構造が生まれてしまいます。代わりに勤務態度の監視をやめて② アウトプットをきめ細かくフォローすることをお勧めします。

 ケイスリーで働く中で、私自身が体感している変化が2点あります。

・丁寧にアウトプットを管理されることで アウトプットに対する意識が高まること
・自ら考えて働くことで 視野が広がり主体的になること

この2点によって更に高いアウトプットが生みだされるという好循環が生まれます。このような良いスパイラルを繰り返しながら、適切なタイミングで社員の自由度を高めることで、各チームメンバーのモチベーションと能力を最大限引き出し、コロナ以前のチームより格段に良いチームに変革することができるのではないでしょうか。

 次回は「アウトプット重視の組織を更に活性化させる、在宅勤務下でのコミュニケーション方法」について書きたいと思います。

 本稿により、在宅勤務という新しい環境を味方につけ、日々奮闘する管理職たちがより良いチームを導く一助になれば幸いです。

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