若新雄純さんから高校生へ 自分を好きになる「自分道」入門(後編)
気仙沼の探究学習塾ナミカゼに、フリーアナウンサー徳永有美さんが来てくれました。今回、徳永さんが高校生ために呼んでくれたスペシャルゲストは若新雄純さんです!気仙沼の高校生との対談をお送りします。(前編記事はこちら)
人の時間を奪え
高校生すずは:若新さんは自分の「人間としてのクセ」を活かして今の仕事に辿り着いたって言ってましたが、その自分のクセの見つけ方って何ですか?
若新雄純さん(以下 若新):それはもうすげぇ簡単です。「人の時間を奪うこと」ですね。もうそれだけです。
徳永有美さん(以下 徳永):え?どういうことですか?
若新:もし無人島で独りで快適に暮らしていたら、自分のクセって永遠に見つからないんです。クセっていうのは、誰かとの関係の中で見えてくるものなんですよ。
「その変なクセやめなさい」って親に言われたり、「君は落ち着きがないね」って学校で指摘されると気づくんです。
自分独りじゃ絶対に気づけないんです。いろんな人の時間を奪って、いろんな人に話し相手になってもらって、自分の話を聞いてもらって、意見してもらうと、ようやくそこでちょっと気づくんです。
大事なことは、自分がしゃべったことに対して相手からの反応つまりフィードバックが必要ということ。人の話を聞くだけではダメです。YouTubeをどんだけ見てても、YouTuberは「あなたはこういう人ですよね」って言ってくれないじゃん。
あなたに対してのフィードバックが返ってこないと意味がないんです。女々しいですねとか大げさですよねとか、指摘されるってすっごい恥ずかしいんですけどね。
それって、誰かの時間を奪うしかないんです。自分のクセに気づく代償として人の大事な時間を奪って、そのクセを活かせるようになるわけだから、もう感謝しかないですよね。こんな僕のために時間をいただいて。感謝しておきながら、奪うことをやめないっていう。
徳永:今はYouTubeで一方的に学んだ感じになれるし、授業だってオンライン化していて、そういうことが良しとされる風潮があるけれど、やっぱり人間って「あなただけ」とか「あなたと私の関係」のフィードバックがすごく重要になってくるってことですね。
大事な人の悩んでる話は最高
高校生かお:私は自分の探究について考える時間が長いんですけど、行き詰まっちゃったとき、何をしたらいいのか教えてほしいです。
若新:えー。行き詰まるときなんて一番いいときですよね。例えば、かおちゃんの友だちから電話がかかってきて、「聞いて聞いて!もうめちゃくちゃうまくいったの」という話をされるのか「すっごい行き詰まってるんだけどちょっと聞いてほしい」と言われるのか、どっちの方がちゃんと話を聞こうと思います?
かお:人の成功した話を聞くのはちょっとモヤモヤしちゃうかも…
若新:でしょでしょ。あのね、これは皆さんに伝えておきたいんだけど、どんなに親友だとしても、親友がうまくいってる話なんて誰も聞きたくないんですよ。誰も求めてないんですよ。
ところが、自分の大事な人の行き詰まってる話っていうのはもう最っ高におもしろいんです。大事な親友が行き詰まってるなんて。ちょっと待って!今、着替えてくるから!5分後に完璧に電話できる状態にスタンバイしてくるから!となる。
徳永:なんてことを言う大人…!
若新:だから行き詰まったら、大事な友達にすぐ連絡すればいいんです。
でもみんな逆のことをやりがちなんで、もったいなすぎるんですよね。友だちからは行き詰まってる話を聞きたいくせに、自分の行き詰まってる話は「なんかちょっと恥ずかしいからやめとこう」って遠慮して、自分独りで抱えて苦しむわけじゃないすか。
徳永:私も行き詰まった話はあんまり人にしたくないかもしれない…
若新:誰だってしたくないんですって!だけど、友だちから悩んでることを共有されることって嬉しいし、素直に力になってあげたいって思えますよね。
徳永:若新さんの人との間合いの取り方とか話の進め方ってすごく上手で、いい言い方じゃないですけど人たらしですよね。
若新:この世の中のことは全て「関係」で出来ていて、僕らは「関係」の中で生きていると思ってるんです。それは「チームワークが大事」とかではなくて、時には距離をとることも含めて「いろんな人の組み合わせ」なんです。
僕みたいに人に甘えて甘えて甘えまくりたい人もいれば、一方で人に甘えられたい人もいるんです。だから「関係」にもっと注目してそのセンスを高めていけば、いい感じの人と出会って、協力して、独りじゃできないことでもやれるんです。
でも高校までの勉強ってそういうことを考えずに、個人の能力に成績をつけるでしょう。あれがあんまりよくないですよね。個人の能力だけで仕事とか物事の価値って決まるわけじゃないので。
遠慮を捨てて運を引き寄せる
徳永:若新さん、最後に高校生たちに「これを大事にして生きていくといいよ」というものがあったらお願いします。
若新:はい。もし僕がそこに高校生として参加してたら、思うことは1つだけで。たまにこうやって気仙沼に来てくれているすっごい素敵で毎週テレビに出てるお姉さんと、どうやって僕だけ特別に仲良くなるかってことですね。
徳永さんに嫌われるギリギリのところまで猛アタックして、「今度東京行くとき泊めてくださいよ」とか「連絡先教えてください」とか言ってたと思うんですね。
高校生はすぐ遠慮して「私なんかがこんなキラキラした人にアタックしていいんだろうか」って思うんですけど、それが勘違いなんです。大人っていうのは、10代の可能性しかない未来ある若者に慕われるのが超快感なんですよ。
徳永:私に対してというか…これから巡り会う人との関わり方ってことですね。
若新:人生の中でチャンスみたいなものは誰にでも訪れるんですけど、わーーっと流れて行っちゃうんで。ここにいる数十人の中の1人にはなってしまいたくないなっていう気持ちが大切。「ぼ、く、を、見てください!」っていう気持ち。
そういうことの積み重ねで「じゃあお前に仕事を頼んでみよう」とか「今度これやってみるか」とか「これ一緒にやんないか」って声をかけてもらったりして、僕は運を引き寄せてきました。
そうすると人より学ぶ機会が増えて、学校の先生が答えを知らないような世界にちょっとずつ触れるようになって、何かを探究的に学ぶことができるんじゃないですかね。
徳永:はい、本当に今日はありがとうございました!いい時間でした。高校生もみんな満足したと思いますし、私もすっごく感激しました。若新雄純さんにお話を聞きました。ありがとうございました。
若新:ありがとうございます〜。じゃね。
編集・文:気仙沼学びの産官学コンソーシアム 加藤 拓馬
若新雄純さん、徳永有美さん、本当にありがとうございました。
ナミカゼの徳永有美さんスペシャル対談シリーズ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?