成田悠輔さんから気仙沼の高校生へ #1「あんまり人の話を聞いてもしょうがない」かもね
気仙沼の探究学習塾ナミカゼに、フリーアナウンサー徳永有美さんが来てくれました。そして今回、高校生のために成田悠輔さんを呼んでくれました。そのスペシャル対談をお送りします。
徳永有美さん(以下 徳永):成田さん、よろしくお願いします〜
成田悠輔さん(以下 成田):あ、よろしくお願いします。
徳永:あれ、髪…
成田:今ちょっと起きたばっかりで。申し訳ないです。
徳永:いえ、とてもキュートです。今、アメリカは夜中ですか?
成田:今、フランスで。朝7時です。
徳永:フランス!?そうでしたか…!
徳永:今日は、気仙沼の10名の高校生が成田さんの話を楽しみに集まってくれました。高校生の皆さんは、この「探究学習塾ナミカゼ」という場で、一人ひとり探究したいテーマを探していて。
今回の企画のようにいろんな人の話を聞きながら、自分の価値観やこれからの人生どう生きていこうか?ということを、揺さぶったり、深ぼったりする授業も行っているんです。
あんまり人の話を聞いてもしょうがない
徳永:早速ですが、成田さんは今ここにいる高校生たちに対して「学ぶ」っていうことについて、どういうことを伝えたいですか?どういうことを探したらいいと思いますか?
成田:いや、勝手に好きなことをやったらといいと思いますよ。
徳永:…勝手に(笑)
成田:だって答えは人によって違うので。人に聞いたくらいで簡単に見つかるワケないんで。それぞれが試行錯誤すればいいと思います。
徳永:それはつまり「自分を見つめる」中で探していくっていうことですか?
成田:新しいことをやる気力とかモチベーションって、基本的に「自分の心の動き」からしかつくり出されないと思うんですよ。他人が何を言ってるかというのは所詮それをつくり出すためのちょっとした肥料でしかないというか。土壌にちょっと土を追加してるというか。
まぁだから、あんまり人の話を聞いてもしょうがないかなって。
いろんなところでいろんな人に聞いたことが積み重なっていって、地層のようなものがつくり出されていって。で、気づいてみたらその地層が何千枚何万枚と積み重なって、そこから何かが芽生える、みたいなものなんですよね。
徳永:成田さんは、本とかアートもお好きだと思うんですけど、そういうものも積み重なってきたと?
成田:全部積み重なってると思うんですよね。なので、直接的に「こういう経験がこれにつながりました」みたいな単純なものではないんですよね。事後的に、そういうストーリーをでっちあげることはできるんですが。
実態は、複雑な何千何万という種があって、それを組み合わせてみたらよく分からない仕組みとかメカニズムで、たまたま自分の生き方が生まれてしまった、みたいなものなんだと思うんですよね。
なので、分かりやすい答えを求めていくというよりは、自分の心にたまたま刺さってしまったものとか言葉とかを順番に収集していくっていうくらいでいいと思いますけどね。
単純な答えを求めない、単純な答えがあると思わないことが大事なのかなぁ。
「まっさら」に価値はない
徳永:まだまだ高校生たちは「まっさら」だと思うんですけど、そういう状態で何かを見たり聞いたり、ものに触れるときに、どんなことに気をつければいいですか?
成田さんはものを感受するときにどんな状態でいますか?想像をいっぱいめぐらせるのか、まっさらな状態なのか。
成田:うーん、「まっさら」っていうのはあんまり価値がないと思うんですよね。っていうのは、自分にとっても世の中にとっても価値があるものとか情報って「バイアス」のあるものだと思うんですよ。
つまり、極端なところまで振り切ってることを、やったり、言ったり、考えたりしないと、あんまり意味ないと思うんですよね。という意味では、どうやって自分の中でバイアス、つまり偏った意見とかアイディアをつくり出せるか、ということが大事になるのかなと。
成田:言い換えると、何を見聞きするときに、これが好きだとか嫌いだとか、こういう考え方を突き詰めてみよう!みたいな「思い込み」をどうやってつくれるかがまず大事なんだと思います。
徳永:すごいおもしろいです…!いつもよりさらに一段深い…!
成田:結局は、バイアスをつくっては壊していくっていう作業…なんだと思うんです。若いうちだと、バイアスを壊す前に、自分にしか見えていないような視点とか、自分にしか言えないこと、書けないパターンをどうやってつくり出すかだと思うんですよね。
徳永:そういう自分のバイアスだったりクセみたいなものを、感じては壊し、感じては壊し…と繰り返すことが生きていくということなんでしょうね。
成田:ほおっておくと、クセのあること、目とか耳に残るようなことでも、言ったり書いたりすることができないまま時間が流れる場合がほとんどで、そのまんま反復するしかなくなっていくんですよ。
単純に右から流れてきたものを左に流すことを繰り返すんじゃなくて、自分に入ってきたものと出ていくものを比べて、どれだけ違う状態をつくりだせるかが大事なのかな。その違いがいいか悪いかは二の次なんですよね。
若者が元気や希望を持ちにくい今の日本
徳永:成田さんは、教育の話をはじめ、特に若者に対してメッセージを発しているイメージがあります。若者の独立国をつくったらいいとか。若い人に対しての関心やエールの気持ちがあるんですか?
成田:それはー…もう消去法な感じで。同じメッセージを訴えるなら、老人に向かって訴えるより…老人も若者もダメだと思うんですけど…相対的に希望があるのは若者かなと。
徳永:老人も若者もダメなんですか?人間はみんなダメってことですか?(笑)
成田:人間は一般的にそんな希望を持てるものではない、という…(笑)
今の日本だと、若い世代であればあるほど、元気や希望を持ちにくいと思うんですよ。単純に貧乏になってるし、人口構成的に言っても若い人たちの方が少数派じゃないですか。だから虐げられてる少数民族みたいなところがあると思うんですよ。
という意味でいうと、若者の方が辛くて、「何か訴えてもしょうがない」って諦めてもおかしくない状況だと思うんです。
それでも、過去についてブーブー言うより、未来について何か言った方がおもしろいかなと。それくらいな感じですかね。
徳永:ありがとうございます。あっという間に時間が来ちゃいましたので、次は今ここに集まっている高校生たちから、成田さんに聞きたいことを聞いてもらいましょう。
もうどーんなことでもいいと思います。せっかくの機会なので、成田さんとっても優しい人なので、なんでも聞いてください。
(つづく)
編集・文:気仙沼学びの産官学コンソーシアム 加藤 拓馬
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