読書レポート:5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本
■書籍紹介
著書:博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本
著者:ひきた よしあき
出版社:大和出版
■はじめに
結論ですが、私のコンサルワークの改善に必要と思いこの本を読むことにしました。
具体的には、クライアントワークをしている中で、「凄いですね」「そうなんですね」「なるほどですね」と同じ言葉を繰り返し使ってしまっている経験と、電話や打ち合わせで提案してもなかなか刺さらない経験がとても多くあります。
私のスキルアップを上げるために、クライアントワークの質の向上は必須のスキルです。
「この人、会話下手だな」と思われないコンサルタントを目指すためにコミュニケーションのスキルをインプットし、私自身は社内にシェアをしていこうと考え、この本を選びました。
本の内容を整理し、所感をまとめていきます。
①言葉が「思いつかない」
コンサルワークや日常の会話でもそうですが、会話の中でリアクションをする場面があります。
よく聞くリアクションは、
「へぇ、そうなんですね。」
「凄いですね。」
「なるほどですね。」
この辺りは私も良く使いますし、周りでも使っている人は多くいます。
経験がある方は分かるかと思いますが、上記のリアクションをした後は、また相手が話し出さないと会話が続きません。
さらに、「そうなんですね。」と返された相手は、「この話詰まらなかったかな?」「会話続けなきゃ」と気を遣わせてしまうことにもなります。
友達であればよいかもしれませんが、それがビジネスの場であれば相手に気を遣わせてはいけません。
これは今までのコミュニケーションの取り方からきているもので、トレーニングをすることでリアクションの質を上げることができます。
◆トレーニング方法 「形容詞だけで終わらせない」
これは何かというと、何か感想や意見を求められたときに「やばい」「すごい」「楽しい」などの "形容詞" で終わらせないということです。
形容詞は、何かアウトプットするときに使い勝手が良かったりしますが、あくまで取っ掛かりでしかありません。
「それ凄いですね」
「この遊び、楽しいですね」
これらは物事に対して受け身の反応をしているだけで、本質的にアウトプットにはなりません。
もちろん、形容詞は使っていいのですが、形容詞を使った後にプラスα 付け加えることで、単なる反応ではなく自分の意見を付け加えるようにしましょう。
【例】
質問:仕事は楽しい?
回答:楽しいです。なぜなら自分の成長が分かる瞬間が何よりも達成感を感じるからです。
回答:楽しいです。ピアノで好きな曲を、何千回も練習して弾けるようになった時くらい楽しいです。
形容詞を使った後に理由を付け加えたり、その他には過去の経験を付け加えるなどすることで自分らしい表現ができるようになります。
②言葉が「まとまらない」
言葉は思いつくがまとまらない、状況はありませんか?
あれも言いたい、これも言いたい、といった状況です。
「今回の打合せでは、あれも伝えて、これも伝えて、さらにこの提案もしたいし、この前のあの提案について追いかけなきゃ!」
打ち合わせや電話でクライアントと話をしていて、話がまとまっていなかったり、とっちらかってしまったり。
たまにあるのが、言いたいことがたくさんあるため、たくさん話すのですが、途中から自分が何を話しているのか分からなくなる時があります。
原因はいろんな要素を詰め込みすぎていることにありますが、実際のクライアントワークでもやってしまっていることが多々あります。
クライアントと話す際には「〇〇のことは話すけど、△△のことは話さない」と決めることが大事です。
特に、何を話さないかこそ、明確に決めるべきと著者は述べています。
◆トレーニング方法 「しばりプレイ」
伝えたいことを詰め込みすぎてまとまらないことが よくある場合は「縛り」を設けるトレーニングが推奨されています。
【例】
状況:A~Eの5パターンの提案の中で、A案を通すための提案をする
下手な人:A~Eすべての良い点、悪い点を挙げていく。
上手い人:A案しか提案しない。A案と捨て案でC案とE案を持っていき、A案をごり押しする。
提案が上手い人は、「A案縛り」をして提案を行います。
A案しか提案しないこともそうですが、捨て案を持っていき複数案を用意していると見せつつ、A案に着地するよう説明を行うなど、結局どれにするのかをあらかじめ決めて提案に行きます。
「自分の知っている情報を全て伝えないと親切じゃない」と考える人がいますが、それは間違いです。
判断材料になりそうな情報だけを渡し、ゴールの伏線となることしか口にしないことが大事です。
一度の打合せで欲張らないことを意識すべきと著者は述べています。
③言葉が「伝わらない」
伝えたい内容は決まっているのに伝わらない、提案が通らない、そんなこともあるでしょう。
その時は次の2つを意識します。
1.驚きの数字を使う
2.「ありがとう」を5倍使う
1.驚きの数字を使う
プレゼンや提案時に「説得力を高めるために数字を使おう」。これはいろんな本で言っている人がたくさんいるので新鮮味はありませんが、この本では「驚きの数字」を使うことにフォーカスしています。
数字を使うのは基礎中の基礎であり、その数字を「驚きのある数字」に加工できないかを考えることが必要です。
また、図形化やグラフ化をすることで驚きを生み出す方法もあります。
【驚きのある数字の例】
・東京ドーム10個分の広さ
・レモン1,000個分のビタミンC
著者は、驚きの無い数字は話を複雑にする雑音でしかないと言います。
相手視点では「分かりにくい」「当然すぎて言われるまでもない」と思うことがあるそうです。
こうした驚きの無い数字は、手元に置いておき聞かれたら伝えるくらいにしておきましょう。
2.「ありがとう」を5倍使う
精神論に近い話ですが、とても大事なことです。
言葉通り、打ち合わせ中に意識的に「ありがとう」という言葉を使おう、ということです。
提案時のゴールは「自分の意見を受け入れてもらうこと」にあります。
意見を受け入れてもらうために、相手に「私たちは味方である」ことを認識してもらう必要があります。
人間は承認欲求の塊です。
隙あらば誰かに認められたい、お礼を言われたいと考えています。
そうした中で「ありがとう」と言われることで敵意が消えて、仲間意識が高まると言います。
この仲間っぽさを醸し出すために、過剰なまでにお礼を言います。
【例】
打ち合わせ冒頭:忙しいのに時間をくれてありがとう
質問があった時:質問をしてくれてありがとう
隙あらばありがとうを入れこみ、相手に敵意を抱く隙を与えないようにしましょう。
【注意点】
①ただ「ありがとう」を言いまくっても怪しいので、「恐縮です」「おかげさまで」「痛み入ります」などバリエーションを用意しておく
②何に対して「ありがとう」なのか明確にしないと、軽率な印象を与えてしまうので注意
■おわりに
今回はどのようにコミュニケーションを取るべきか、についての本を読みましたが、仕事の中でかなりできていないことが多かったと思う内容ばかりでした。
この本にあった「形容詞で終わらせる」状況というのは、あまりよく話を聞いていなかったり、流して聞いてしまっている時に出る言葉だと思っています。
これは私自身がかなり上記のような使い方をしていたため、そう感じた次第です。
相手の話す内容に対して、「形容詞+α」が出来たら自分の思いや考えがよりクライアントに伝わり、盛り上がり、一緒に売り上げを目指して協力体制を整えることができるかもしれないと思いました。
顧客単価を上げることが求められている今は、特にクライアントとの信頼構築の重要度が上がっています。
こうした小さなスキルではありますが効果が出やすそうなコミュニケーション方法を取ることで売上を伸ばせたら、と考えています。
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