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「名作ミステリで学ぶ英文読解」トーク会に参加して

こんにちは、高校教員のktです。

先日、タイトルにあるイベントに参加してきました。@青山ブックセンター
私が参加した理由は、もちろん英文読解に関心があることに加えて、ミステリ好きなので、趣味としても楽しめるかな、と思ったからです。

文芸の著者によるトーク会を聞くのは、実は初めてだったので、(何話すんだろう・・・)という漠然とした不安(?)(まぁ、自分が話すわけでもないのですが)がありましたが、興味深いお話がいろいろ出てきて、行ってよかったなぁと思いました。

印象に残ったのは、次の通りです。

◎コロン、セミコロンなどのパンクチュエーションの使い方について
きちんとした使い分けがあり、奥の深い領域であること。しかしそれを英語から日本語にする際に、どう表すのが良いか。日本語の句読点はその点でいうと、使い方のルールが緩やかである。
越前さん: 若者が、LINEで句点をつけない傾向がある。

◎指示語や冠詞の使い方について
阿部さん: that, itなどの指示語が、何を指しているかネイティブでも難しいことがある。
越前さん: That's it の that と it が、まさにそう。

日本語の「は」と「が」の使い分けが、日本語を学ぶ人にとって難しいように、the, aの使い分けは、日本人にとって難しい。

◎翻訳の際の、人称の話
(参加者からの質問→)「種明かしになってしまうのを避けるため、人称を明記したくないような時に、映像コンテンツのサブタイトルなら、映像があるので助けになることがあるが、文書による翻訳の際は、どうしているのか。」
越前さん: ヘミングウェイの「白鯨」の老人の一人称について。多くの過去の翻訳では、「わし」となっていたが、私は「おれ」という訳にした。
阿部さん: 自分のことを「わし」と呼ぶ老人がどれだけいるのか。
越前さん: 広島で老人でなくても自分を「わし」と言うようだが、広島では幼児が自分を「わし」と言ったりしている。

◎翻訳本のタイトルに、悩む
阿部さん: タイトル付けは、難しい(売れるようにするためには、という意味で)。「ダヴィンチ・コード」は売れた本だが、「ダヴィンチの暗号」というタイトルでも売れただろうか。
越前さん: 「ダヴィンチの暗号」では、同じようにはいかなかっただろう。似たようなタイトルの書籍がたくさんあるだろうから。

この他、たくさんの興味深いお話がありました。
私の記憶で書いたので、登壇者の意図と異なる部分があったら、申し訳ない…。
帰りに、お二人の本を買わせていただきました。そして、参加前には分からなかった、文芸のトークイベントの目的を、レジで気づきました。
消費者の知的好奇心を掻き立て、本の購買につなげること、だったんですね。
それはさておき、楽しいトーク会でした。本も、もちろん読みます!