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50/『変身しない』という魅力

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【記事のポイント】前年のSF映画ブームを追いかけるように、日本のテレビにはそれまでになかったSFアニメが登場しました。そして、キャンディーズの引退。『変身しない』という逆説的な憧れが、生まれようとしていました。


第5章/9. 1978年と脱変身


1978年に始まったアニメーション『銀河鉄道999』『宇宙海賊キャプテンハーロック』『宇宙戦艦ヤマトII』は、いずれも松本零士原作による作品でした。
さらに、この年には宮崎駿の初監督作品『未来少年コナン』も製作されており、日本SFアニメは大変な盛り上がりを見せます。


ところで、これらの作品には共通した特徴がありました。

それは、いささか逆説的に聞こえるかも知れませんが、主人公が変身しないことです。
彼らは素のままで困難に挑み、生身でそれを乗り越えていきました。

特に『銀河鉄道999』は、機械の体を欲した主人公・鉄郎が、長い宇宙旅行を通して命の貴さに気付いていく、変身否定の物語りでした。
変身することへの憧れは、その反動として変身しないことへの決意を準備したのかも知れません。

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