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宇和島の80代

今年の5月は賑やかに始まりました。
御年83歳の御姐様から、過去に出演されたテレビ番組のディレクターほか何人かと宴会をするから宇和島にいらっしゃい、とのお呼び出し。
その御姐様とも熱燗を酌み交わしたほか、二次会は御年85歳のママさんが営まれるスナックに連れて行ってくださり、歌って踊る御姐様やその“親衛隊”と化した方々と一緒に大騒ぎでカラオケを楽しみました。
ちなみにこのスナックのママさんは、27歳でお店を持たれて以来、場所を変えながらもずっとスナックを営んでこられたそうです。
おしぼりを直線軌道で投げて渡すママさんとして、界隈に知られています。
夜の宇和島の底知れなさを改めて感じたひと時でした。

二次会を終えてお開きとする際に、御姐様から本を頂きました。
それはなんと、自費出版されたという小説。
明治の終わりから昭和中期にかけてを生き抜いた、お母様がモデルの主人公の一生を物語る内容でした。
近しいご親族には事業家の方が多かったようで、時流に乗って大陸で起業したり、それが故に戦争で大変な苦難に見舞われたり、という大きな流れが描かれる一方で、夫婦や姉妹、親子の間で抱かれる愛情や葛藤も細やかに描かれ、とても完成度の高い文学作品だと感じながら拝読しました。

5月10日にはまた御姐様にお呼ばれして、毎年恒例の「宇和島空襲死没者追悼と平和を祈る集い」に参加。
御姐様の小説を読んだことで、昨年とはまた違った感覚で参加できました。
社会が前提から崩れ、街は焼け野が原になるような状況から“生き方”を作ってきた80代の方々。
その姿と思いから、今のうちに多くを学んでおきたいものです。

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