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自分に根拠を求める

 この試験を受験しようなんて、仕事で電気を扱うようになった当初は、思ってもみませんでした。

 そもそも私は大学は機械専攻で、電気なんてむしろ嫌いでした。何せ、機械と違って電気は

全然イメージができない。

 電子工学は赤点でレポート。選択科目は、電気系を避けてました。

(今の大学生は、ネットの情報も充実してるし、参考書も大学生向けに分かりやすいのが出ているので、とても羨ましいです。)

●「カッコいい」がきっかけ

 もともとは、航空機やロケットに憧れていました。理由は、

ただ「カッコいい」から。

 しかし、就職難の世の中ではその夢が叶わず、

「流体機械の仕事を続けていれば、いつかチャンスがあるかも」

と思い、プラント装置のメーカに就職しました。

 そこで学んだのは、

「機械は電気がないと動かない。」

 今考えると当たり前なんですけど、当時の自分は、何で機械が動くと思っていたんでしょうかね。

 しかし、小さな会社でしたので、機械のエンジニアばかりで電気の専門家はいませんでした。特に、モータや計器の話になると、メーカにお任せという感じ。

 そんな中、会社に1人だけ、電気に詳しい人がいました。それで、お客様との打ち合わせは、その人がほとんど担っていました。

 「電気の話ができるとカッコいい!」

 これが、私が電気を勉強しようと思ったきっかけでした。

●初めはモチベーション維持のためだった

 ただ勉強をすると言っても、目標が無ければモチベーションを維持できません。

 すでに上司からの勧めで、「熱エネルギー管理士」の資格は取っていたんです。大工場のお客様を相手にするので、同等の知識があった方がいいとの事でした。

 エネルギー管理士には電気分野もありましたので、とりあえずはそれを目指すことにしました。それから電気の資格についていろいろ調べたところ、電気工事士と電気主任技術者があることを知りました。

 とにかく「知識の証明」が欲しい

と思い、第3種電気主任技術者も同時受験しました。

●社会人になると勉強が楽しい

 それからは、捨てられずにとってあった参考書を引っ張り出し、大学でほとんど開かなかった本も、改めて読んでみました。

 学生の時は、

「勉強するのが当たり前」

で、どんな面白そうな事でも、やる気が出なかったんです。しかし、社会人になって、改めて勉強するようになって思いました。

「勉強さえしていればいい学生という時間は、なんて贅沢だったんだ!」

 これは、社会人を経験したからこそです。だから、大学に入る前に一度、何でもいいから

「本気で職業体験をしてみる」

というのは、すごくその後の勉強に役立つと思います。

 また、目標が「資格試験」という、わかりやすいものだったというのもあると思います。

 何せゴールが明確です。合格基準もはっきりしています。

 だから、目に見えて成果が出ます。電気は嫌いだったはずなのですが、勉強を始めた次の年に、「電気エネ管」と「電験3種」を両方取ることが出来ました。

●やはり頂点を目指したい

 その事がきっかけで、もっと本格的に電気に関わりたいと思うようになり、電気エンジニアへ転身しました。

 最初に関わったのは、主にアナログの電子回路。取得した資格は内容的にもあまり関係がありません。そのため、暫くは資格の事など忘れて、ただ自分が作った回路が動く喜びに浸る日々を過ごしました。

 ところが、ある時「パワーエレクトロニクス」を扱う事になり、かつて学んだ知識を活用するときが来ました。

 「仕事で関わる以上は、やはり上位の資格を取りたい。」

 ここから、「修羅道」が始まりました。

●「何故自分なのか」を問う

 職人であれば、

「技能を身につけている」

「具体的なモノを生み出す」

ことで、

「その人でないとできない」

事が見てわかります。しかし、設計などのいわゆる「頭脳労働」は、

「その人でなければならない必然性」

がはっきりとはわからないんです。

 もともと機械エンジニアを目指していた私にとって、そのことが一つのコンプレックスでもあったのかも知れません。

 いつからか、資格取得は私にとって、

「この仕事をするのが自分である根拠」

になっていたんです。

 それからは、「勉強」が精神的拠り所となる感じでした。空いている時間は、何か勉強をしていないと不安になるくらい、ちょっと「異常」だったと思います。

 初めて電験を受けたときは、「第2種」も自分が取れるような資格ではないと思っていました。しかし、不安に駆られるように勉強を続けて、第2種を取得したとき、第1種の足掛かりも見えてきました。

●学びは続くよどこまでも

 電験1種に合格してからは、もうしばらく資格はお休みしようと思いました。しかし、一度ついてしまった勉強の習慣は、簡単に止めることもできません。

 ついでに、弱電の資格である「工事担任者」と「電気通信主任技術者」も取得しました。結局、今まで取得した資格は、

エネルギー管理士(熱、電気)、電気主任技術者(第1種、第2種、第3種)、電気通信主任技術者(伝送交換)、電気工事士(第1種、第2種)、工事担任者(AI・DD総合種)、陸上特殊無線技士(第一級)、アマチュア無線技士(第一級)、公害防止管理者(大気一種、水質一種、騒音)

などです。そして現在は、「陸上無線技術士」と「技術士」の資格に向けて勉強を始めています。

 しかし、これだけ取っておいて何ですが、いつも思っていたことがありました。それは、

「活用できない資格に価値はない」

ということです。だから今は、

「資格を取った以上は、こんなことをわからなければ恥ずかしい」

というような思いもあり、学び続けている感じです。

 今後どんな仕事をしていくにしろ、自分に根拠を求め続ける旅は、まだまだ終わらない気がします。

 

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