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「あの頃、こんな本があったらな」13歳から分かる!プロフェッショナルの条件を読んで

小林みさき 11月課題

「あの頃、こんな本があったなら」

あの頃とは、今から50年も前のことだ。
田舎の田舎にあった全校生徒100名ぐらいの小さな小学校。
図書室は普通教室よりもさらに狭い一室で、しかも、本棚といえば壁面に子供の背の高さぐらいのものが並んでいるだけだった。
世の中に本がこれしかないのかと勘違いする年頃だ。
流石に田舎の街にも本屋は2軒あった。今から思えば、本もある文具やみたいなものだ。
田舎の田舎から田舎の街へは、30分ほどバスに揺られなければ行けず、小学生が自由に行ける場所ではなかった。

中学校も、全校生徒90名ぐらいの小さな学校だった。
小学校よりは、少しは広い図書室だったが、蔵書の数がめっきり少なく、本棚はスカスカの歯抜けだった。

田舎の街には、図書館と呼べる場所があった。そこには、子供達を黙らせる力のある図書館司書のお姉さんがいた。そのお姉さんの特殊能力のおかげで、静かな落ち着いた図書館だった。
そこにも、中学生という中途半端な子供大人、施設の入場料の表にある「中人」の為の書棚はなかった。

今更に思う。
何を読んでいたんだろうか。
背伸びをして大人の小説だったのか。絵本をよく借りていた記憶もある。

コバルトブックなるものが登場したのはその頃で、水を得た魚のように新刊が追いつかない勢いで読んだ。
が、コバルトブックに人生を揺さぶられたことはなかった。

世の中の蔵書数が、天文学的数字だと気づいたのは、かなり大人に近づいてからだ。
それまでは、田舎の街の本屋に並んでいる本が全てかと思っていたし、それなら全制覇も夢じゃないとさえ思っていた。
1日に200冊が出版されるとなれば、この50年の間に出版された本はまさに天文学的な数になる。
小さな図書室が世界の全てだった小学生時代。
読むべき本に出会えなかった中学校時代。
メジャーな本しかない図書館で、出会ってしまった渡辺淳一に塗りつぶされた高校時代。

あの頃に、こんな一冊「13歳から分かる!プロフェッショナルの条件」があったら、人生を揺さぶられていたかもしれない。
今からでも、この一冊を持って、あの頃にタイムスリップしてみたい。
もっと早くに夢の扉が開くかもしれない。

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