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気紛れ創作裏話⑨~幕末の香水

「鬼と天狗」の最新話(野総騒乱(5))は、もう全面的に「夫婦のあれこれ」の話なのですが(笑)、ここで意外と頭を使ったのが、「女性のおしゃれアイテム」。
りんが身につけている「珊瑚の髪飾り」は、本編を書く前に習作として書いた作品(妻の献身)で出てきた「鳴海からりんへの贈り物」だったのですが、それに加えて今回、鳴海を「その気にさせる」アイテムとして使ったのが、「薔薇水そうびすい」です。

何でも幕末の開国と同時に、女性のおしゃれアイテムとして「香水」も入ってきたそうなんですよ。ただし、現代のような濃厚な香りではなく、今で言う「ハーブウォーター」の類のようなものとのこと。ちょっとおしゃれな女性は自分で薔薇を育ててその花びらを摘み、蒸留して「自家製の薔薇水」を作る人もいたのだとか。
→精製レシピも出回っていたらしいです。

薔薇はどちらかというと「熟女」が使うイメージがあるので、彦十郎家のお隣である「丹羽図書ずしょ家」の奥様に薔薇水を作らせてみました。
なお、丹羽図書家は「にほんまつ城報館」の建設工事の際に発掘調査が行われたそうで、そのときに畑やガーデニング用品が出土したということから、当時「西洋文化」の香りがしたであろう「薔薇」も入れてみた次第です。

日本のバラ

ちなみに、日本における「バラ」というと、江戸時代以前は「野薔薇」を指しました。
もっともこの中には「はまなす」も含まれていたのではないか……というのが、私の推測。
→はまなすは日本~東アジア原産。「Japanese Rose」の異名もあるそうです。
結構香りが強いので、ひょっとすると、日本でもポプリ的な感じで使われていたかもしれませんね。

文学の世界のバラ

で、さらに。
本文では書かなかったのですが、「アラビアンロマンス(ハーレ・◯イーンなどでおなじみ)」では、誘惑アイテムとしてよく「バラ」が登場します。
一応アロマテラピーの世界では、バラの香りは「催淫効果がある」とかなんとか^^;
こちらは、香水の原材料としてよく使われる「ダマスク・ローズ」の原産地が中東であるために、「官能アイテム」として使われているようです。

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その辺りの無駄知識、もとい「豆知識」も駆使して、鳴海夫婦の休日の一コマを書いてみました。
割と女性特有の「香り」って、男性にはそそられるものがあるらしいですしね。それを「文章テキスト化」するのは、難しいのですが……。

まあ、私が鳴海の立場だったら、りんのような健気な奥様がいたら(しかも控えめな性格)、絶対にイチコロで、奥様一筋の愛妻家になっていたことでしょう(笑)。

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