法学セミナー~2021年12月号より
このところの世情を受けて色々調べているうちに、気になって、同書を購入しました。
法学セミナーの12月号は、「言論に対するゆるしと制裁」をテーマに、有識者の見解がまとめられています。
私が特に気になったのは、深町教授の見解でしょうか。少し、引用してみたいと思います。
深町説
これらを踏まえて、深町氏は
との見解を示しています。
私もこれについては概ね頷けるところです。
深町教授の論説によると、「オンラインハラスメント」の定義は、
とあります。
その上で、オーストリアの立法例(Cybermobbing罪)などを鑑みて、
匿名性
高度の流通性
オンラインにおける永続性
回避困難性
についても触れ、「オンラインハラスメント独自の処罰規定が必要」と述べています。
また深町氏は、行為者がSNSに誹謗中傷等の投稿を行って不特定多人数の目に留まるようにし、「炎上」を引き起こすような場合(公然炎上型)の犯罪行為に対して、処罰対象とした「オーストリア刑法」の分析について、解説されています。
オーストリアにおけるCybermobbing罪の検討
主な罪刑内容は、次の通り。
さらに2020年に同法が改正され、「継続的な嫌がらせ」から、「持続的ないやがらせ」に変更されていますので、「1回でも誹謗中傷投稿を行ったらアウト」という流れに変わりました。
日本ではネット上の誹謗中傷については、まだまだ甘いところがあります。
ですが、既に「テラスハウス事件」などを経て、「侮辱罪」の厳罰化の動きが見られます。
侮辱罪は厳罰化の方向へ
同書にあるように、侮辱罪部会は2021年10月6日に行われた第2回会議において、「侮辱罪の法定刑引上げ」に関する要綱(骨子)の通りに、法整備をするのが相当である、との採決が行われたそうです。
となれば今後noteでの投稿も、「特定の私的メールやメモまで開示し、誹謗中傷の材料とする」といった炎上手法は、noteの規約違反だけでなく、従来よりも、刑法上の問題として直接処理される可能性が出てくるでしょう。
そして「自分が気に入らない」という私的理由だけで、HNや特定の人物(法人も含む)を名指しし、繰り返し誹謗中傷を行う行為自体についてですが。
これからの法整備の内容次第では「行き過ぎた表現の自由」として、処罰対象となり得る可能性も示唆しているのではないでしょうか。
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