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ゆるい翻訳者は自分の子にどうやって英語を教えるのか

はじめて喋ったリアルな英会話の内容を覚えているだろうか。

ここで言うリアルな英会話とは、学校の授業や英会話教室の擬似的英会話ではなく、必要に迫られて話さないといけない状況での会話を意味する。

残念ながらわたしは覚えていない。

ただ、海外旅行にはじめて行った時に、中学レベルの英語で通じたことが嬉しかったのは鮮明に覚えている。

ここが英語独学のスタートだったことも覚えている。


息子が初めて話したリアルな英会話はこんなだった。

「Can I have my 3DS please.」

小4の時。

当時、任天堂3DSというゲームに夢中だった。

常にゲーム優先で宿題はいつも後回し。

小学生なんてそんなもんだと思うが、

ルールを守れないとゲームは私に没収される。

ようやく宿題が終わると

息子は3DSの返却を求めに来る。

はじめのうちは普通のやり取りだった。

息子:「宿題終わったから3DS返して」

わたし:「はいよ」と言って渡す。

小学生あるあるだ。

この様なやり取りは何度もある。

ある時思いついた。

せっかくだから英語で言ってもらおう。


そして、いつものように「返して」と来た時に

英語ではこんな感じになるけど言える?

と言ってみたところ、一刻も早くゲームを再開したい一心で私の言葉をオウム返しした。

「キャナイハブマイスリーディーエスプリーズ」
(Can I have my 3DS please.)


本当は、
「Can I have my 3DS back please.」
「Can I get my 3DS back please.」

などと教えたほうが現実的な気もしたが、一番シンプルで教科書に載っていそうな文にした。


そして、その次の時。

息子:「返して〜」

わたし:「返して欲しい時は英語で何て言うか覚えてる?」

と聞くと、当たり前のように覚えていなかった。

また教えてみる。


そして、その次の時。

わたし:「英語でなんて言うんだっけ?」

息子:「キャナ … 、何だっけ?」



そして、その次の時。

わたし:「英語で?」

息子:「Can I … う~ん」


何度か繰り返すうちに

ある時からフツウに言えるようになった。

そして何も聞くまでもなく、返して欲しい時は

「Can I have my 3DC please.」

と言うようになった。

この親は英語で言えばすぐ返してくれる、という歪んだ情報がインプットされてしまったかもしれない。

時には機嫌取りをするようなにっこりとした表情で言う時もあった。

一種の虐待ではないと思いたい。


ちなみに、この時は会話だけで英単語や文法には全く触れていない。

こんなに短い文なのに、中1で習う一般動詞、助動詞、代名詞が含まれている。



そして時は過ぎて、中学生になった。

小学生の時は英語塾とかに行ったことがなかったので、英語の授業や定期テストに慣れるまで大変なことも多かった。

だが、助動詞Canの単元は何故か「めちゃカンタン」とか言っていた。

3DSの件が功を奏したのか。

あるいは、一般的に難しい単元ではないのかもしれない。

わからない。


次は難しそうな単元の文法を使って話しかけてみようか。

そもそも反抗期なので相手にしてくれるかどうかが問題だ。

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