すれ違う想い…
私を帝王切開で生んだ同じ年に
胃がんの手術をした母
私が物心ついた頃には
ちょっと身体が弱いのが
母のスタンダードなイメージだった
だからなのか
母の膝の上に抱っこされることはあっても
お腹に力のかかる抱っこやおんぶは
された記憶がない
ふざけて体当たりしてしまうようなことも
NGなのは幼心に感じていた
その身体弱めの母が
要介護認定を受けたと
叔母からも聞き
夫からも帰国要請が出てきた…
子ども達と皆で住まう場所を探さないと
という私の思惑とは裏腹に
夫はまず私1人で帰国してほしいと言う
また子ども達と離れるの?
例え短い間でもイヤだなぁ…と思いつつ
夫婦関係がこじれそうになっていたからか
義母も子ども達はこちらでみるから
1人で帰国した方がいいと言う
異国生活中に何度も折れた心を
修復するには夫と2人の時間も必要なのか…
迷った挙句
半年の往復チケットを購入して
後ろ髪をひかれながら
私は息子達を日本に迎える準備をするために
1人帰国の途についた
・
・
夫の様子はこれまでと変わりないような
しかし
迎えにきた時に持ってきた
私のコートはしわくちゃで
ちょっとした価値観の違いだとしても
私が大切にされていないような
とても哀しい気持ちになった
息子達を迎えに行く準備を始めるべく
すぐにでも仕事に行きたかったけれど
弱りきった母は
私にそばにいてほしいと言う
母の住まう小さな部屋に
2人でずっといるのは
正直息が詰まる…
単発仕事に時々つきつつ
パソコンからインターネットを通して見る
世界や情報がせめてもの息抜きだった
夫といえば
今後の話をしたくとも
仕事や用事をあげては
私との時間はなかなかとらず
さらに溝が広がるばかり
そうこうしながら
着々と部屋探しなど進めて
あとは夫との話し合いが
上手くゆけば
予定通り息子達を迎えにゆける
と思っていたら
そんなタイミングで
『自分をとるのか子ども達をとるのか』
という
夫からの思いがけない言葉
この人は何を言っているんだろう…
子どもと自分を天秤にかけるなんて
予定通りに迎えにゆけば良いものを
両親の離婚にダメージを受けた体験から
離婚をできるだけ避けたかった私は
夫の言葉に戸惑ってしまった…
なんとか話し合いして
夫の合意を得れば
子ども達を迎えに行けるだろう
そんな期待は
大きな間違いであることを
まだ気づくことができなかった