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会社に依存せず、自由な働き方と人生を切り開いていく人たち


フリーエージェントとは、会社に所属することなく、自分の得意なスキルを活かして自由に働いている人のこと。
自分な好きなことを仕事にして、好きな時に働き、好きな時に休むなど、労働時間を自分で決めることができる。
ワーケーションのような働き方に似ているけれど、ワーケーションと違うところは、会社員なのか、それともフリーランスなのか、ということ。
会社に所属していないフリーエージェントは、仕事は自分で顧客を獲得しなければならない。
いくつもの顧客と契約し、複数のプロジェクトを掛け持ちする。
一つの仕事がなくなっても、次の仕事があれば食べていけるように、彼らは仕事を「分散投資」する。
全ては自分次第であるため、とりあえず働いていれば給与がもらえる会社員と比べると、仕事に対する意識や責任は重くなってくるだろう。
フリーランスや業務委託として働いている人たちは、自分の裁量で仕事量や案件、働く時間や休む日を決める自由がある。
自分の好きなように働けるのは大きなメリットだけど、安定するためには仕事を見つけ続けないといけない、というプレッシャーもあるのではないだろうか。
この本は少し古いけれど、当時のアメリカでは、人口のほぼ半分ほどの人たちがフリーエージェントとして独立しているらしい。
そういう働き方は先をいっていたようで、今では誰もがそのような働き方を選ぼうとしている。

フリーエージェントが増え続ける理由としては、会社での仕事にやりがいを感じなくなった、という人が多くなっているだろう。
長く勤めれば勤めるほど雑多な仕事に追われ、なりたくもない管理職になったり、異動などによって希望する仕事ができなくなって、会社も仕事も楽しさを感じられなくなる。
会社に忠誠を誓う時代は遠い過去のものとなり、給料の高さよりも、仕事のやりがいを求めるようになっている。
高い給料をもらう分、やりたくない仕事をやるくらいなら、給料が少なくても、毎日が楽しくやりがいを感じられる仕事がしたい、と考える人が増えている。
他にも仕事と生活のバランスを重視し、給料が低くても、自分のやりたいことをやるための時間を確保したい、家族と過ごす時間を確保したい、といったニーズが増えてきている。
「自分はこういうことがしたい!」という明確な意思があり、優秀な人材ほど会社員から抜け出し、独立を選んでいる。
そのような欲求を持った人たちは早々に会社から脱し、フリーエージェントとして自由な働き方を選んでいるのだ。

さらには、会社員としての安定が脅かされていること。
人生の寿命は 100年時代になろうとしており、ますます長生きするのに対し、会社の寿命は反対に短くなってきている。
技術の進歩によって変化のサイクルは爆速に上がり、「従業員は皆家族」だった時代は過ぎ去り、業績悪化によりリストラや倒産などのリスクが高まっている。
日本でも終身雇用はなくなり、企業年金もあてにできない。
むしろ会社員を続けることがリスクになりうるの時代になってしまった。
収入源を一つの会社に依存していると、カゴが落ちて卵が割れてしまったら全てがダメになってしまう。
それよりも複数のカゴに卵を入れておくことで、一つがダメになっても分散していることで他でカバーできる。
投資の世界と同じように、複数のクライアントと契約したり、複数のスキルを活かして働くことで収入源を確保する。
これからの時代は、自分の身は自分で守ることが必要不可欠なのだ。

フリーエージェントといっても、その実、内容は複数ある。
一つは高いスキルと活かして独立し、個人事業主として活躍する人たち。
彼らは会社員時代に培った高いスキルと経験を活かして、自ら顧客を開拓し、仕事を獲得していく。
もう一つは、起業して会社を立ち上げるミニ起業家。
個人事業主として 1人で起業する人もいれば、複数の従業員や仲間を募って仕事を獲得する。
彼らは最低限の人数で仕事を行い、規模を拡大する気はない。
そしてもう一つが、契約労働者。
いわゆる派遣労働者のようなもので、正式に会社と契約しているわけではないので、待遇も、給与も、保証も約束されていない。
高い専門性を持っているフリーの人たちはごく少数で、フリーエージェントの大半は契約労働者が占めている。

自分の好きなことで、得意な能力を活かして働けることは、仕事に対するやりがいも、楽しさもあるだろう。
だけど、仕事を請け負えるほどの、「この人なら安心して任せられる」といってもらえるほどの高いスキルや経験を持っていなければ、独立したところで仕事にありつけない可能性が高い。
フリーエージェントとして生きていくためには、会社員である一定の高いスキルと専門性を身につけてからでないと、独立して働くのは無理ではないだろうか。
フリーエージェントとは、評判がそのままストレートに自分に返ってくる。
きちんと依頼をこなし、精度の高いものを提供し、信用度を高めていかなければ、次の仕事につながらない。
いい噂も悪い噂もすぐに広まる。
自分個人として勝負しなけれないけないからこそ、生半可なレベルで生き抜くことはできないシビアな世界だろう。

独立して自由に働くことができるのは夢だけど、誰でも簡単になれるものではない。
個人で勝負するには、高い専門性や実績が必要とされる。
それがあって初めて自立することができるんじゃないか、と読んでいて感じずにはいられない。

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