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死亡率3分の1の急性膵炎という病気になった件(3)

その2はこちら。

歩行困難に陥る

入院して五日ほど経って、食事が摂れるようになったころだった。

トイレに立とうとした。点滴のパイプにキャスターがついており、それにしがみついて立ち上がった所、フラッフラで立てないのだ。

どうやら五日も歩かないと、人は筋肉が衰え、体力もなくなり、歩行困難になるらしいとその時知った。

漫画なんかで寝たきりだった主人公が快復してすぐ叩き出すが、あればフィクションで、現実には数日間寝てると立つ事も難しい。

ヨボヨボのおじいちゃんのように、とぼとぼとトイレへの往復をして帰ってくると、息切れしつつも多少気分転換になったことを覚えている。

10日間経ってようやくのシャワー

日本人はほぼ毎日頭髪を洗うと思う。私もだ。

しかしこの入院期間中は、体を拭くのみで頭を洗えなかった。

10日間ほど洗髪しないと、どうなるかと言うと、まず頭がどうしようもなく痒くなって、油でギットギトのゴッワゴワになる。

不快この上ないので、一刻も早く頭を洗いたかったのだが、そうこうしていると、荷物を取りに家まで帰って良いと言う外出許可が降りた。

埃の溜まった自宅に帰ると、まっ先に頭を洗った。入浴禁止だったので頭だけだったが、脂が取れるだけで気分は雲泥の差だった。

アマゾンの奥地の人は川で洗ってんのかなぁ
なんて思いつつスッキリした顔で病室に帰ると、長期間入浴してない患者向けに病院でもシャワータイムを用意してくれることを知った。

無事入浴禁止期間も過ぎた。頭髪を洗う事の精神的重大さを知った自分は、翌日、喜んでシャワーを浴びるのだった。昨日無理して行かなくても良かったかなぁ、なんて思いながら。


つづく


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