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20歳の大学生が京都でカーリング日本選手権を目指した結果と将来

カーリングを始めたい・楽しみたいなら

 今日は2022年2月4日、第24回オリンピック冬季競技大会、つまりは2022年北京五輪の開会式が行われる日。冬季五輪の人気競技のひとつであるカーリングを身近に感じてもらいたいという思いで、6年間カーリングを楽しんできた大学生カーラーの私はnoteの画面を開きました。
 あなたは、カーリングを始めたい、楽しみたいと思われますか?それとも、見るだけで十分ですか?もしかすると、カーラーとしての私の経験に興味をお持ちでしょうか?まずは私からカーリングへの入り口を紹介し、それから大学生カーラー体験記、最後に将来への抱負を述べますね。超長文になりますので、見出し機能や各種リンクを活用して、ストレスなく楽しんでくださいね。まずはカーリングを始めたい・楽しみたい方向けのおすすめの情報です!

日本代表ロコ・ソラーレの藤澤五月選手と韓国代表の「メガネ先輩」ことキム・ウンジョン選手


テレビ・YouTube・Instagramで情報収集

 カーリングに漠然と興味をもった方は、まず第一に、NHKなどのチャンネルで放映されるテレビ観戦が簡単でしょう。オリンピックのカーリング競技の日程・結果はもちろん、情報量が非常に充実しているでしょう。NHKは常時、NHK sportsのサイトで最新ニュースや放送予定一覧を発信しています。テレビ放送の特徴は丁寧なルール説明と詳細な数値データでしょう。カーリング女子の順位表や日程表、予選通過ラインなどが一目瞭然で分かります。
 テレビ並みに優しいファン向けの文字情報に触れるなら、カーリングファンクラブのサイトが非常に優秀です。オープン大会の情報など、NHKなど大手メディアでは収集できないレアな情報も更新されます。類似のサイトはありますが、網羅的にカバーしているのはカーリングファンクラブのサイトでしょう。
 オリンピックや世界選手権などの試合が少ない時期には、Youtubeが有効です。3つのチャンネルをおすすめします。世界のスーパーショット集が見られるなど、映像に興奮してしまうワールドクラスのチャンネルは「 World Curling TV」です。英語字幕がついたり、ヨーロッパやアジアのプレーが見られたりする上、更新頻度が非常に高いので半永久的に楽しめるでしょう笑
 二つ目のおすすめはカーリング男子SC軽井沢クラブに所属され、美しい筋肉と爽やかな笑顔がトレードマークの山口剛史(つよし)選手による「カーリングYAMAチャンネル」です。トピックのバラエティが多彩で、例えばロコ・ソラーレや北海道銀行フォルティウスの女子選手をゲストに招いた対談や、日本代表決定戦やオリンピックの試合などのLIVE裏解説、「戦法入門」と題された作戦講座などのコンテンツで、素人にも優しい素敵なチャンネルです。
 三つ目のおすすめは、世界選手権3度出場の実績、公務員からカーラーになったという大野福公選手による「大福CurlingTV🥌大野福公(カーリング)」です。大野選手の落ち着いた「カーリング応援解説」、短時間で密度の濃い「北京五輪クイズ」などのショートコンテンツには唯一無二の魅力があります。
 最後に、チームや選手を限定してニッチな情報収集がしたい方には、Instagramのフォローをおすすめします!ロコ・ソラーレの吉田知那美選手のInstagramはストイックにジムで筋トレに励む姿、ドライブやファッションのこだわりが見えるオフショットが華やかです。山口剛史選手のInstagramも日々の練習や大会出場記録が豊富です。YouTubeの方がおすすめですが、山口選手の筋肉や笑顔の静止画を見たい方はぜひInstagramを。さらに、北海道コンサドーレ札幌所属の清水徹郎選手のInstagramは投稿数が多く、彼のアウトドアの趣味が鮮やかな写真とともに伝わってくるので推します。
 テレビ・YouTube・Instagramで情報収集することでスポーツ自体に親しむことになるのはもちろん、「あのチームを応援したい!」「あの選手と試合がしたい!」という目標ができるので、メディアをフォローアップすることはカーリングを楽しむためには必須です!

「#カーリング」でInstagramを検索した結果


カーリングホールへの移動手段を確認する

 情報収集ができたら、体験したくなるでしょうね。まずは住んでいる地域から一番近い「カーリングホール」を検索しましょう。例えば北海道なら、道内18施設でカーリングをプレーすることができます(参考:北海道カーリング協会HPの地図)。最寄りのカーリングホールに片道4時間以内の移動でアクセスできるなら、公共交通機関あるいは自家用車で日帰りの体験が可能でしょう。しかし、たとえば京都在住の私のように最寄りのカーリングホール「Curlplex Fuji」まで片道5時間かかるような人は、どうしたらよいでしょうか。
 簡単な問題でしょうか?答えは「スケートリンク」。私が知る限り、南西の方角から熊本県・福岡県・島根県・愛媛県・広島県・岡山県・兵庫県・大阪府・京都府・岐阜県・新潟県の2府9県には、カーリングのストーンがあります(or 持ち込まれることがあります)。これらの県にはカーリングホールはないはずですが、競技の体験会やオープン大会が経験できます。ですから、これらのカーリングホールがない府県や隣接地域の人は、スケートリンクのカーリング体験会などのイベントを検索しましょう。ストーンがないことにはカーリングをプレーする楽しみが半減しますが、ストーンがあるのならばスケートリンクで我慢しましょう。ただし、体験会は時間が短く移動が長いとタイムパフォーマンスが悲惨です。片道2時間以内の移動であればスケートリンクで継続するカーラーを知っていますが、片道2時間を超えるなら飛行機移動や泊まりがけにしてでもカーリングホールへ移動して体験することをおすすめしますし、そのほうが楽しく続けられるはずです。
 移動手段を確認していよいよ体験。体験するときのポイントを解説しますね。

京都から軽井沢アイスパークへは6時間以上かかります


体験会に参加してチームメートと出会う

 小見出しの通り、体験会で未来のチームメートと出会うことができたら、カーリングを継続して楽しめる可能性がグッと高まります。例えば東京の方の場合、Tokyo Curling Club(カーラー通称:TCC) のカーリング体験スクールのご案内を参考に考えましょう。個人単位で「スクール」を受講するというのは少し身構えるかもしれませんが、初体験の人や初心者がいたらチャンスです。会話してカーリングへの熱意の程度が近いなんてことがあったら、その出会いが一番の収穫だと言い切れます。
 なぜなら、体験会に参加する目的は上達することではなく、体験をきっかけにしてカーリングを続けられる手応えを得ることだからです。というのも、大人が継続して上達するには一緒に上手くなっていける仲間の存在が重要だと私は考えています。上級者には既にチームメートがいるケースがほとんどで、熱意の程度が違う仲間を受け入れにくいのが普通です。ですから、純粋にカーリングを楽しみつつ、近いレベルで一緒に上達していける仲間を見つける目的意識をもって体験会に行くことをおすすめします。

20歳からの挑戦の結果と感想ダイジェスト

 以降は私の経験に基づき、20歳の男子大学生がカーリングを始め、5年半でどんな結果が得られたか、完全再現してお伝えします。
 要約しますと、20歳で西日本選手権に出場、22歳で混合4人制の日本代表決定戦に西日本ブロック代表として出場、以降は全日本レベルの大会には出場できていない、という結果があります。1年ごとに振り返るとどのようなステップアップあるいはステップダウンがあったのかが明らかになります。
 結果として数十の大会に出場して中級者レベルには達した時期があった一方、ライフステージや仲間や時代状況の変化に伴って、「細々と続けられている」程度なのが今の現状です。
 私の経歴を読んでいただくことで、カーリングに適さない環境でこのスポーツに惹かれた大人が、どんな経験をしながらカーリングと付き合っていけるのか、ノウハウやマインドが伝わることを期待できます。お付き合いくださいませ。

ソチ五輪後の女子・北海道銀行の観戦がきっかけ

 私とカーリングの出会いはソチオリンピックで小笠原歩選手・船山弓枝選手らの北海道銀行フォルティウスが5位入賞を果たした後の夏、YouTubeでアジアパシフィック選手権の戦いぶりを観戦したことでした。カーリング女子は当時から、カーリング男子より注目度が高かったのです。
 硬式野球部に所属しながら難関国公立大学を狙っていた18歳の私は、「氷上のチェス」と呼ばれるカーリングに、知的な香りとチームワークの精神を感じ取りました。野球部ではスターティングメンバーに入ることがなく、投球恐怖症にもなっていた私は、大学に進学して打ち込むことができる新たなスポーツを探していたのでしょう。YouTubeのアジアパシフィック選手権の動画を見て衝撃を受けました。
 そして偶然にも、当時第一志望にしていた京都大学に「京大カーリングサークル Brush UP !!(←数年更新されていないブログ)」があることを発見します。ブログ・ホームページよりBrush UP!!のTwitterが充実していたので、Twitterもフォローしました。こうして、京都大学に特別な愛着はなかった私が、カーリングをできる大学生が集っているサークルがあることをモチベーションに受験勉強に励むことになったのです。

京大カーリングサークルで競技を始めた当時の私


カーリングができる大学一覧

 ここでTips、耳寄り情報を挟みます。大学生以下、特に高校生の方で進学先の大学でカーリングを始めたい方向けに、同世代の仲間が見つかる大学と地域をご紹介します。
 カーリングの部活・サークルの区別は行いませんが、14の大学にカーリングチームがあります(休部中も含むかもしれません)。それぞれ大学名からホームページやSNSのアカウントに飛べます。なんとなく北から並べます。
 偏見まじりの私のイメージを添えておきます。ユニフォームからイメージカラーを叫んでいます。
稚内北星学園大学 ニューフェイス!着実に力をつけている!黒!
北見工業大学 桝井文人教授の研究を生かした技術!体格がよい?黒!
東京農業大学(北海道オホーツクキャンパス) 穏やか、網走、緑!
北海道大学 札幌の雄。知的、細身、フレンドリー。紺!
札幌国際大学 常勝軍団、少数精鋭。次世代の顔!青!
帯広畜産大学(併記:Twitterアカウント)安定の技術と笑顔!黄色!
弘前大学 直近の大学選手権4位、青森の復権!黒!
秋田大学 新星!イベント充実、男女混じってわいわい!白と青!
岩手大学 (←追記)新設!存じ上げません!
城西大学 心配…諸々の更新が止まっている…群馬県!
信州大学繊維学部 眠りの時代を経て復活!?学部限定なの?黒!
関東学生カーリング 発信が元気な男子大学生!山中湖多め?青?
富山大学 (←追記)公認化おめでとうございます!
京都大学(Instagram) 知的?安定の人数、コスパ悪め?白と赤!

 これらの大学に進学すると部活動やサークル活動としてチームを結成し、同世代の仲間とカーリングを始めることが可能です!他にも、岩手県(特に盛岡市)、神奈川県(面識あり)、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県には、高校生から大学生のカーリングプレイヤーが複数在住していることを私は知っています。これらの大学や地域であれば、私のように20歳前後からカーリングの競技を始めることが十分可能です。それ以外の地域に進学する、在住である方はチーム結成が難しいですが、カーリングホールに直接出向いて仲間を作ることをおすすめします。


1年目・スケートリンクの体験・道具選び

 耳寄り情報を挟んだので私の経歴から話が外れました。話を戻します。
 18歳で京大カーリングサークルへの入部・入会を志した私は、京都大学を受験しますが、1度目の挑戦は失敗に終わりました。2015年3月9日、自分の不合格を確かめたあと、キャンパスで涙にくれる私の前に、なんと白と赤のウインドブレーカーの人たちが…。私は興奮して、彼らにこう宣言しました。「僕、今年は不合格だったんですけど、来年合格してサークルに入ります!」と。奇人の行動でしたね。プラス1年、受験勉強をしましたが、無事に1年後合格しました。
 2016年3月30日が私のカーラーデビューの日です。場所は西京極の京都アクアリーナ。「アクア」の名の通り、夏場はプールになっているスケートリンクは、私にとっては「アイスアリーナ」なのです。サークルが主催したスケートリンクでの体験会は、優しい先輩方から事故防止の注意と基本的なフォームを教わり、安心感たっぷりでした。私の心は初志貫徹。その場で入会を宣言しました。
 入会期間の締め切りのタイミングで、京大カーリングサークルには20人の新入会員がいました(!)。男性が19名、理系受験が多かったですね。私は新入生ながら勧誘側にまわり、理学部や工学部の男子たちを積極的にスカウトしました。当時のサークルの魅力は、サークルを兼ねてよいという気楽さ=ゆるさ、京大生を誘惑する知的な競技、Twitterなどユーモアのある発信力、の3つだったと記憶しています。
 道具は青森市のスポーツメーカー、イシダスポーツさんに発注しました。例会(定例会)にて先輩からおすすめのシューズとブラシについてレクチャーがあり、競技する気まんまんですがお金のない私は、滑りやすさ優先のシューズと、少し重いけれどパッドがよく回転するブラシを購入しました。シューズは¥25,000、ブラシは¥12,000ぐらいだったとぼんやり記憶しています。
 今でも変わらず言えることですが、シューズはスライダーが分厚い(=数字が大きい)ほど滑りやすいです。ブラシは素材次第でカーボンなどが軽いのですが、軽いほど高価です。ブラシの重さは練習量でカバーできる、という体育会系の自信をもとに私は、太いブラシを選んだのでした。


デッキブラシだった時代?ブラシ軽量化の波が止まらないです

サークルの団体概要

 私が所属した京大カーリングサークルBrush UP!!の団体概要をご説明します。

  • 団体名:京大カーリングサークルBrush UP!!

  • サークルの区分:京都大学公認サークル(インカレ)

  • 部員数:40~60名(時期によって変動)

  • 公式戦選手登録者数:5~10名/年

  • 創設年:2009年(2022年で14期メンバーが入会)

  • 活動場所

    • 西京極アイスアリーナ

    • 木下アカデミー京都アイスアリーナ(京都府宇治市)

    • 軽井沢アイスパーク

    • カーリングホールみよた

    • Curlplex Fuji(山梨県南都留郡山中湖村)

1年目・京都府選手権優勝&西日本選手権リーグ敗退

 1年目に所属したチームの結果は節タイトルの通りです!
 前節の体験会のあとは 6月に1回、夏休みに1回、軽井沢アイスパークで泊まりがけの合宿をしました。人数は大切!さらにカーリングシートに見立てたアクリル板の上をブラシで擦るスイープ練習を月に3回程度。京都大学のジムで筋力強化のトレーニングも複数回しました。
 1年目の初心者である私が2年目、4年目の先輩方のチームに迎えられたポジションは、1番に石を滑らせ、エンドの流れを左右するリード。10月以降毎月2回程度、あさまハイランドスポーツクラブが運営するカーリングホールみよたを練習の本拠地にして練習に励みました。
 1年目にできるようになったことを列挙しますのでご参考に。

  1. デリバリーで転倒しない。ルール違反や反則をしない。

  2. バックーホグ=3.0秒ぐらいまでの速いウェイトを投げられる。

  3. 石のそばである程度有効なスイープができる。

  4. スキップが1投に期待する意図が分かって試合ができる。

 初の公式戦である京都府選手権まで、アイス上で練習した時間は総計約10日、30〜40時間程度でしょうか。ただし、2. や3. の表現が示唆するように、ウェイトを自在に調整して狙い通りの位置に石を止めたり、石が曲がるのを止められるぐらいのスイープをしたりすることはできませんでした。
 まして、4. のネクストステップである、自チームや相手チームの戦略を理解して判断できるような頭脳は全くありませんでした。
 実力のある先輩たちの活躍で、「京都府選手権優勝&西日本選手権リーグ敗退」という結果になりました。
 年度末には、全国の学生カーラーたちが北見市常呂町のアドヴィックス常呂カーリングホールに集結する通称「学生大会」に参加しました。同学年のチームでスキップに挑戦し、3戦勝利なしでした。東京農業大学の友達のお家にお邪魔したり、北見の名物ドリンクである「流氷ソーダ」を味わったりしたのがよい思い出です。

北見市常呂町名物?流氷ソーダです

 このように、カーリングが盛んでない僻地の大学生にとっては、上達までのコストが大きく困難です。しかし、カーリングをするのに伴うドライブや観光のイベントが楽しく、試合の緊張感と緩和されたレジャーの要素が混じっていることで、全国レベルとの壁を感じても楽しく続けられたのです。

2年目・京都府選手権敗退から大学選手権全敗

 2年目はサークルの会長に就任し、チーム編成や新入生勧誘に携わりました。前年私が所属したチームの躍進を支えた先輩は遠方へ旅立ち、私は1学年上の別の先輩のチームでセカンドやサードを務めるようになりました。
 チームの結果は節タイトルの通りです!ほぼ同じメンバー構成で、公式戦は6戦6敗。できることは増えても、相手のお手伝いをしてしまうような初歩的なミスが目立ち、個人が少しうまくなったところで必ずしもチームとして成長しないことを痛感した1年でした。
 2年目にできるようになったことを整理したものが以下です。

  1. デリバリーでクセの傾向が定まる。回転数も安定する。

  2. バックーホグ=2.8秒ぐらいで投げられる。ラインは5割失敗する。

  3. ティーライン前後の精度でジャッジができ、有効なスイープが増える。

  4. 相手が次の1投で狙うことを予測して作戦を理解できる。

 2年目のサークル合宿の頻度は変わりませんでしたが、練習量と作戦のミーティングが少なく、戦略面はスキップとバイススキップ任せの1年でした。1. は成果で、失敗の傾向をつかんで心がけやライン指示の場所をスキップと調整できるようになりました。情報戦であるカーリングは、当然仲間のクセにも精通しなければいけないことを学びました。
 4. については、私の成長の分岐点が2年目にあったと思います。相手の予測ができるようになる余裕が試合中に生まれましたが、「バイスキップ/スキップでコールがしたい」と言い出さなかった私は、いわゆるフロントプレーヤーへの経路を選ぶことになるのです。ですから、エンド全体、そしてもちろんゲーム全体のプランを脳内で整理できる訓練を積んでおけば、もっと戦略を理解できるプレーヤーになったのに…と思います。

2年目はアイスメイクをするスタッフを少しだけ経験しました


3年目・男女混合4人制の日本代表決定戦

 3年目の2018年は、1年目にチームを率いてくださった先輩が復帰され、異なる形態の2チームで共に全国大会への挑戦を続けました。
 春先から夏までは、男女混合4人制の世界ミックスカーリング選手権(10月にカナダにて開催)の日本代表を決める決定戦に照準を定めました。2年続けて男子4人制で日本選手権出場を目指した私にとっては新たな挑戦です。札幌のどうぎんカーリングスタジアムを予約して練習したのは、観光や交流ができたので素敵な思い出です。Tipsをひとつ。札幌で練習するには会員登録、抽選、当選を経ないといけません。遠方のカーラーは要注意です。
 2018年は8月の24日から26日にかけて、北海道・東北・関東・中部・西日本の予選を勝ち抜いた計10チームが、1枠をかけて日本代表決定戦を争いました。私たちは岡山県倉敷市のヘルスピア倉敷で行われた西日本の予選(6チーム参加・決勝に進んだ2チームが西日本代表)に出場し、見事2位になりました!日本代表決定戦では、5チームからなる予選リーグで全敗し、最後に9位・10位を決める順位決定戦にて初勝利を記録しました。
 なお、2018年の優勝は中部代表で長野県の若手メンバーで構成されたTEAM KARUIZAWAでした。ちなみに過去の世界ミックスカーリング選手権には2015年には石崎琴美選手(2022年現在ロコ・ソラーレのリザーブ)、2015年、16年は大野福公選手が出場されており、日本の最高位は2016年のベスト8です。
 最後に3年目の8月ごろ、つまり全国大会に出場できたころの私の成長をまとめてみます。

  1. デリバリーのクセが小さくなりリリース後のコールができる。

  2. バックーホグ=2.7秒ぐらいで投げられる。ラインは3割失敗する。

  3. ジャッジの精度は下がるが、全力のスイープを継続する持久力がつく。

  4. 相手が次の1投で狙うことを予測して、弱者なりの戦略を立てる。

 1. は気の弱い初心者がなかなか習得できないマインドブロックだと思います。というのは、デリバリーが安定して石の動きを予測する頭脳と、スイーパーとスキップに主張できる確信や自負心が育ってはじめて、自分の投げたストーンのコールができると考えるからです。コールができるまでは、石から視線を逸らしてスキップにお任せ→石についていくだけ→ミスを取り消そうと自らスイープに加わるなど、理想的なチームプレーからは遠い行動をとりがちでした。
 3. については、男女混合4人制という特性が私に与えた影響です。私のチームでは男性の先輩がフォーススキップを務めたので、私のスイープの相方は常に女子選手でした。ですから、力強く長時間のスイープが求められるときはたいてい私の出番となり、ジャッジに注力しない分、スイープを持続することに慣れました。最後に4. について補足ですが、日本代表クラスで他地域の選手と連戦でゲームをするのは、この大会が初めてでした。投げ手のショットの精度で大きく差があり、連敗が続く中で、弱いチームなりに展開を予測する能力がついたと思います。具体的には、「フリーズを狙った結果かえってダブルテイクアウトされるよりは、角度をつけて相手のテイクショットが難しくなるように」などです。もちろん、大敗が多く1勝しかできなかったので、具体例のような発想が結果に結びついたわけではないのですが(笑)。

札幌市の「白い恋人パーク」を訪れた3年目。自作のクッキーです。


3年目・西日本選手権準優勝、全日本まであと1勝

 9月からは何度か登場したスキップの先輩と同世代の男子たちで集まり、男子4人制での日本選手権出場を目指しました。結果は節タイトルの通り。
 練習量が最初の大会まで20時間以上で過密だったこともあり、6年間のサークル活動を通して一番完成度が高いチームでした。一言で表すと、「テイクショットが安定した、フォースがドローを止められる失点しないチーム」でした。
 京都府選手権は2チームの勝敗が並んだことでプレーオフにもつれ、前年度西日本代表の大阪のチームを破り、西日本選手権に進みました。西日本選手権では、福岡の強豪・チームSISさん(=西部ガスシステム情報株式会社さん)を破ったことが記憶に残っています。予選リーグでは岡山CA:通称待ジャパンさんを撃破できたのですが、夢中だったので記憶から飛んでいます。
 詳細はともかく、3年目の冬は私のスキルがピークに達していました。

  1. ドロー/テイクの苦手がなく、スキップと連携してコールできる。

  2. バックーホグ=2.7秒ぐらいで投げられる。失敗は1割ほどの試合も!

  3. スイープの持久力が高いうえ、プッシュスイープなど使い分ける。

  4. チームの作戦を共有し、してはいけないミスをチームに伝達できる。

 1. と2. は文面通りなので補足しません。3. は夏までの成果をそのままに、スイープの力強さや向きを使い分けられるようになりました。さらに、同じメンバーと練習を繰り返すとジャッジの間違いが少なくなるので、ドローウェイトの判断ミスが減りました。4. はこのチームに高い勝率をもたらした要因でした。セカンドの私は、フォーススキップとサードバイスの判断の傾向を理解していましたし、エンド間に「◯点取りたい」と共有できれば「なるほど、この作戦だな」とパターン化できるぐらいに作戦が染みついていました。
 そして何よりも大切なことですが、してはいけないミスをチームメートに発信できる判断力が備わっていました。カーリングには、相手を手伝ってしまうようなミスショットが存在します。とはいえ、スキップが明示するのは理想的なショットのみである場合がほとんど。初心者・中級者では理想を追い求めすぎて失敗したり、及第点のショットをイメージするのが精一杯だったりすることが普通だと思います。しかしパターンが固まっていた私たちは、「ナローよりはワイドに」「ハウスインはしないように」などとメンバー内でアラームを鳴らしあっていたイメージです。
 西日本選手権の決勝戦では初優勝を飾った京都CAさんの前に屈しましたが、準優勝という結果は、練習に費やした時間やストレスが報われるものだったと記憶しています。リードを務めた先輩と笑い合って進めていたゲームが忘れられません。


4年目の秋?新潟県でもカーリングができます!

4年目・公式戦未出場とミックスダブルス(MD)?

 ひどい長文ですね。あっさり書きたいものです。
 4年目は節タイトルの通り、公式戦に出場せず、後進のメンバーへの指導やマネージャーに徹しました。というのも、私はカーリングを離れると勤勉なほうの大学生でしたし、大学院に進学して研究の可能性を探っていこうとする時期を迎えていました。大学院に進むためにもっと勉強しないといけない、卒業論文を書く時期とカーリングの大会準備が重なる、といった問題によって、公式戦出場を諦めざるをえませんでした。大学生カーラーにとってこれは選手キャリア上の問題でしょう。4年目でチームの主力となってしまうと手加減が難しいですので、関東・中部の大学生カーラーが最高学年になると動きが鈍くなる傾向にはこうした背景があるはずだと睨んでいます。
 他方で、ミックスダブルス(MD)への興味が湧いてきたのが4年生の時期です。京大カーリングサークルから「全農 ミックスダブルスカーリング日本代表決定戦(リンク先は直近大会のもの)」出場チームが現れたため、マネージャーとして同行しました。実績があるサークルの先輩にお声がけして、ペア結成を約束したこともありました。ちなみに約半年後に、先輩のお仕事が忙しくなったことを一つの理由に、約束を解消することにしました。年齢を重ねて元気に働くようになる年代のカーラーにも、公式戦出場から遠ざかる傾向があるのだと思います。
 MDへの興味については簡潔に書きます。感想レベルで今でも無知なのですが、1エンドに5投しか投げられないという制約を乗り越えて「得点を掠めとる」スタイルの巧さに惹かれています。4人制がより複雑な戦略やパワーを必要とするのに対し、MDは少ない情報とパワーで再現性が高い技巧的なプレーが求められる印象です。つまり、自分ひとりにかかる責任の大きさを感じながら繊細な技で勝負していくことに、4人制とは種類の違う魅力を感じているのです。

5年目・コロナ禍での新チームで西日本選手権2敗

 4年目の終わり、新型コロナウイルス感染症が国内で流行しはじめ、出場を予定していた大会が中止になるなど、カーリング界にもショックが走りました。
 迎えた5年目の4月。3年目にチームを組んだサードバイスの呼びかけがあり、さらに青森と福岡にそれぞれルーツをもつ男子メンバーの加入によって、チーム「京都大学」の結成が実現しました。仲間に恵まれました。
 私はセカンドとしてチームに復帰しました。この年は予選にあたる京都府選手権が開催されず、12月の西日本選手権のみが公式戦でした。会場は稚内市みどりスポーツパークでした。新型コロナウイルス感染症の拡大を理由に活動が大幅に制限された中で、LINEでのミーティング・チーム内の作戦とルールの共有を積極的に行いました。カーリングホールの休業の事情は施設によって様々なので、情報収集から始めなくてはなりませんでした。
 結果は節タイトルの通りです。私たちの作戦やビジョンは悪くなかったのですが、練習量が少なかったことと変化するアイスの状態に翻弄されたことで、2戦2敗で予選リーグ敗退となりました。今やオリンピックではマスクを外してプレーするトップアスリートの試合を観戦できますが、マスク越しのコミュニケーションやスイープは、私たちにとって困難を窮めました。

  1. ドローが苦手になり、自分のストーンの曲がり方が不安。

  2. バックーホグ=2.7秒ぐらいで投げられる。失敗は3割ほど!

  3. プッシュスイープなど使い分けるが、スイープは息切れ。

  4. チームの作戦を構築し、してはいけないミスをチームに伝達できる。

 1. はカーリングの僻地のカーラーの衰え方を伝えて端的に示しています。ブランクがあることで指先の感覚がままならず、ストーンが予想以上に曲がってしまうことが多々ありました。ウェイト感覚の調整も難しくなります。スケートリンクの練習が中心になる場合、どのようにリリース、特に回転数を調整できるかは、私以外の方にも当てはまる課題だと考えます。
 3. は単純にトレーニング不足ですので補足はないです。4. については、僻地のカーラーがコロナ禍で戦う上で必須です。チームの作戦を積極的に「構築」し、具体的にはコーナーやティーライン奥の考え方をブラッシュアップしていくことができました。一例にすぎませんが、5年目ともなると作戦構築において新たな観点を提示できるステップに達したいものです。積極的に「〇〇の情報を出そう」「★★のラインを□エンドで試そう」など、具体的に提案できていたことには、5年目の私の成長がありました。

 ここまで、20歳でカーリングの競技を始めた大学生カーラーの奮闘記のような形で、上達のポイントと結果の概略を示してきました。京都市在住の大学生の事例にすぎませんが、カーリングをブレーする環境の違いやプレーの前提になるステップ、上達するスピードやスキルの目安になっていればと願って已みません。以下の短文は、有料コンテンツにしようと思います。実験的に。

6年目・新チームの見通しとWCTJの話題

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