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びっくりのインド ● 22 ● 朝のルーティーン

日本では 「朝が苦手」 という人が多い。
私も朝は苦手だと思っていたが、アメリカにいたころにはそんな風に思ったことはないし、インドでは一番好きな時間だったことを思い出すと、きっと私は朝が苦手なのではなくて、日本社会がそういう風に構成されているからだと気付いた。
これについては、もっとインドの諸々のことを記事にしてから、話したいと思う。

インドに住み始めたときは、部屋を掃除してくれる人が毎朝 7 時にくることがプレッシャーで、毎日そんなに早く起きれるだろうかと思っていた。
ところが、少しずつ早起きするようになり、というより早く起きることが至極幸せで、毎朝 5 時には起きた。

目覚ましが要らないことは、すぐに気づいた。
それは毎朝 6 時になると、緊急速報かと思うほどの大音量で、街に幾つかあるモスクから お経らしきもの が流れるからだ。
つまりその時間にはもう朝の礼拝が始まるということ。

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ムスリムだけではない、同僚たちが 「寺に行ってから出勤した」という話しはよく耳にした。

026 インドの寺院

かと言って、インドの人たちが無理をして朝早くに起きるということはない。
ムスクにも寺にも行かない私も自然にそうなった。

まず朝の 4 時くらいになると風が吹き始め、家の周りにあるヤシの木の葉がバサバサと揺れて何とも心地良い音が夢の中に滑りこんでくる。
5 時には空が少し明かるくなり始めて、あちこちで色々な鳥が鳴き始める。
暫くすると東の空のオレンジが濃くなって、リスなどの小動物がギャーーーー (と私には聞こえてた) と騒ぎだす。

太陽が昇ってくるのを眺めると、新たな1日が始まったことを何かに感謝したい気分になった。
窓から入ってくる冷たい風と太陽の光を体に感じて、毎朝ヨガをした。

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私はそれまで自分がヨガをするなんて思ったことはなかった。
早起きの癖がつくと、仕事を始めるまでに4時間くらいあり、勿体ないから何かしようと考えて、本屋でヨガの DVD を買ってきて、肩こりの解消になるかと思い見様見真似で始めた。
それから 10 年以上経った今でもヨガは続けている。

ヨガの後はシャワーを浴びつつ洗濯をして、洗濯物を干してから朝食をとる。
そして暫くすると掃除の人が到着した。
待っているあいだは屋上を歩いた。
びっくりのインド ● 14 ● 部屋の掃除をしてもらう暮らし にも書いたように、ペントハウスの屋上はかなりの広さがあるから、街の朝の様子を眺め、あちこちから聞こえてくる生活の音を楽しみながら、散歩ができた。

そのうちに毎朝同じリスが屋上にいることに気付いて、或る日、ナッツを置いてみたら同じ時間にそこへ来るようになった。

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そのリスがあるとき他のリス2匹を連れて来て、新米たちが部屋の中まで入ってきたので追い出したら、次の日からはまた一匹で来るようになった。
リスは思うよりもずっと頭が良い。
驚いたのは、リスはナッツよりも りんごが好き なこと。

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皮だけを残して上手に食べる。
透けてみえるくらいに。

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この時点でまだ 7 時半、仕事を始めるまで 1 時間以上ある。
朝に合う音楽を聴き (床が大理石だと音響効果は抜群)、紅茶を飲みながら窓の外で太陽が高くなるのを眺めた。

この朝のルーティーンのお陰で、私の1日はとても長かった。
朝のルーティーンは清々しい1日の始まり、夜のルーティーンは静かな終わりであり、私にとって 祈り に近いものだったように思う。


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朝のルーティーン

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