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びっくりのインド ● 14 ● 部屋の掃除をしてもらう暮らし

びっくりのインド ● 13 ● 民家に住まう 』 のを始めて、まず驚いたのは、毎朝、部屋を掃除する人が来てくれたことだ。

いくらペントハウスの部屋が広いと言っても 1 部屋だから、自分でチャチャっと掃除するのは簡単なことだが、「いや、自分で掃除しますから」 と言うのは 奥ゆかしいことではなく、むしろ失礼なこと である。

海外でちょっとしたホテルに泊まると、たった 1 つのスーツケースをわざわざカートに乗せて部屋まで運んでくれることがあって恐縮する。
だからと言って、それを自分で運ぶとチップを稼ぐポーターさんの仕事を奪うことになるし、客が自ら荷物を運ぶのを他の客に見させることはホテルの格を下げることになるし、偉そうな態度だと自分の品格が下がるし、何とも複雑な気持ちになるが、早い話しがそれで窮屈な思いをするなら最初から ちょっとしたホテル に泊まるな、ということだ。
少し恐縮しつつ、感謝しつつ、堂々とポーターさんにチップを渡さないと金を汚いものにしてしまう、ことを忘れないようにしている。

ところが 「毎朝、女性が部屋の掃除に来ますが、料金は払っていますし、チップも渡さなくていいです」 と現地のスタッフに言われたこともあって、自分の部屋を誰かに掃除してもらう生活 に慣れるのに時間がかかった。

しかも毎度の話し、インドは停電が多くて電化製品が役に立たないから、掃除機をかけるのではなく、まずは ホウキで床を掃除して、その後に 雑巾を使って手で拭く のだ。
さすがにこれは、私には 肉体労働 あるいは 苦行 に見えてしまい、恐縮せざるを得なかった。
部屋は 4 階にあって、インドでは部屋の中を裸足でいることが基本だから、床に土を運ぶことはないにしても、掃除をするその女の人が部屋の端から端まで雑巾で床を拭く様子は、なんとなく 「後始末をさせている」 ようで、そそくさと部屋の外に逃げて、屋上を散歩することにしていた。
かなり大きな家で、屋上がバレーボールのコート 3 面くらいあり、家の周りにはヤシの木が茂っていたので、大袈裟な話しではなく 散歩 できた。

このあたりの家には、日本でいう 鬼瓦みたいなもの が屋上に 2 つ置いてあり、聞いた話しでは、ある決まった方角に顔を向けているそうだ。
私がいま住んでいる沖縄にもシーサーがあるから、国は違えどアジアには似たような風習があることや、その歴史に感服する。

インドでは基本的に、お互いをよく知らない男女が目を合わせることはなく、特に 「男性が女性をジロジロみたり、ニコリと笑いかけるようなことはしてはいけない」 と教えられていたし、部屋を掃除してくれた人もうつむき加減にさーっと帰ってしまうので、「ありがとう」 というタイミングは、インド滞在の最後の日までなかった。

先が折れないようにホウキは逆さまに立てるようだ。

日陰で見えにくいが、掃除が終わった後のホウキの定位置。

部屋を掃除してもらえることは有難かった。
ただ 1 つ、ちょっと困ったのは、毎朝 7 時前後に掃除の人が来ることだった。
インド人は早起きだ。
きっと 7 は、しっかり起きている はずの時間。
ということは、私もその時間にはしっかり起きて、シャワーも浴び終わって、何なら朝ごはんも済ませているのは、当たり前。

けれど日本なら起きたばかりで、まだボーっとしていた時間。
インドの早起きな生活に、惠白は慣れるのか?

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