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びっくりのインド ● 24 ● リンゴの不思議

私はフルーツが大好きで、特に桃は、味、香り、形、色の全てにおいて他を圧倒していると思っている。
日本のフルーツは傷がなく上品な甘さで見た目も美しい。
5 年ぶりにアメリカから帰国してスーパーマーケットに並んでいるフルーツを見たときは 「 これはもはやフルーツではない、芸術作品だ 」 と思った。

でも...
値段が
べらぼうに
高い!

高級な桃1つがファミレスのランチセットより高かったりするので、スーパーのカゴに入れるにはかなり躊躇する。
迷った挙句に、いつもバナナを手に取ってしまう。

インドで売られているフルーツは、とにかく安い。
形がバラバラでも、傷があっても、香りがよくて美味しければ、文句はない。
日本で頻繁にフルーツを食べられなかったリベンジのように、インドでは毎日欠かさずフルーツを食べた。

ここまで言っておきながら、大きくても小さくても、赤くても青くても、甘そうでも酸っぱそうでも、スーパーでは前を素通りするフルーツがある、それは ...

リンゴ

わたしは瀬戸内の島で育ち、うちはミカン農家だったから、小さい頃にリンゴを食べなかったせいだろうか...?

オレゴン州に住んだときは、「アメリカの、しかも 産地の リンゴなら話しは別かも」 と思って、大いに期待して美味しそうなリンゴをスーパーで 2 つか 3 つ買って食べたが、心はまったく動かなかった。
アメリカの大学で生徒がよくバックパックからリンゴを出して丸かじりしているのを見て、そこまで愛されているリンゴを嫌いなことに少し罪悪感を覚えたくらいだ。

そして、ついに諦めた。
私が辿り着いた結論は

遺伝子がリンゴを必要としていない

である。

しかし、びっくりのインド ● 19 ● 夜のルーティーン を読んだ方は、ここで 「 え? 」 と思うだろう。

色々なフルーツを山積みにして売っている店でトロピカルフルーツを買った。
お値段ちょっと高めの 何でも屋さん (コンビニサイズのスーパーっぽいところ) で買ったのは りんご
南インドでは りんご が育たなくて北インドから運ばれてくるから、金持ちが食べるフルーツだ。

と書いたからだ。

嗚呼、インド
びっくりの国、インド
釈迦の生まれた国、インド

インドは 何かに目覚めさせてくれる国 なのかもしれない。
わたしは、文字通り 貪るように 毎日毎日 リンゴを食べた。
リンゴが美味しそうに見えて仕方なかった。
フルーツを買うときは、まずリンゴから。

インドには果物屋さんのほかに、屋台でフルーツを少し安く売っていたので、わたしはいつも屋台で買っていた。

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しかし屋台には、高級なフルーツ のリンゴがなかったから、リンゴだけは何でも屋さんか果物屋さんで買った。
2008 年当時、屋台のパパイヤは顔くらいのサイズで 20 円、リンゴは 40 円だった。

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↑ びっくりのインド ● 19 ● 夜のルーティーン でも紹介した写真。
このパパイヤは小さいから 10 円くらいだったと思う。
1 日にパパイヤを 1 個とマンゴを 2 個食べれる幸せ。
リンゴを食べる幸せ。

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↑ これが 1 回分。
これだけの量のフルーツの皮をむいて小さくカットしていると、まるで動物園の飼育員さんになった気分だった。

何十年も拒絶したのちに、ついに リンゴを克服 して、悟りを開いた ような気分で日本に戻ってきて、スーパーではもちろんリンゴを買った。
「質の高い、傷のない、大きくて糖度の高いニッポンのリンゴはどんなに美味しいだろう」 と思って食べたら

わたしはやっぱりリンゴが好きではなかった...

こう来たか、インド
侮れない、インド

ふと思ったのは、わたしは カレーを中和させるためにリンゴを食べていたのではないか? ということだ。

日本では 『 カレーの 香辛料 』 というが、言い換えると 漢方薬 である。
例えば、ターメリック というと香辛料っぽいが、ウコン というと漢方薬だ。
レストランでカレーを作るのを見ていると、10 種類くらいの漢方薬を入れている。
それまでに経験したことのない量の漢方薬が体内に 1 日に 2 回入ると、どうなるか...。
恐らく私の体は、それを中和させるために リンゴ を欲したのだと思う。
随分と昔の話しだが TV 番組で或る女性が、妊娠したときに 「 土壁を舐めたくなった 」 と言っていて、「そんなバカな!」 と思ったことがある。
そう言えば、以前うちにいたワンちゃんも時々狂ったように庭の草をムシャムシャ食べていた。
ヒトも、体が必要としているものは、脳ではなく体が知っている のだ。

これで私はリンゴにきっぱり別れを告げた。

これは
アナタの体に
良い食べ物

と社会が押し付けてきても、要らないものは要らない。
カフェインやアルコールなどの 依存性 が高いものや、炭水化物には気を付けるけれど、リンゴの件があってからは、その時々 「あー、これが食べたい」 と思うものを食べるようにしている。
ステーキが食べたくなったら迷わずサーロインを 1 パウンド (≒ 450g) 注文するし、焼肉ならカルビを食べ続ける。
「年を取ったら赤身の肉」 なんてクソ食らえ、「1 回 100〜150g」 なんて、そんなものアメリカならキッズメニューにもならない。

それにしても、やっぱりインドはビックリの国。
インドにいた数か月は、これまでの人生で一番元気で、とにかく毎日体が軽かった。
早く寝て、早く起きる
 というのが、ヒトの基本ということも分かったし、香辛料の効果も体感できた。

ただ、漢方薬の影響が出すぎて帰国後に えらいこと になった話しは、別の記事で紹介する。

ちなみに、わたしが苦手なのは 生リンゴ である。
アップルパイやリンゴジュースは大好きだ。


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