妄想:なぜ、この戦争は始まったのか
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ロシアが何に脅威を感じたのか。脅威を感じなければ戦争という賭けには出ない。欧州がしたたかに進めるルールに世界が乗じていくことになれば、長大な資源で潤うロシア国家の存亡が危ぶまれる。かつて、世界を二つに分けた東側の雄が、雄たけびを上げるだけの力を失うことになる。ロシア帝国とソビエト連邦を信じてやまない最高指導者が国の行く末を指をくわえてみているわけがない。戦争を仕掛けるより外はナシ、それを実行したということだろう。究極の相手はウクライナではなく欧州である。
仕掛けた結果は、西側の強力な経済制裁を受けながらも、平然と経済を回していける実力を見せつける格好の戦場を作り出したということだ。欧州のルールは世界のルールになり切らず、ロシアの思惑通り、資源を貪り続ける古い体制に後戻りする。
今、欧州自体も古い体制へ戻ろうとしている。米国と深くつながっている英国を除くヨーロッパは、陸続きの巨大な資源国を頼るよりほかはナシ、という判断に大きく傾きつつある。ロシアの思惑通りの展開になっていく。
ロシアにとっての勝利は、「世界がロシアを必要としている」という回復であろう。米国以外にロシアが世界経済を掌握するというかつてのロシア帝国・ソビエト連邦への回復である。それを成し得て、初めて戦争が終わる。
当然、中国を従えるという目的もある。資源を使って熱する中国を操り、冷め行く中国に必要とされる資源を小出しに出していく。ロシアのいうことを聞く中国に戻していく。その戦いでもある。
だが、そのロシアのデザインも、気候変動という大敵にはかなわない。強烈な暑さと猛烈な寒さ。それは、ロシア国民を脅威にさらし、のみならず、食料の危機を生む。化石燃料を大量に輸出するロシア。世界の不満がロシアに向けられる。それに乗じて、米国と中国もロシアに強烈な要求を突きつける。ロシアは気候変動という大敵を前に、新たな戦争を仕掛けることになる。
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まぁ、大した妄想でもないのですが、書いてみました。どの道、気候変動にはかなわない。どの国が世界を掌握するとしても。ニンゲンは脅威に対して種を絶えさせる戦争しかできない。なんという愚かなことだろう、と年末にやるせない妄想をした次第。
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