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"制御できない人間" が繰り出す経済を制御する

今、強権主義の国々で「制御できる経済」に傾き始めている気がしています。安定した政権にするために経済を制御する、という流れのように感じています。

はたしてそれは可能か。

人間は様々な "揺らぎ" をもって生きています。それは、生きる確率を高める機能でもあります。揺らぎによる偶然の発露から必然に変わって経済が動き出します。対して、偶然のない経済を作り出し、必然のみで動かそうとする。それは、人間の本質を無視した経済となるのでしょう。

揺らいで制御できない人間。ならば、人間を制御すれば必然の経済を作りこめる。その順で政権安定を狙う。必然は政権維持。

民主主義は人間の揺らぎを体現しています。ゆえに政権は変わり、連動した経済も動き出す。この政治と経済の揺らぎの中で、うねりがエネルギーとなって躍動します。

強権主義者はそのうねりを政権安定への脅威と捉える。ゆえにうねりを力ずくで平坦にしようとします。ですが、根本の人間の揺らぎを抑えられない。ならばと、経済を力づくで平坦にしようとする。その次に、政権にとって心地よい揺れを作ることができる。

躍動感をなくした経済はさらに固定化し冷え込んでいきます。人間も動かなくなる。揺らぐ機能を失った人間は絶えていきます。

強権主義の勝利です。

ですが、人間を失った政権とは何なのでしょう。支持する者もいない、ただ、存在しているだけ。それが、強権主義の究極の姿。

歴史は強権主義の崩壊を記録し続けています。それは、人間の揺らぎを制することができない証左。絶えようとする寸前に生命力が吹き上がり、大きな波を作り強権主義は倒されてきたのです。

制御できない人間を解明し受け止める。それが、最高学府の教えることなのかもしれません。受け止められる "能力" の開発。それに失敗すると歴史の中では、なんども "強権主義者" が出現してきます。

コンピューターの時代。人間の揺らぎを解明する優秀な道具がそろいつつある中、人間の揺らぎを制するコンピューターが現れないとも限らない。その行く先は、コンピューターに依存して安定政権となる強権社会。いままでの歴史に相違する永続する強権社会の出現。

そうならない(揺らぐ人間による人間社会の構築)ためにも最高学府は人間解明に勤しむべきだろうと思った次第。

#日経COMEMO #NIKKEI

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