現役大学生デザイナーに聞く、ルック制作秘話やデザインへのこだわり Part4

Keio Fashion Creatorは昨年12月、ファッションショー「明晰夢」を開催した。デザイナー部員のうち8人がショーのルック制作を振り返る。全4回。


杉浦碧/日本女子大学3年生

ーショーテーマ“明晰夢”をどう自分なりに解釈し、ルックに落とし込みましたか。

杉浦:
かけ離れている世界ではなく、似て非なる2つの世界を繋いでいくことだと解釈しました。共通点はありながらも、時代や状況によって変化が生まれるもの同士を融合し、ルックを作りました。

ー制作中、他部員との関わりを通し、インスピレーションを受けた機会はありましたか。

杉浦:
自分が服飾を学校で学んでいるからこそ固定概念や規則に囚われている節があったんですけど、Keio Fashion Creator 所属部員が服以外の様々な分野を学んでいるからこそできる”自由な発想”や”規則からあえて逸脱すること”に刺激を受けました。それによって自分のルックを客観的に見たときの発想の幅が広がりました。

ー1年間デザイナー部員として活動する中で、精神面・技術面で成長を感じたことはありましたか。

杉浦:
人に伝えることです。3年目で服飾の技術がある程度備わった中で今度は後輩の子たちに教える場面が多くなりました。その中で「自分の考えや技術を上手く伝えるにはどうすればいいのか」「相手は何を求めているのか」などを考えるようになり自然と人に伝えることが上手くなりました。

Look25「continue」AOI SUGIURA

ー2体のルックでこだわったところはどこですか?

杉浦:
生地量とシルエットです。布のサイズ感や量、幅などを常に検討し、人に着させたときにいかに自分の理想に近づけるか試行錯誤しながら制作しました。
また、明晰夢の”違和感を与える”をルック全体ではなくパーツ各々で表現したかったので、細部で違和感を出しながらもルック全体が調和するように工夫しました。

Look30「anachronism」AOI SUGIURA

ーどちらのルックもアシンメトリーが印象的ですがバランスを保つ上で意識したことは何ですか?

杉浦:
メンズルックはジャケット・スカート・パンツの3つの部分で構成されていて、どれか1つでも丈間、大きさがおかしいとルック全体のバランスが悪くなるため個々で制作しながらも常にルック全体をイメージすることを意識しました。
ウィメンズルックは左右のバランス感を考慮し、ディティールを加える箇所を考えました。また、下半身が、生地量も多く重たい印象を持たせていたので、トップスの肌の露出加減にも注意して制作することを意識しました。


山田明理/多摩美術大学1年生

ーショーテーマ“明晰夢”をどう自分なりに解釈し、ルックに落とし込みましたか。

山田:
明晰夢が夢と現実の間ということなので、非現実的とされる宗教や信仰が実体を持つ場所として”サッカーの試合”を明晰夢と解釈してルックを制作しました。
サッカーの試合の場では、聖書を読み神に祈るとか宗教的な行為はごく自然なものとして存在していますよね。
信仰が彼らの精神を強く築き、限界を越えさせる。それが宗教が実体として現れているということだと思います。

ー制作中、他部員との関わりを通し、インスピレーションを受けた機会はありましたか。

山田:
フィッティング時の先生や先輩方のアドバイスでは、自分が想像もしていなかった形が見えてきて、人にどう見せるのかを熟考することはやはり必要なか事だなと感じました。

ー1年間デザイナー部員として活動する中で、精神面・技術面で成長を感じたことはありましたか。

山田:
設計図や細かい作業が苦手で、ちょっと技術面からは逃げていました(笑)時間も限られているので、できないことは諦めて自分ができる範囲で自分の強みを活かして制作することに集中しました。技術がない自分が埋もれないためにはどうしたらいいのか、この思考は成長の1個かもしれません。でもやっぱり技術の素晴らしさを感じる機会でもあったので、次年度はもっと挑戦したいですね。


Look19「sports and faith」AKARI YAMADA

ールックやヘアメイク、小物など細部に至るまで強く印象づけられるルックでしたが、全体のバランスをとる上で意識したことはなんですか?

山田:
ありがとうございます。もともと違った要素のミックスが好きで、1つのジャンルに偏り過ぎないようにはしていたかもしれません。今回で言うとスポーツの要素と、チュールやレース要素の組み合わせだったり、いわゆる神話的なものを想起させる要素と、スプレーグラフィックやゴシック体など現代的な要素との組み合わせなどですね。
あとはそこに“自分なりの癖”を入れることです。ボールをバックにしてみたり、アクセサリーを咥えてもらったり。

ー布とは違う素材を選んだ理由と、それを扱う上で苦労したことなどを教えてください。

山田:
写真をプリントしたかったので、インクジェットプリンタを使い、ある程度固さがあるクロスを選びました。苦労したことは、繰り返し使っているとプリントがはげてきてしまうところです。

2024.04.17

DESIGNER: AOI SUGIURA/AKARI YAMADA
TEXT: RYO IGARASHI/MIYU NAGAI
PHOTO: HIDEYUKI SAKUMA(still)/HOPE(header photo)

【Keio Fashion Creator 関連リンク】
IG : @keio_fashioncreator
Twitter : @keio _fc
HP : https://keiofashioncreator.com

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