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【コラム】インバウンドを虜にする飲食店の3ポイント

外国人関連の仕事を専門にしている私は、日々「インバウンド」や「外国人就労」に関するニュースやセミナー、勉強会を追っています。

その中でも、「インバウンド」に関する内容は、急激に回復したインバウンド旅行者への対応を苦慮する事業者も多く、そこに少しでもお役に立てることを考え、提供させていただいています。

日本へ旅行に来る外国人旅行者の目的を探ってみると、「日本食を楽しむ」が国籍を問わず1位に挙がります。

一見当然にも思えるこの結果ですが、海外文化の知識を持った状態でこの結果をみると、少し驚きを感じることもあります。

このコラムでも何度か記しましたが、世界にはあらゆる宗教的食文化が存在し、日本食には欠かすことの出来ない「肉」や「魚」、「乳製品」「動物由来食材」を召し上がることができない方も多くいらっしゃるからです。

私が情報収集ツールとしてよく活用する「JNTO(日本政府観光局)」の調べでも、インドなどのヒンドゥー教地域や、インドネシアなどのイスラム教地域から訪日される方の訪日目的の結果でも、「日本食を楽しむ」が第1位に挙がるのです。

JNTO「訪日旅行データハンドブック2023」より
訪日インド人の訪日旅行に関する期待内容
JNTO「訪日旅行データハンドブック2023」より
訪日インドネシア人の訪日旅行に関する期待内容

このように、外国人旅行者にとって「日本の食を楽しむ」というのは、ただの「食事」を超えた、旅行の一大目的として捉えることができます。

JNTOのデータと同じくらい、私が日々関心を寄せいているニュースサイトが「訪日ラボ」です。
国内最大規模の情報量を誇る「インバウンド」に関するニュースサイトで、地域に特化した内容も知ることができるので、非常におすすめのサイトです。

訪日ラボが提供するコンテンツのひとつに、「人気観光地口コミ分析」というものがあり、実際に訪日された外国人の口コミを分析した内容を知ることができます。

その中でも、私が特に関心を持って追っているのが、「インバウンド人気飲食店ランキング」。
まだ全国の全てが網羅されているわけではありませんが、主要観光地での「インバウンド人気飲食店」やその特徴を知ることが出来るのです。

掲載されている20地域すべての情報を調べて分かった、インバウンド旅行者から支持される飲食店のポイントは以下の3つ!

《スタッフの親切さ(外国語対応)》
《体験型》
《日本独自の食文化》

それぞれを簡単に紹介します。

《スタッフの親切さ(外国語対応)》

すべての地域において必ずトップに出てきたのが、この項目です。
まずはスタッフの皆さん全員から「歓迎されている」と感じられる対応を感じるか否か。

これが最も重要なポイントと言っても過言ではありません。
「日本人=親切」を感じる上で最も簡単な方法が飲食店への訪問だと考える外国人も多くいることが分かります。

そして、やはり外国語対応は外せません。
メニューは英語だけではなく、現在最も多い外客数である韓国、中国語表記も、これからは外せません。

人気飲食店ジャンルでも挙がる、焼肉・もんじゃ・カフェ・すき焼き&しゃぶしゃぶでも、店員さんからの外国語による召し上がり方の説明があるかが、その満足度を大きく左右させます。

《体験型》

これは私も大共感なのですが、外国人から大きな人気を集めるのが「料理体験」です。

もちろん「お料理教室」もそこに含まれるのですが、その他には…

・茶道体験(お着物を着て、和菓子も手作り可能。自分で立てたお抹茶と共に楽しむ)
・書道カフェ(書道体験と共にカフェタイムを楽しむ)
・料理体験(寿司の握り方を教えてもらい、自分で握った寿司を楽しむ)

私も海外旅行に行くと、まず探すのが「現地のお料理教室」なので、この内容を拝見したときは「やっぱりね〜」と声が出てしまいました!笑

その他にも、
・もんじゃ&お好み焼き(特に韓国人に大人気)
・焼肉
もその類に入るでしょう。

これらは共に「自分で焼く」という工程を体験できます。
人気焼肉店としてランクインしていた「ふたご」というチェーン店では、
名物料理「はみ出るカルビ」がインバウンド客にもハマり、その名の通り、鉄板をはみ出す大きさの1枚カルビの「エンタメ性」がウケています。

※私のおすすめは、「はみ出たいハラミ」です。
上位会員になるために、一生懸命通った過去あり。笑

この楽しみを増すためにも、外国語対応や親切な対応はマストですよね。

《日本独自の食文化》

やはりこちらを切り離すことは出来ません。
芸術的な握り寿司・和牛・鉄板&鍋料理・天ぷら・もんじゃ・抹茶・和菓子

英語での口コミランキングでは、「寿司」「和牛」「ラーメン」が上位を占め、
韓国語での口コミランキングでは、「もんじゃ」「たこ焼き」「ラーメン」が上位を占めています。

ここでも大切なことは、お客様とのコミュニケーション。
なぜなら、これら「日本独自の食文化」は一見、「抵抗感」がある食べ物とする国籍の方も多いからです。

寿司・・・生魚に対する抵抗感
鍋料理・・・1つの大きな鍋を複数人でつつく抵抗感
もんじゃ・・・見た目への抵抗感
ラーメン・・・麺を啜ることへの抵抗感

これらの「抵抗感」を拭うことが出来るのも、店員さんによる親切なコミュニケーションが重要で、それにより、インバウンド旅行者の体験価値が大きく向上するのです。

ここに《ベジタリアン・ヴィーガン・ハラル対応》を加えることができたら尚良いのですが、一気に全ての環境を整えるのは現実的とは言えません。

現時点でできていること・現時点での課題をそれぞれ洗い出し、まずは「±0地点」を確実に超えること。
その上で、「+値」が1つでも多くなるような順番で、インバウンド対応が整えられると良いですね。

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