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【映画レビュー】冒頭シーンに繋がる結末とは?『カリートの道』観賞

みなさんこんにちは(⌒▽⌒)

1993年、ブライアン・デ・パルマ監督とアル・パチーノが、『スカーフェイス』以来10年ぶりにタッグを組んだ映画『カリートの道』。前に何となく見たことがある本作。久しぶりに見てみるとずいぶん見方が変わっていて、とても楽しめたので今回記事にしてみようと思いました。

今回はそんな『カリートの道』のレビューをしていきたいと思います。

1.作品紹介

題名:カリートの道(Carlito's Way)
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:アル・パチーノ
   ペネロープ・アン・ミラー
   ショーン・ペン
   ヴィゴ・モーテンセン

1994年の第51回ゴールデングローブ賞に2部門でノミネートされました。
最優秀助演男優賞:ショーン・ペン
最優秀助演女優賞:ペネロープ・アン・ミラー

主題歌はジョー・コッカーによる『You Are So
Beautiful』である

・プチ情報

カリートとピート率いるイタリアンマフィアの電車でのシーンは、予算の都合上見送られた『アンタッチャブル』(1986)のクライマックスシーンを応用してるらしいです。

物語終盤のエスカレーターでの銃撃戦、非常に長いと思われるエスカレーターは実際はかなり短い。これはブライアン・デ・パルマの得意とする撮影テクニックである。これも『アンタッチャブル』における乳母車のシーンと同様の手法らしいです。

※Wikipedia参照

監督が同じ作品だと、こういった撮影のテクニックなども意外と同じ方法が用いられていたりするのでワクワクしますよね。

2.あらすじ

かつて麻薬の売買で街を牛耳っていたカリート・ブリガンテ(アル・パチーノ)には30年の刑期があったが、親友のデイヴィッド・クラインフェルド(ショーン・ペン)という弁護士により、たった5年で出所することができました。5年はそれほど長い年月ではないものの、出所後の世間はまるで変わり果てていました。しかしそんな中、恋人であるゲイル(ペネロープ・アン・ミラー)がまだこの街にいるという事実を耳にします。

悪行から足を洗い、ゲイルと幸せに暮らすことを望むカリートは資金を集めるためにサッソという人物に会うためにクラブへ訪れます。一時的に雇われることになったカリートは、パチャンガという人物を用心棒にし仕事を行うが、かつての顔もあり、カリートのお陰で店は好転します。

クラブの中では何かと厄介なベニー・ブランコという人物と口論になり、自分では抑えているつもりだが、昔の癖が出てしまいベニーを階段から突き落としてしまいます。しかし、殺した方がいいと分かっている相手でも、殺すことができないカリートはベニーを解放してしまいます。

建物の屋上から窓越しに、ダンスレッスンをしている女性達を眺めるカリート。カメラはある1人の女性にドリー・インします。彼女こそがゲイルでカリートは無事に再開を果たします。

カリートはデイヴに、マフィアのボスの脱獄を手伝って欲しいという依頼を受けますが、パーティ会場でデイヴが口を滑らせてしまい、ゲイルに作戦がバレてしまいます。"借りがある"デイヴの頼みを断れないと言うカリートはゲイルの制止を振り切って行ってしまいます。

作戦は決行されるもコカイン漬けのデイヴはマフィアのボスであるトニーとその息子のフランキーを惨殺してしまいます。ある一線を越えたらもう戻れないがデイヴは自分を道連れに超えてしまったと考えるカリート。激怒したカリートはデイヴに"貸しはなかった"と言うように強要します。

その後、デイヴはトニー殺害の報復を受け負傷してしまいます。トニー殺害の犯人に心当たりがある検事のノーウォークは、デイヴが殺しを行なったと証言するかどうかの決断を明日の昼までにするようにカリートに迫ります。

カリートはゲイルと共にタクシーに乗り込み、ゲイルにマイアミ行きの切符を手渡し、5時間後に駅で落合わせることを約束します。

ノーウォークに聞かされたテープでデイヴに裏切られたことを知ったカリートは、デイヴのいる病室に行き、デイヴの銃弾を密かに抜いて言葉だけを残しその場を去ります。すると、警官に扮したトニーのもう1人の息子が病室に入り込み、デイヴに銃を向けます。デイヴも銃で応戦しようとするも不発に終わり息子に射殺されてしまいます。これがカリートの真の目的でした。

そしてカリートは貯金を回収するためにクラブへ向かいますが、彼の元に突然大物マフィアのピートという人物が現れます。トニーの一件だと勘づいたカリートは仕事を装いその場を切り抜けようとしますが、簡単に逃してはくれません。追い詰められたカリートは遂に再び殺しに手を染めてしまうことで難を逃れました。

と思ったのも束の間、いつかのベニー・ブランコが突如目の前に現れ、カリートに数発の銃弾を浴びせます。ベニー側に寝返ったパチャンガによる裏切りでした。

搬送されるカリートはゆっくり目を閉じて物語は幕を閉じます。

3.個人的名シーン

①強引にドアを破壊して...。

本作で個人的に最も印象的だったシーンがここ。

ドアの隙間からカリートとゲイルが会話を交わすシーンがあるのですが、鏡越しにゲイルの裸体を見たことで、ドアチェーンを突き破りそのまま行為に至ります。

なんかカッコいいというか面白いというか。

ドアの隙間から顔をのぞかせてるシーンを見るとどうしても『シャイニング』を思い出してしまいます(シチュエーションが全然違いますが(笑))。

②鏡を素手で叩き割り

鏡を叩き割るシーンはもちろんですが、カリートがデイヴの依頼を受けることに対してゲイルが泣き崩れてそれを断るように懇願するという、そのシーン全体が印象的です。

カリートが悪行から足を洗って、幸せな暮らしを歩んでいけると思っていた中、このような計画があることを知ったゲイルはさぞ落胆したことでしょう。

カリートは命の恩人であるデイヴの頼みを断れなかった。たとえ恋人に止められようとも親友への借りは返す。それが自分であると。

③かっこいい捨て台詞

名シーンというか名台詞。物語が終盤に差し掛かるころ、デイヴの裏切りを問い詰め、病室を後にしたカリートは密かに抜き出した銃弾を捨てる際にこう言いました。

「あばよ、弁護士さん」

病室では特に表立ったことをせず出た彼が、この言葉を残し現場から立ち去りました。

何というかこのシーン、自らが直接手をかけずに始末したというところにすごい爽快感が得られました。

4.感想

アル・パチーノのマフィア映画3部作といえば『ゴッド・ファーザー』(1972)、『スカーフェイス』(1983)、『カリートの道』(1993)だが特に、『スカーフェイス』と『カリートの道』は比べられることが多いです(全然違う作品ですが、監督が同じだからかな)。

ただこの『カリートの道』、『スカーフェイス』と比べてみるならば、パンチが薄いというかなんというか、少し薄口な感じもしますがそれはそれで違った良さがあります。

最初は足を洗うことを口にしているだけだと思われた彼も、物語が進むに連れてその意思が本当であることが分かってきます。最後に撃たれた直後の彼の言葉から本当に平穏を望んでいたことが分かりました。

序盤では、出所して変化した世間に驚くカリートが、見境なく銃で撃つ無法者達と撃ち合いをするシーンなどはハラハラしました。

この映画、冒頭にカリートが何者かに撃たれて倒れるところから始まるのですが、意識が朦朧としている中、自分の中で人生を振り返るようにして物語が幕を開けます。

これが、最後にベニーに撃たれて倒れてしまうシーンなんです。よって、彼の人生の振り返りがこの映画の内容になってくるんですね。

あと、ものすごい気になったのがショーン・ペンが演じたデイヴの髪型です。ショーン本人にそぐわない不自然というか似合わないというか、これから禿げていきそうな髪型だな〜と思いました(笑)

5.番外編

⚪︎個人的アル・パチーノ出演映画BEST3
 (カリートの道は除きます)

1位:セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992)

監督:マーティン・ブレスト
出演:アル・パチーノ
   クリス・オドネル

・第65回アカデミー賞
 受賞:主演男優賞
 ノミネート:作品賞/監督賞/脚色賞
・第50回ゴールデングローブ賞
 受賞:主演男優賞/作品賞/脚本賞
 ノミネート:助演男優賞

2位:セルピコ(1973)

監督:シドニー・ルメット
出演:アル・パチーノ

3位:スカーフェイス(1983)

監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:アル・パチーノ
   ミシェル・ファイファー
   スティーヴン・バウアー

・第41回ゴールデングローブ賞
 ノミネート:作曲賞/主演男優賞/助演男優賞

6.最後に

ちなみに、今回は触れていませんが、作中でカリートが「この俺が"カサブランカ"のボガートの真似か」と独り言を言っているシーンもあり、そこも見どころだと思いました。

そんなわけで、今回は『カリートの道』のレビューをしてみました。

まだ観たことのない人は是非チェックしてみてください!

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