世界を変えた10冊の本(池上彰氏/著)

1.アンネの日記(1947年、アンネ・フランク):弱いものは狙われます。けれども強いものは生き残り決して負けることはない。ユダヤ人の国であるイスラエルが国連が採択した範囲を超えてパレスチナ全域を占拠したにも拘らず国際社会がイスラエルに対して寛容なのはこの本の影響するところが大きい。アラブ社会ではあまり読まれてない本。

2.聖書:世界最大のベストセラー。欧米社会とイスラム世界の対立構造という現代世界を形成。世界の3人に1人がキリスト信者。中東に生まれたキリスト教がヨーロッパ世界・アフリカ・南米に拡大。ローマ帝国で国教。ローマ帝国の東西分裂に共に伴いローマカトリックと東方(ギリシャもしくはロシア)正教に分裂。

3.コーラン:預言者(予言者でない)ムハンマドが神の言葉を伝える本。ジハードは天国に行く特急券。

4.プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神(1904年、マックス・ウェーバー):宗教が経済活動に思いがけない影響を及ぼした、とい分析の本。アメリカの強欲な金融業界を形成したのが禁欲を説いたキリスト教の教えだと。経済学や社会学を学ぶ上で必須の図書。16世紀の宗教改革によりローマ・カトリックからプロテスタントが生まれた。厳しい禁欲を守るプロテスタント故に職業倫理を守り資本主義社会で成功していると分析。プロテスタントはローマ教皇の権威を認めず聖職者の特権も否定。アメリカ(強欲資本主義)はプロテスタントにより建国された。資本主義の格差拡大を容認→財の不平等な分配は神の特別な摂理の働き。

5.資本論(1867年、カール・マルクス):資本自体が人間を支配する神になる仕組みを解き明かした本。マルクスの理論”労働価値説”がロシア革命を引き起こし社会主義体制を最小する諸国が増大した。使用価値と交換価値。企業の利益の為に心を鬼して経営に当たらなければならない”人格化された資本”や”利潤の休みなき運動”

6.イスラーム原理主義の『道しるべ』(1964年、サイイド・クトゥブ):オサマ・ビンラディンの思想を形成したとされる書。”イスラムこそが救いだ”と主張。地上の権威を認めず、人間の英知により運営される民主主義を尊重せず、自分たちの解釈のみ正しいと考える過激派特有の傾向。

7.沈黙の春(1962年、レイチェル・カーソン):人間の思い上がりが環境を破壊し人類の生活を破壊する。科学の力に対しても人間は謙虚になるべき。”私たちはだまされているのだ。その行きつく先は、禍いであり破滅だ” 生物の多様性の大切さ。

8.種の起源(1859年、チャールズ・ダーウィン):旧約聖書の創世記の内容を科学的に否定した本。”われわれの知識は浅いのに、思い込みだけははなはだしい” 著書『資本論』でマルクスがダーウィンの進化論と資本主義経済の起業の類似性を指摘している。

9.雇用、利子および貨幣の一般理論(1936年、ジョン・M・ケインズ):資本主義の悪を理想的な経済対策(公開市場操作、金融政策)で抑えることができる筋道を示した本。

10.資本主義と自由(1962年、ミルトン・フリードマン):政府を信じず民間企業の活力・市場経済の効率性に絶大な信頼を置く経済学者であるフリードマンが新自由主義思想を経済学において打ち立てた代表作。規制緩和により国営・公営を極力民主化する方針。思想家としてはリバタリアン(自由至上主義)で、経済学者としてはマネタリスト(景気対策に通貨供給を重視)。 共和党保守派(小さな政府)の論客でニクソン大統領(変動相場制の実現)、カーター大踏力・レーガン大統領(最高税率の引き下げ)に経済政策を提言。イギリスのサッチャー首相にも大きな影響を与えた。ケインズは政府の役割の財政政策、フリードマンは中央銀行の金融政策を重視。

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