『見習い神様、願いを叶えて。』#18 プチトマト
【前回までのあらすじ】
私は芳高くんに片思い中の高校2年生、吉沢みゆき。花屋敷ゆりは私の親友。私の恋を叶えてやる!と現れた神様見習いのシン。奮闘むなしく失恋してしまう。私は悲しみのどん底でシンを責めてしまい、シンは姿を消してしまう…
(全20話+おまけ 恋愛×ファンタジー 毎日1話ずつ更新します)
あれから二週間。
「シン、毎日どうしてるの…。」
私はベッドに仰向けになり、誰もいない空間に向かってつぶやいた。
シンは姿を現さなくなったけど、その代わり、私の机にはプチトマトが置かれるようになった。プチトマトと一緒にメモ書きがあった。
―俺が作ったプチトマトだぞ。食えよ。―
俺が作った?私はシンが以前、小さなものなら作れるかもと練習していたことを思い出した。
練習ずっと続けてたんだ…。ほんとにプチトマト、作れるようになったんだね…。
シンは姿を消しても、私を元気づけようとしてくれてるのだと伝わってきた。
『止まない雨はない』
時間が少しずつ私を癒してくれた。私はやっと自分が失恋したことを受け入れたんだろう。ご飯もちゃんと食べれるようになってきたし、夜も眠れるようになった。
それからしばらくして、今度はプチトマトに加えてかぼちゃも毎日置かれるようになった。
―好き嫌いせず食べること!―
私がかぼちゃ嫌いなの覚えてたんだ。いつの間にか、こんな大きいのも作れるようになったんだね…。
「かぼちゃ…こんな大きいの毎日食べられるわけないじゃん、バカ…。責任とってシンも食べてよね…。」
シンが目の前にいたら、きっとこう言っていただろう。
いまやシンの存在を感じることができるのは、机の上のプチトマトとかぼちゃを見たときだけ。
私の部屋、こんなに静かだったっけ…。
シン…帰ってきてよ。シンがいなきゃ元気でないよ。姿を見せてまたバカなこと言ってよ。
淋しいよ… シン……
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