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スパルタ塾 「進学塾 H塾」 #02 中学1年生へのオリエンテーション

今年度入塾した中学1年生は男子4名、女子3名の計7人である。ほんの1ヶ月程前までは小学6年生だったように、男女とも身体つきがまだ小さく幼く見え、男子生徒に関しては変声期を迎えておらず小学生と何ら変わり映えがしない様子である。本日は4月最初の塾での授業で、オリエンテーションのようなものだ。川山塾長は20畳ほどの教室で小学生・中学生での勉強の違い、ノートの取り方、定期テストとそれに関する重要性、塾での過ごし方などをホワイトボードの黒板を使いながらあどけない生徒たちに説明を行った。1授業は80分であるが、50分くらいを中学生での学習のあり方や生活態度についての大まかな話に費やした。生徒達は真新しい環境に置かれたばかりの新中1生であり、更に初めて通う塾で多少緊張しているのか、みんな熱心に川山塾長の話に耳を傾けていた。

「中学生は小学生と違い生活が大変になります。皆さんはまだ中学生に成り立てで不安の方が多いかもしれませんが、そういった初心が今後大切になってきます。」

「保護者の方から少しお話を聞いているとは思いますが、私は不真面目な生徒には体罰をします。特に、1年生の内は今の皆さんのような初心を忘れて欲しくないために厳しく指導を行います。」

生徒達は「体罰」という川山塾長の言葉を聞いて少し顔をこわばらせた。悪い意味で前半の話よりも興味を抱く生徒が殆どだっただろう。


「塾生手帳を出しなさい。今からこの塾で行われる体罰について説明をします。」

各生徒に与えられる塾生手帳は生徒達が出された宿題の項目を記入するページがメインだが、後半には体罰の規定が書かれており、受けた体罰の詳細を記入する欄及び検印欄が設けられている。

川山塾長はお手製の塾生手帳に記載してある事項に沿って説明をし始めた。

「まず、主に罰の対象となるのが、(1)成績が悪い、(2)遅刻や無断欠席が多い、(3)忘れ物や授業態度が悪い生徒です。」

「では罰の対象になった生徒ですが、この棒でお尻を叩かれます。皆さんの先輩達は『お仕置き棒』と言ったりしていますが。」

ホワイトボード横に吊るしてあった、生徒達の目には一見指し棒として映っていたであろう藤製の鞭を手に取り教卓の前に立った川山塾長は高らかに掲げた。鞭の端には握りやすさと滑り止め防止のためだろうか黒色のビニールテープが巻かれてストラップが付いている。

「今の皆さんの状態なら授業態度は問題ありません。そもそも「普通に」していれば罰の対象にはなりません。」

「もし自分がお尻叩きの罰になったらどうなるのか。塾生手帳の罰の詳細の欄を見ていきます。」

川山塾長は塾生手帳の記載内容と並行して体罰の説明を続ける。

「皆さんが1度に叩かれる回数は最大で12回です。例えば(2)の遅刻は4回叩かれます。私は時間には厳しいですので、授業開始1分でも遅れた子には罰を与えます。今後クラブに入部する人が多くなると思いますが、『クラブで遅くなりました』は通用しません。」

「続いて(3)の忘れ物ですが、1つにつき1回です。例えばテキストを忘れたら1回、ノートを忘れたら1回。宿題忘れは3回のお仕置きです。授業態度ですが、私語は注意させた毎に1回、居眠りは1回です。」

「順番が前後しましたが(1)の成績が悪いというのは、大きく2つに分かれています。授業開始時に毎回行う10問の確認テストで7点以下の生徒は3回です。今日はオリエンテーションなので宿題はないですが、次回以降宿題を必ず出します。その範囲の中から10問ですので、きっちりこなしていれば不合格になることはありません。」

「次に定期テストでの成績が悪い生徒も罰の対象ですが、皆さんは2ヶ月後に初めて中間テストを受けるので、テストが返却されてから説明することにします。」


「…ここまでで何か質問がある人はいますか?」


川山塾長が問いかけると、張り詰めた空気の中で1人の男子生徒が恐る恐る質問した。

「はい…っ!」

「えっと、小林海斗くん。」

「最高で12回叩かれますけど、、、もし確認テストも不合格で遅刻もして忘れ物とかいっぱいして12回超えたらどうなるのですか?」

「12回を超えた回数分は次回の授業時に持ち越しです。例えば、小林くんが今日に15回のお尻叩きを受けることになりました。小林くんは12回叩かれて、更に次回の授業日に3回叩かれます。一度に回数の上限を決めているのは、皆さんの小さいお尻の皮が裂けてしまい血が出ないようにするためです。1年生の授業は火曜日と金曜日なので、金曜日のお仕置きの時にはミミズ腫れぐらいは引いているのかな…?」


「…分かりました、ありがとうございます。」


「はい、それでは最後に罰を受ける部屋について説明します。女子生徒も体罰の対象になっていますので、外から見えない物置になっている個室で行います。個室部屋では皆さん体育の授業でやったことがある馬跳びの馬の姿勢になってお尻を叩きやすいように突き出してもらいます。手を怪我してはいけないから両手は必ず膝に付けておくように。…今の皆さんは私服ですが、防寒着のズボンはお仕置きの際には脱いでもらいます。下着とズボンの着用のみ許可します。」


「…以上で今日のオリエンテーションを終わります。次回は金曜日なので英語のテキストを忘れずに。」


中学1年生の生徒達はこれから行われるであろうお尻叩きの恐怖心を植え付けられた様子で塾を後にした。

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