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チェルシーの新監督に決まったソニア・ボンパストル :: P2W020 :: WSL Watch #081

アーカイブ的な意味合いもあるかも? って思って気まぐれに量産体制に入った'P2W = person to watch(注目したい人)'シリーズの第20弾は7月1日に正式にチェルシーの新監督に就任するソニア・ボンパストル(Sonia Bompastor)を。シーズン・オフは移籍とかの動きがあるから個別の選手はちょっと取り上げにくかったりもするけど、とりあえず、新シーズンのWSLにいることが確定してて、チャンピオン・チームの新監督として大きな注目が集まることは間違いないと思うんで。

フランスを代表するアイコン的な存在

プロフィール的な部分は後回しにして、とりあえず、ソニア・ボンパストルのざっくりとした印象を端的に言うなら、「選手としても監督としても素晴らしい経歴を持ってて、フランスのウィメンズ・フットボールのアイコン的な人物」って感じなのかな、とりあえず。

個人的には現役時代の印象、主にフランス代表としての印象はぼんやりあって、「あ、見覚えあるな、フランス代表のキャプテンだったっけ?」なんて思った感じだったんだけど、改めて確認したらフランス代表で156キャップっていうものすごい実績の持ち主で。1980年6月8日生まれだからちょうど44歳になったばっかりで、2000年から2013年まで現役でプレイしてて、アメリカでプレイしてた時期もあるけどキャリアのメインはリヨンって感じで、引退後の2013年にリヨンのアカデミーで仕事を始めて、2021年にトップ・チーム初の女性監督になってるんで、基本的には選手としても監督としてもこれまでのキャリアはほぼほぼリヨンって言っていい感じで、実はアカデミーで仕事をしてた期間のほうが長かったことになる。ちなみに、選手としても監督としてもUEFAウィメンズ・チャンピオンズリーグ優勝を達成した唯一の女性なんだとか。選手としての実績も知名度も十分って点は、前任者のエマ・ヘイズ(Emma Carol Hayes OBE)とは明らかに違ってるって言えそう。

リヨンの監督として多くのタイトルを獲得

監督キャリアの部分をもうちょっと見てみると、リヨンのトップ・チームの監督になった21/22シーズンから今シーズンまでフランスの国内リーグは3連覇してて、国内カップを1回、スーパー・カップを2回、さらにUEFAウィメンズ・チャンピオンズリーグ(UWCL)も21/22シーズンに優勝してるっていう凄まじい結果を残してる。ちなみに、今シーズンのUWCLでもバルセロナに負けちゃったけど決勝には進出してるし。12年で14個のタイトルを獲った前任者のエマ・ヘイズの実績もものすごいけど、スーパー・カップを除いても3シーズンで5個のタイトルを獲ってて、しかも、そこにUWCLも含まれてるソニア・ボンパストルの実績も全然引けを取らない感じ。

報道によるとリヨンとの契約は残ってた、つまり、チェルシーがリヨンに違約金を払って招聘したってことらしい。当然、「なんでリヨンを辞めた?」って話になると思うけど、どうも、シンプルに「リヨンで勝ち取れるモノは勝ち取った」「リヨンでやれることはやりきった」みたいなことみたい。新しいチャレンジとしていくつかの選択肢があって、例えば、フランス代表監督ってアイデアももちろんあるけど、44歳っていう現在の年齢を考えるとまだ早いし、できればフランス以外の国で新しいチャレンジを...って考えてたところに今回のチェルシーの話がきたってことらしいんで、いろんな意味でタイミングが合ったってことっぽい。

気になるサッカーのスタイルは?

フランスの国内リーグについてはほとんど観てないから何とも言えないけど、今シーズンのUWCLのパリ・サン・ジェルマンとの準決勝の2試合とバルセロナとの決勝の3試合を観た感じでは、基本的には4-3-3を使うことが多くて、わりとシンプルな戦術で個人の能力を上手く活かすサッカーって印象だったかな。保持ベースで攻撃的なスタイルだけどそこまで極端にそこにこだわってる感じじゃなくて、バルセロナ戦なんかは典型的だったけど、保持できないならソリッドに守って速く攻めたりも全然やれる感じで。良くも悪くもけっこう柔軟で、そこまで緻密じゃないっていうか。アスリート能力が高い選手が揃ってるからって側面もあったんだろうけど。大枠としてはわりとこれまでのチェルシーに近いっていうか、それなり以上に親和性はありそうな気はしてる。もちろん、リーグも違うし在籍してる選手も違うし、リヨンと同じようなサッカーをやるとは限らないけど。ちなみに、カデイシャ・ブキャナン(Kadeisha Buchanan)とカタリナ・マカリオ(Catarina Macario)はリヨン在籍時にソニア・ボンパストルの下でプレイしてた経験があるらしい。

悲願のチャンピオンズリーグ優勝を目指して

今回のソニア・ボンパストルの招聘のニュースを聞いて、個人的には「やっぱり、理由はUWCLの優勝なんだろうな」って思ったかな。どこかで明言されてるわけじゃないから、完全に推測だけど。WSLを知ってることよりUWCLを知ってること、もっと言っちゃえば、UWCLで勝つことを知ってる(経験してる)人間を選んだように見えるんで。別にWSLを軽視するってことじゃないだろうけど、やっぱりチェルシーにとってUWCL優勝は文字通り悲願なんだろうな、と。もちろん、優勝経験がある監督なら優勝できるって簡単な話じゃないとは思うけど、それでもないよりあったほうがいいだろうし、その経験を持ってる人はそれほど多くないはずだし。前任者のエマ・ヘイズは("WSL Watch #009"でも書いた通り)単に結果を出したってだけじゃなくて、イングランドのウィメンズ・フットボールにいろんな意味で大きな影響を与えてきた存在だから、その後任はいろいろ大変だろうけど、でも、やっぱり期待しちゃうし、とりあえず、来シーズンのWSLの大きな注目ポイントになることは間違いないはず。



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