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【東エルサレム研修レポート⑤】研修を終えた参加者へのインタビュー

こんにちは、JVCエルサレム事務所・現地インターンの内田です。東エルサレムでの女性向け職業訓練のプログラムのうち、パン・お菓子づくり、ヘアカット、ヘアーカラーリングの訓練が7月に終了しました。

そこで、今回はヘアカットの研修に参加されていたアザール・タウィールさんにインタビューをしたのでそちらについてご報告したいと思います。

アザールさん

アザールさんは、この研修を実施しているパートナー団体のAWCの事務所があるアットゥーリ地区に住んでいる4人の子どもを持つお母さんです。

内田:アザールさんは今期はどの研修を受けていましたか。

アザールさん:今回はヘアカットの研修に参加していました。

内田:以前からヘアカットやヘアメイクなどに興味があったのですか。

アザールさん:実は最初は全く美容関係のことには興味がありませんでした。以前からお菓子作りに興味があって、前回参加したパン・お菓子作りの研修にもう一度参加したかったのですが、初めての方を優先するということで、残念なことに今回は参加できませんでした。それでも何かしらの研修を受けたかったのでヘアカットの研修を受けることになりましたが、最初は気が進まず、なんで自分がヘアカットの研修を受けているのだろうと思った時さえありました。でも研修を受けるにつれて次第に楽しめるようになり、どんどん意欲的に研修に参加するようになりました。この研修に参加していなかったら知り得なかった知識やスキルを身に着けることができて今はとても嬉しく思います。

内田:なるほど。ちなみにスキル以外の面において研修前と研修後で自分が変わったと思うことはありますか。また、周りの人に変わったと指摘されることはありますか。

アザールさん:はい、研修をとおして私自身の考え方や性格が変わったと思います。講師のイルハム先生に実際に言われた言葉があります。

「研修の開始当時は、アザールはとてもシャイで他人の前で話すことが苦手そうに見えたけど、今では周りの人と積極的にコミュニケーションをとっているし、精神的に強くなったように見えるよ。」

先生はこう言ってくれましたが、実は私が変われたのは先生と参加者のみんなのおかげだと思います。常に賑やかで参加者同士で冗談を言い合うような楽しい雰囲気だったので、意見を言ったり質問をしやすかったです。また、イルハム先生は私たちがどんな質問をしても面倒臭がらず、すべての質問に丁寧に答えてくだいました。

内田:私も何度かヘアカットの研修に参加させてもらいましたが、先生も良い意味でおしゃべりで、参加者のみなさんはとても楽しんでいる印象でした。中でもアザールさんはとても積極的に参加していたので、研修開始当初はあまり内容に興味が湧かなかったことも、人前に出るのが苦手だったこともとても意外でした。

後列右から4人目、眼鏡をかけている方がアザールさん、
前列中央の茶色の服を着ている方がイルハム先生です。


内田:最後に、この研修は職業訓練という名のもと行われていますが、アザールさんは今後この研修で身に着けたスキルを使って何らかの仕事を始めることに関心はありますか。

アザールさん:実際に始められるかどうかはわからないですが、関心はあります。ですが、仕事をするならもともと興味のあったお菓子・パン作りに関連した仕事を考えています。

このヘアカットをはじめとした職業技術訓練は、近い将来、小規模ビジネスをたちあげて社会的・経済的な自立を目指す女性をサポートする目的で実施しています。

しかしながら、ビジネスのためのスキルや知識を獲得する機会を提供すると同時に、イスラエルの占領や男性優位のアラブ社会のなかで日々ストレスを抱えている女性たちの心が少しでも明るくなったり、日々の疲れや女性としてのプレッシャーなどを忘れられるような場づくりという要素も本プロジェクトにおいては重要な要素だと思っています

そのため、アザールさんから「研修を通じて自身が変わった」というお話が聞けたのはとても嬉しく思いました。

※本事業は、外務省の日本NGO連携無償資金協力にて実施しています。


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