見出し画像

教育論の本を書くなかで知った効果的な英語学習法#2 【海外の「NARUTO -ナルト-」オタクに学ぶモチベーションの保ち方】


↑前回はこちら

言語習得のカギはモチベーション維持にあり (労せず英語を操れるようになるには)



本を書くための文献を集める中で一番しっくりきたのが、アメリカの言語学者スティーヴン・ブラウン氏の提唱する「モチベーション理論」。(本当はもっとややこしい名前が付いているのですが、無理やり日本語に訳すと意味不明になるのでシンプルにしてみました)

これに関しては他の多くの学者さんも提唱していて、よくよく考えると当然といえば当然の話なのですが、要するに

英語を習得することによって何をしたいのか、長期的な目標をはっきりさせよう!ということ。

英語に限らず第二言語を習得する際に、多くの人が途中で挫折してしまう一番の要因になっているのは、いつの時代もモチベーション

・英検の上位級を取得しておけば将来何らかの役に立ちそう
・昇進のためにTOEICスコアが必要
・志望校に受かるため英語の成績を上げたい
・英語のテストで良い点を取って先生や親に褒められたい

日本においては概ねこの辺が最も多く見られる英語学習の動機かと思いますが、こうした短期的なゴールだけしか設定していない場合、英語を使いこなせるようになった後の理想の自分像が見えていないので、学ぶ過程でワクワク感がどんどん薄れていき、結果途中でやる気がプツリと切れて挫折に繋がってしまうケースが多いようです。

(もちろん、彼ら(言語学者)のほとんどはテスト勉強を否定しているわけじゃなく、むしろそこで得られる正確な知識も必要不可欠なので、ないがしろにするのはNGだと主張しています)

英語習得を容易にする魔法の概念 「を → で」 理論


というわけで、モチベーションを持続させる仕組みを確立することは、英語学習を進めていく上での最重要課題。

なので、まずは長期的な目標(将来英語を使いこなすことによってどれほど豊かで楽しい人生を送ることができるか)をできるだけ具体的に思い描くことが重要!

なんですが・・・「いきなりそんなこと言われても、話が壮大すぎてよく分からんわ!」とツッコミを入れたくなるのが人情ってもんですよね。



しかし、そこはさすが言語学者の大家であるスティーヴンさん、「それなら、自分の好きなことを英語で学んじゃえば、好きなことに対する知識は得られるし勝手に英語は上達するしで、手っ取り早いし一石二鳥じゃね?」と仰ってくださっています。(実際はこんなチャラいキャラではありませんw) 

ここで出てきました。英語「」好きなことを学ぶ。

英語「を」学ぶのではなくて、英語「」学ぶ。この「」が、

と・に・か・く・だ・い・じ

なんです。(それはそれは大事なことなので、お・も・て・な・しのように強調してみましたw)

わずか一年で日本語がペラペラになった「NARUTO -ナルト-」オタクたちの嘘のような本当の話



それで、実は僕、カナダ・トロントに留学していた頃、この理論を計らずも忠実に実践していた人たちにすでに会ってまして、それが「NARUTO -ナルト-」を愛するがあまり作中に出てくるキャラクターのコスプレをしていた「ナルトオタク」のカナダ人大学生たちなんです。

折しも僕がトロントにいた2006年から2009年頃は、日本が誇る漫画・アニメ作品「NARUTO -ナルト-」が世界を席巻していた時代。

ジャパニメーション文化が本格的に海外へ進出し始めた時に「ナルト旋風」をモロに食らった彼らはその世界観に魅了され、ナルトの素晴らしさをひとりでも多くの人に伝えるべく、各々が好きなキャラクターのコスプレをして市内の様々なスポットに出没するという布教活動(?)をしている様子でした。

大学に通う時も街中を歩くときも常にナルトのキャラクターに扮し、日本人留学生を見つけるや「日本って最高だよな! ところで君は日本のどこから来たの?」と流暢な日本語で話しかける彼らに、僕を含め日本から来た留学生たちはひたすら驚かされっぱなしでしたw

何より驚愕したのは、彼らのほとんどがナルトを通して日本語を学び始めてからわずか1年あまりで日常会話をほぼ完璧にマスターし、「武者修行」や「最終奥義」といった作中で出てくる結構難しい単語も自由自在に操っているという事実。

そう、彼らにとっては、日本語「を」学ぶことはあくまでもオマケに過ぎず、愛してやまないナルトのアニメを日本語「で」視聴しながら作品に対する理解を深め、ナルトを入り口に日本語「で」日本人に話しかけることによって(時々英語も教えてあげたりしながら)気心の知れた友達を作ることが唯一にして最大の目標だったのです。

僕にとって英語とは、バンド活動を続けるための「道具」だった



この一例からも、第二言語はあくまで異なる文化圏のエッセンスを自分の中にインストールしたり、外国人とのコミュニケーションを成立させたりするための「道具」に過ぎず、むしろ第二言語(英語)を「道具」として使いこなすことに徹頭徹尾注力すると、案外労せずに短期間でマスターできてしまうことが分かります。

思えば僕自身も、カナダ留学時代一番夢中になっていたのが音楽発掘とバンド活動で、自分にとっての「当たりアルバム」を見つけるために海外のブロガーの音楽レビュー系記事を読み漁ったり、地元のタトゥーアーティストたちと組んでいたバンド(メタルバンドでベースを弾いてました)で四苦八苦しながらも英語で会話しながら一緒に曲づくりをしたりしているうちに、ハッと気がつくといつの間にか英語力がグンと上がっていたんですよね。

適切な動機の設定方法 (一回だけ魔法を使えるとしたら何をする?)


さて、ここで話題を冒頭に戻しますが、上記のふたつの例から見て取れるように、

英語を使いこなすことによって
・「自分が心から好きなもの」に対する理解を深められる
・「憧れのコミュニティ」に混ぜてもらうことができる
・「日本では手に入らない世界の情報」を知ることができる
・「なりたい理想の自分」に近づくことができる
など、「美味しくて得する状態」にセッティングできさえすれば、あとはこっちのものです。

それでここからは適切な動機の設定方法についてですが、(パッと思い浮かぶ人は別として)自分自身に「一回だけ魔法を使えるとしたら何をする?」と聞いてみると簡単に見つけることができるんじゃないでしょうか?

お金・時間・世間の目が原因で普段は我慢しているけど、そういう制約を一切気にしなくても良い世界になったら真っ先にしてみたいことは何?」みたいな質問もアリかもしれません。(お子さんに英語を学ばせたいと思っている親御さんは、普段の会話でこういった好奇心がくすぐられるような質問を何気なく投げかけて、本当にやりたいことを上手に引き出してあげると良いかもしれませんね)

次回に続く(自分だけの教材探しとリスニング力の訓練方法について)







この記事が参加している募集

#学問への愛を語ろう

6,150件

#英語がすき

19,306件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?