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ジュウ・ショのサブカル美術マガジン

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美術についてサブカルチャー的な視点から紹介・解説。 学術書とか解説本みたいに小難しくなく、 極めてやさしく、おもしろく、深ーく書きまーす。
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2021年1月の記事一覧

西洋美術史を年表でまとめ!画家と作品で紀元前3000年から1990年代まで紹介

さて美術館で絵を観るとき、あなたは何を思うだろうか。「キレイだな~」と思う方もいるだろうし「え?なんでこれ描いたんだろ」と思うこともあるだろう。美術の楽しみ方は人それぞれだ。正解なんてない。 ただ後者の場合、その作品を作った背景が分かると、いつもの美術体験がより分かりやすくなる。そこで「西洋美術史」が大事になるわけだ。今回は以前、紹介した文学史やマンガ史と同じような形式で代表的な美術家や作品とともに西洋美術史をまとめてみたいと思う。 なお、この記事は私が今後長年にわたって

ルネ・マグリットをまとめ!0〜67歳までの経歴・作品紹介など

ルネ・マグリットは、シュルレアリストのなかでもダリの次くらいに人気が高い画家だ。そのキャッチーなモチーフは私たちを一気に不思議な世界へ誘ってくれる。そして「共感」する。 この「共感」という感覚はシュルレアリスムにおいて稀有な感情だろう。例えばダリの作品を見て「ああ〜、なんか分かる〜」と思うことは、ほとんどない。ダリに共感する人は今すぐ絵筆を持ったほうがいい。あなたは天才だ。基本はみんな「なに考えてんだろこの人」と思うはずである。 他のシュルレアリスト作品も同じだ。「意味が

エドワード・ゴーリーの絵本を紹介! 不幸な子供、うろんな客など

「絵本」にどんなイメージを持つだろう。かわいい、健全なもの、教育的……どれも正解でしょう。 レオ・レオニの「スイミー」やエリック・カールの「はらぺこあおむし」など、絵本といえば「子どもに向けた安心して読めるもの」という言葉が当てはまる。 これらがメインカルチャーだとしたら、エドワード・ゴーリーは完全にサブカルチャーだ。完全に次のステージに行ってしまった絵本作家である。その作品はそれまでの「絵本」のテーマとはまったく違うものであり、世間的には「大人が読む絵本」と書かれること

【鳥獣戯画展も!】鳥獣戯画の解説文!作者不詳・日本初の漫画が意味することとは?

漫画とは日本の重要なカルチャーであり、私のような日陰で生きる民族としては、特に生活に深く関わってくるクリエイティブの1つだ。 毎週のように漫画を読んで爆笑し、漫画を読んで号泣する。漫画によって誰かとつながって、漫画について話しながら生きてゆく。我々はもはや漫画を単なるエンタメとは見ていない。漫画がない世界なんて考えられない。息を吸って吐くようにページをめくって絵とセリフを味わいたい。 そんな、つい人を熱くさせる漫画の世界だが、皆さんは日本で初めて描かれた漫画をご存知だろう

ダダイズムをわかりやすく解説!作家・作品、シュルレアリスムとの違いなど

私はこれまでシュルレアリスムにまつわる記事を山ほど書いてきました。また半狂人になりながら(シュルレアリスムの代名詞的な技法である)自動筆記で作品を作っている。たまに友だちから「おい!大丈夫か!」と電話がきたりする。 それほどまでに、その哲学や概念に魅了されているわけだ。このシュルレアリスムの源流に当たるのが、1916年にスイスで生まれた芸術運動の「ダダイズム」だ。本来はヨーロッパ読みで「ダダイスム」と読むが、ここでは一般的な「ダダイズム」とする。 ダダイズムは実質的8年だ

【自己紹介】私がnoteでやっていること・やらないと決めていること

突然ですが、フォロワーさんからこんなメールが届きました。(送信先は伏せますが、ご本人さまにちゃんと了承をいただいてます〜!) 月に数件ほど、法人だけじゃなくて個人の方からもメールとかTwitterのDMとかをいただけるのですが、正直めちゃんこ嬉しいです。はしゃいでます。勝手に友だちと思ってます。懇切丁寧にお返事させていただきますので、お気軽にどしどしください。 話を戻そう。私「カルチャーを知ると、もっと作品がおもしろくなる」をコンセプトに記事を書いとりますが、そもそも「こ

サブカルチャーとは? 日本と海外の意味の違いを事例で簡単に解説【アニメ・マンガなど】

前回の記事で「カルチャーとは」について「メインカルチャー・サブカルチャー・ハイカルチャー・カウンターカルチャー」に分かれまっせ!」ということを、そこそこちゃんと説明した。 しかし、実はすごく大事なことが抜け落ちているんです。土下寝しつつ白状します。この4つのカルチャーのなかでも「サブカルチャー」に関してはちょっとややこしいのだ。 この部分はそもそも人種的な背景もあるし、日本で使う際は少し違う意味になったりする。ちなみに私のマガジンは「日本でいうサブカル」ですので悪しからず

カルチャーとは?メイン・ハイ・サブ・カウンターの4つの意味を事例で紹介

さてさて、私は「サブカルマガジン」と銘打って、マンガ・アニメ・映画・音楽・映画・美術などなどについて日々記事を更新しています。 ただ「そもそもカルチャーってなに?」という前提を書いておかないと、このマガジンがなんのこっちゃ分からない。いやこれホント全力で自省の念が爆発したわけでございます。今年はマジで毎日、記事を更新していく姿勢ですので、ここでバァーンとはじめての方に向けて、カルチャーの概要について大紹介します。 そもそも文化(カルチャー)には4種類あるまず「カルチャー」

パウル・クレーをまとめ! 天使や音楽など、年代別に作品を紹介

パウル・クレーの作品は日本人にとっても、けっこう馴染みがある。すごくおしゃれで可愛らしくて、なんか仕事で疲れたときに見ると泣ける。 クレーのファブリックパネルとか家に飾っている素敵な方もいらっしゃるだろう。きっと北欧好きだろう。で、家ではマイアヒラサワあたりをかけていて、朝はムーミン柄のオープンサンドメーカーでトーストを焼き、日中はきなりのロングワンピースを着て、しゃんしゃんと歩き、古い喫茶店に入って石田千やゴーゴリあたりを読むはずだ。 クレーが好きな方ってそんなイメージ

ゴッホの耳切事件はもうドタバタコントとして見るべき

ゴッホはおもしろいんだぞ。ゴッホは西洋画家でも特にヤバいんだぞ。伝記とか超笑えるんだぞ。 特に「炎の人ゴッホ」が上映されてからは「ゴッホ=情熱半端ない画家」と捉えられているが、いや実際は情緒不安定かつ仕事をしない。一言で言うと「メンヘラヒモおじさん」なのだ。 映画『劇場』のダメ主人公に近い。または下北の周辺に生息して菅田将暉くんの芝居を上から目線で批評する役者崩れや、andymoriに憧れすぎたバンドマンみたいな感じ。 そんなゴッホのメンヘラっぷりが存分に出ているのがゴ