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#自由詩

春の詩

春の詩

スプリングと英語で言うけれど
春は弾む季節ではない
春は弾け飛ぶ季節だ
それまで信じてきたものや
価値があるとされてきたもの
すべてが弾け飛ぶ
誰かの大きな人差し指で
ビヨーーーンと
彼方まで飛ばされる
既存のものにしがみついてきたものたちは大騒ぎするが
おそれることはない
しがみついてもむだだ
いっそ遠くの遠くまで運ばれてしまうのもいい
そして着地した場所で重力を取り戻すのだ

春に降伏せよ

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存在と可能性という名のパン屋

存在と可能性という名のパン屋

ベッカライ
エクジステンス
ウント
ムェークリヒカイト

意味はないよ
この店名に

朝が来た
焼き上がったパンの香りが部屋を満たす
さあ店を開けよう

おそれていたことは起きない
すべての可能性がある
死なない
以外の

実家で見たアルバムのなか
過去のわたしに娘はそっくりだ
そしてあなたにわたしは

こんなにも脈々とあなたたちから血はわたしへと流れ
そしてこんなにもわたしはあなたたちのこと

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そしてそのように
ヒトは歩いてきたのか
足音をたてず
足跡を残し
土踏まずを光らせて

ふるえる心を抱いて
転がしていく
わたしたちはみず
ふるふるとふるえる たま

ふるえる心を抱いたままゆけ
そのまま 転がり続けてゆけ

たびじたく、みじたく

はじめに
まずすることは
からだのこと
中にある空気を全部外に出して
からだのなかを空っぽにする
雑念も
余計な力も
二酸化炭素に流して
全部出ていってもらう
そうだ
君はゼロ
君は可能性
君は真っ白なキャンバス
そうして空っぽになったら
流れ込んでくる
世界が
宇宙が
君が 宇宙 そのもの になる

泣きたくなるのは
この世に生を受けてはじめて地上の空気を吸い込んだあの朝のことを思い出すからか

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