【最期の本】余命一ヶ月に読みたい本は何か?
どこかのホスピスから、
1通の手紙が来たとします。
余命一ヶ月の人から
五千円で本を選んで欲しい、
そんな依頼があったなら?
ちょっと不謹慎な設定に
思われるかもしれませんが、
どうか多めに見て下さい。
まず、その余命一ヶ月の人が
自分ならどんな本が読みたいか?
どんな本で、人生を
締めくくりたいだろうか?
この場合、基準は
単なる内容ではないですね。
自分の人生の思い出の本
かもしれない。
だけど、思い出だけに
囲まれたいだろうか?
それなら、
自分の学校時代の卒業アルバムが
一番適切な気もします。
または、卒業文集??
でも、それで本好きが
満足するかしら(笑)。
人は死を迎える時、
どんな気持ちになるんだろう。
そこを考え抜く必要がありますね。
欲しいのは、
安堵?
平和?
勇気?
赦し?
自慢話?
そうしたことが全て揃った本て
何かありますかしら?
やはり?というか
聖書?
論語?
ブッダの話?
私はもしかしたら
手塚治虫『ブラックジャック』や
『火の鳥』『ブッダ』かもしれない。
特に『火の鳥』は
魂の輪廻転生がテーマだから、
死ぬ前に熟読玩味したいかも。
あるいは
偉人たちの最期の言葉を
集めた本とか読んでいたいかも。
あるいは、
大ファンだった井川遥の
写真集かも(笑)。
人間、最後はシンプルに、
美人に接していたいから(笑)。
あるいは、
料理レシピ本かなあ。
食べてみたい料理が
色鮮やかに並ぶ写真集?
ですからね。
あ、いや、今、思いつきました。
アラスカ写真家の
星野道夫さんの写真集だ。
写真のあいまに書かれた
エッセイもまた、
命について問いかける
文章ばかりだし。
星野さんの写真は
ただ、空や川やクマやカリブーを
写してしても、
何か奥行を感じるんですよね?
星野さんのアラスカの写真集と
エッセイ集を数冊。
エッセイは
色々ありますが、
ざっくばらんな感じで読めるのは
講演を文字起こしした、
「魔法の言葉」(文春文庫)858円。
あるいは、星野さん自身の
最後の著書になった、
「森と氷河と鯨 ワタリガラスの
伝説を求めて」(文春文庫)1045円。
これは、写真とエッセイが半々に
なっていて、星野さんに馴染みが
なくても読みやすいはず。
星野さんの言葉は、
命について、一切きれい事のない
だけど悠々とした真っ直ぐな文章です。
元気で健康で
リアルライフが充実してる時は
そんなに、命だ生命だ言われても、
ちょっと耳に入ってこないですが、
死を前にすると、
どの文章も染みるでしょうね。
また、アラスカの大自然の写真集は
非常にこころが洗われそう。
特に星野さんは
いわゆる「旅行ガイド」的
というより、
その写真にうつる動物や空や
大地や鳥たちが観るものに
何かを語ってくるんですね。
「とんぼの本 星野道夫が見た風景」
(新潮社)1430円。
星野道夫さんは
独自の観察力をもった
不思議なカメラマンでした。
ということで、
私は余命一ヶ月になったら
星野道夫の写真集やエッセイを
読もうと思います。
依頼を受けたホスピスの方には、
星野道夫さんの魅力と特徴を
手紙で、説明して、
それで良かったら、
星野さんの上記の本たちを
お送りしたいと思います。
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