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【文学賞】大江健三郎賞が教えてくれることとは?

大江健三郎には、
大江健三郎賞という文学賞が
ありましたね。

毎年、大江健三郎が一人で、
文学の力に溢れた作品を
見つけ、授与していたようです。

生きてる間に自身の名前を冠した
文学賞を持った作家は少ないでしょう。
しかも、自身が受賞者を選んでいた。
芥川賞も三島由紀夫賞も
谷崎潤一郎賞も川端康成賞も
泉鏡花賞も、山本周五郎賞も
大藪春彦賞も、向田邦子賞も、
文学賞というのは、
他界した作家の名前を
冠にすることが多いですね。

大江健三郎賞は、
錚々たる人気作家が多かった。
この賞では、そんな作家たちの
代表作が選ばれることが多かった。

大江健三郎賞は全8回ありました。
2007年から始まり、
2014年で終わりましたが、
長嶋有さんや綿矢りささんが
表彰されていました。

選定者の大江さんは、毎回、
自分の心にビシビシ来た、
新鮮な作品を年に一冊、
絞りに絞っていたのでしょう。
これは大変だったにちがいない。

特に大変だったのは、
選定するまで、ほとんど
大江さん個人で運営していたこと。
全8回の受賞者がいますが、
受賞作をいざ眺めると、
大江文学の継承者を選んでる?
とはどうも、思えない。
そんな観点はあまりないようです。
世界観も全然ちがう個性的な作家を。
選んでいますよね!

ということは、大江さんの中で、
自分より若い世代の文学者と
深い交流や支援を 
したかったのではないかしら。

それにしても、
文学賞の選定は、
相当な体力と精力が必要になる。
8回で終了したのは、
大江さんがもっと自身の創作に
精力と体力を使いたくなった
からでしょうね。

ちなみに、
一人で選んでいる文学賞は
ドゥマゴ賞も有名どころですが、
あれは選定者も毎回、
別の人になるから、
一回切りですが、
毎年やるとなると、
大変さが思いやられる。

一年に一回、自身の文学論に
すごく共鳴できた本を一冊、
選ぶというのは、楽しそうだけど、
大変さもまた半端ないですね。
発表後に、ネットで、
批判炎上でもしたら目も当てられない。

ふだんは、
文学賞の話といえば、
受賞者のことが大半で、
選定者サイドのことは、
話題になることも少ないですが。

大江さんの逝去を悼んで、
大江健三郎賞、全8回のリストを
ご覧ください。

第1回
2007年
長嶋有 『夕子ちゃんの近道』

第2回
2008年
岡田利規『わたしたちに許された特別な時間の終わり』

第3回
2009年
安藤礼二『光の曼陀羅 日本文学論』

第4回
2010年
中村文則『掏摸』

第5回
2011年 
星野智幸『俺俺』

第6回
2012年
綿矢りさ『かわいそうだね?』

第7回
2013年
本谷有希子『嵐のピクニック』

第8回
2014年
岩城けい『さようなら、オレンジ』

大江さんは、こんなにも
現代日本の小説が好きだったんですね。
感性は若いままだったらしい。

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