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【読書】『人間失格』にすがりつきたい夜がある。

今夜、久しぶりに
太宰治の『人間失格』を買った。
それだけだと、恥ずかしくて
『走れメロス』も買って、
ちょっと誤魔化した。

まだまだメンタルは、
チュウボウなんだって
バレバレになるから(汗)。

でも、
人間失格に、
走れメロスを買っても
太宰に太宰だから、
誤魔化したことにはならないか。
(笑)。

そこは駅前の小さな書店で
高齢のおじさんがレジにいて、
いつも通り、対応してくれました。

「う、うわ、こいつ、
50才すぎたおっさんのくせに
人間失格、買ってるよ〜」
みたいにあざ笑う表情を、
店員さんはしなかったので
私はとてもホッとしました。

20代30代の時は、
『人間失格』を買うだけで
こんなに恥ずかしい気持ちには
ならなかったのに、
と思うと、
今がむしろ正しい態度なの
かもしれませんね。

買ったあとも、
『人間失格』をにぎりしめて
カバンにはいれずに、
家まで持っていきました。

それにしても、
人生、活きていると、
ふと太宰治を読みたくなる時が、
それも人間失格を読みたくなる時が
何度かありました。

なんででしょうか?
今夜は、人間失格だけが
私を救ってくれる
セーフティネットだと
思う時があるんですよね。
ベタですね(笑)。

ああ、あの本だけが
私を救ってくれるだろうと、
書店に駆け込む、
そんな本って、他には何か
あるでしょうか?

メンタルがドン底すぎる時は
西村賢太みたいな私小説は
逆に、近づきたくない。

村上春樹では、
落ち込んでる時は、
『ノルウェイの森』ではなく、
ギリシャ紀行エッセイの
『雨天炎天』か、
短編集『回転木馬のデッド・ヒート』
または『ねじまき鳥クロニクル』
あたりかもしれない。

ああ、こんなに、
一冊の文庫本を買うだけで
こんなにドキドキするなんて。
長生きするのも悪くないかな。

そうそう、
『人間失格』は
読む度に感想が違うんです。

こうした人間を書いた太宰は
どんな狙いがあったんだろう?
何個くらいの狙いを込めてたろう?

下手したら、
太宰が込めてはいない狙いを
私が勝手に読み取ってる場合も
ありそうでしょうね。

読書って、いいですね、
不思議ですねえ。

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