見出し画像

【創作】私は小説が好き、ノンフィクションはもっと好き。

小説より、本当はノンフィクションが好きだ、
ということに気が付いた。
というか、なぜ今まで忘れていたのだろう?

学生時代は「深夜特急」で売れた
沢木耕太郎を夢中で読んでいた。
あの頃は
「フリーライター」という名称も
今よりも輝かしいニュアンスだった。

最近、最相葉月さんが
鈍器本ともいうべき
分厚い本を出しました。
書店にいくと、高々と積まれている。
1100ページある。
ビックリするのは、この本の分厚さではなく、
ああ、やっと最相さんが復活したか?という
安堵感でした。

最相さんは、執筆し始めたら
もう限界を越えて書き尽くそうとする。
それで、後から倒れてしまう。

でも、可能な範囲を越えたい!
そんな欲求があるんでしょうね。
ノンフィクション作家は。

フィクション作家、
いわゆる作家と、
ノンフィクション作家では、
俗な言い方をすると、
フィクション作家はコスパが良い。
机に座り、
「ここは宇宙だ」とかけば、
それだけで、読んでる人も宇宙にいて、
自分なりの想像力で情景を作り出す。
映画ならSFXでセットを作るから
もうお金も時間もかかるというのに。

でも、ノンフィクションでは、
本当に宇宙に行ってきた人の話を
何人も聴いて聴いて聴いて、
なんとか、そんな発言を聞くまで
ノンフィクション作家は、
勝手に書くわけにはいかない。

それから、時間もかかる。
何千冊という資料本と何年も
にらめっこしてなくては。
ノンフィクション作家では、
この人が描いてるのなら
安心して読もう、買おう、信じよう、
そんな気持ちになるのは、
なぜか女性ばかりだ。
①堀川恵子さん。
戦争や裁判、司法の実像に立ち向かう人だ。
②梯  久美子(梯の読み方は「かけはし」)
島尾敏雄と妻ミホの壮絶な夫婦を描いたり、
硫黄島の指揮官のドキュメントを書いたり。
③最相葉月は、決まった分野はない。
その時に関心が向くことを
ノンフィクションの対象にしてる。
デビューは、絶対音感はどのようにして
存在しているのか?深掘りして話題となった。
以後も、心理カウンセラーの生き方を
取り上げていったり、
ショートショートの元祖・星新一の
評伝を書いてみたり、、、。

これでは身が持たないでしょうね。
「セラピスト」を書き上げてから
しばらくは体調を崩されていた。

虚構で物語を書く、いわゆる作家も
どれだけ大変で、業の深い仕事か?は
漫画の編集時代に、
身をもって痛感しているけど、
なかったことは書けない
ノンフィクション作家は、
原稿に向かいながら、
こんな逸話がないかな?
面白くなるのにな、と思っても、
勝手にウソを書くことはできない。

ひたすら事実から
欲しいピースを集めてくるしかない。
そんな訳で、
揃えたい資料だけで、
うんざりするような数の本が要る。

そうして、何人もの対象者を
いっつも会ったり、読んで考えていく。

また、長い時間のインタビューに
応じてくれた対象者に
何か手土産はいるでしょう。
何日も泊まり込みで
インタビューするなら
その近場のビジネスホテルを
自腹で借りるしかない。

さきほど私が挙げた
ノンフィクション作家のビッグ3なら、
雑誌掲載も決まっていたり、
本の発売も確約されていたり、
多少の出費は編集部が払って
くれる場合もあるのかな。

でもまだ新人ノンフィクション作家では、
そうはいきませんね。
全部、自腹ということだってある。

なのに、私も、
もしも万が一ですよ、
ノンフィクションを書くとなったら、
その対象がアメリカにいるとしても、
そこは飛行機もホテルも食事も
ぜんぶ自腹になるでしょう。

だから、敬意を向けてしまうのかな?
とにかく、ノンフィクション作家は
コスパが悪いのに、使命感で
テーマの中心部分に迫っていく。
そんな難事業にもかかわらず、
ノンフィクション作家をやってる人には
尊敬の念しかありません。

そうですね、
一度は本を書ける機会があるなら
誰かの評伝を書きたいですね。
誰を書くのがいいかな。
それもおいおい、探していこう。
なんだか、これからは
楽しみが多そうだぞ。
うんうん、忙しくなりそう(笑)。
ダウンタウンの絶頂のかげで
苦労し続けた苦悩の芸人たちとか?

うーむ、すぐには出てこないな。
それを考えるのがまた
楽しき苦悩なんですよね。

苦労と充実は、同じものの
表裏一体なんでしょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?