ダサいバナー選手権!-ジュニのデザイナーが全力でダサを追求してみた-
普段デザインアワードを受賞するような実力のあるデザインチームが"広告の手法として"ダサさを極めようとしたらどうなるのか?そしてダサさには法則があるのか?
ダサいとは…「恰好悪い」「野暮ったい」「垢抜けない」などの俗語。
流行語は時代とともに変わるのに「ダサい」はなぜかずっと使われ続ける不思議な魅力をもっている。
そんな不変の「ダサい」。ダサさには、思わず突っ込まずにいられない人を動かすパワーをもっている。そのパワーに広告業界も注目して、"あえてダサいデザイン"で見る人が思わず突っ込みたくなるような広告手法がある。
例えば…
・メルカリの懐かしみしかない90年代風スペシャルサイト
・あえてダサいデザイナー募集ページで、思わず入社してあげたいと思わせる例
あえて今、逆方向のパワー全開で、誰しも唸る究極のダサさを目指してデザイナーたちが競い合う!
ダサいバナー選手権概要
最も投票数の多かったバナーを「最ダサバナー賞」とする。
・バナーは同じ条件のもとダサさを本気で競い合う。
・バナーの投票はジュニの社員が匿名のバナーに一人1票投票する
応募条件
メインタイトル:「”イケてる”ホームページお任せください 」
必ず入れる文言:「パソコン画像」「クオリティが命」「絶対デキます!」「詳しくはこちら」
「イケてる」や「クオリティが命」など、まず広告バナー自ら言わないであろうという言葉をあえてチョイス。文字だけでダサく見えてしまうという厳選ワードをにも注目だ。
エントリーデザイナー5名+代表紹介
No.1みゆき
普段は細部まで隙のない圧倒的な世界観を追求するデザイナー。別の一面に「カワイイのに可哀想」な物の哀れ表現が得意な無常感マスター。
No.2きりん
ポップ〜クールまで表現の幅は広く、アニメーション表現も得意。そのうえ仕事の手も早い。赤くて辛い食べ物好きなのに白い服を高確率で着てきてしまうチャレンジャー。
No.3レイ
アメリカ育ちの黒船文化を発揮する日本語ペラペラデザイナー。時折見せる独特の感性がアーティスティック。底知れないダークホース。
No.4TAKA
遅れてやってきた年齢不詳の三茶(三軒茶屋)が似合うお兄さん。その手から紡ぎ出すのはクールで洗練されたデザイン。今回振り切れた姿が見れるのか?!
No.5黒図
ジュニのデザインクオリティーを保つ屋台骨。息をするようにセンスの良い世界観を大量につくりだす。振り幅は無限大。
No.6岡村
ご存知ジュニの代表。なんでもこなす神業オールラウンダー。逆に何ができないのかわからない。
解説:平成オタク遊佐
平成11年生まれの22歳。生まれてもいない昭和〜平成初期の時代を愛する。バブル時代をオマージュした撮影など『時代ごっこ』を楽しむうちに、TVメディアにも取り上げられる。
6つのエントリーバナーを紹介
■No.1みゆき
デザイナーのこだわりダサポイント
あえて視認性の悪さにこだわりました。そこでタイトルは細めのフォントをチョイス。シャドウ、光彩、反射などの効果を思い切り詰め込みました。素材はあえてwordで制作。ホームページは、インターネット上の「家」ということで家の画像を使用。何を表現したいのかわからない、ゾワッとするような泡の背景パターンもキモダサポイントです。"詳しくはこちら”を入れるのを忘れていました。迫力はないけれど、デザイン素人が一生懸命つくった感にこだわりました。
平成オタク遊佐の見どころ
90年代の手作り感満載のHPを思わずにいられない「解像度の低いザラザラ背景」に一目惚れ。HP素材集から拾ってきたかのような「家」や「パソコン」が、そのまま貼り付けられたような無造作感に萌える。そして地球に喋らそうという発想にも脱帽。「メチャクチャ」と「カッコイイ」のフォントが微妙に違う細かいポイントも注目だ。
■No.2きりん
デザイナーのこだわりダサポイント
ドンキ○○○のポップのようなフォントでチープ感、背景に怪しい虹色グラデーショーンをおもいきり重ねました。あえて古そうなパソコンの画像を使用してデキない感を出しています。さらに、とにかくあらゆる要素にドロップシャドウ、ジャギらせる、余白をあまりつくらない、謎の色の組み合わせにしていくこと、画像は必ず引き伸ばすことを意識して制作しています。
平成オタク遊佐の見どころ
色使いとPRの文字から滲み出る自信に、怖くて震える。「ジュニ」の「に」の字が漢字の「二」なのがその恐怖を煽る。PCが見切れるほど大きく貼り付けられているのが、むしろ可愛らしく思えるほど。「詳しくはこちら」の先には一体何が待ち受けているのか…気軽に相談なんてレベルじゃなく、もはや肝試し。
■No.3レイ
デザイナーのこだわりダサポイント
ダサさに少しクレイジーな怪しさを追加。気持ち悪さを引き出すため、背景に濁りのある色味のグラデを使いその上に和柄をひきました。さらに目を引くために賑やかしのトウモロコシボーダーと少しキモ可愛いエイリアンくんと天使ちゃんも追加。テキストは重めの袋文字とドロップシャドーでダサさを演出しています。通常デザインではNGとされているチェック背景を活かしたパソコンの写真素材となぜかど真ん中に爆弾の上にあるボタンもポイントです。
平成オタク遊佐の見どころ
時代を退行させるダサさではなく、素材を喧嘩させて生み出した奇天烈感がすばらしい。ガラケー時代に赤外線通信でもらった「待ち受けにしたら金運が上がる画像」を想起させる。その上「CLICK ME」を押したらウイルスに感染しそうだ。日本人の9割がその発想に至らないであろう「宇宙人×とうもろこし」に天賦の才能を感じる。
■No.4TAKA
デザイナーのこだわりダサポイント
ポイントはたくさんあります。「タイトル下の下線が、目立たせなくていいのに無駄に立体的」「パソコンのイラストが雑でテキトーすぎ」「原色や蛍光色の色の組み合わせがおかしく視認性が悪い」「背景に英文を入れておしゃれにみせようとしているが、呪文ですか?みたいになっている」「メリハリがなく、整理されていないのでどこみていいかわからない」など。さらに細かいところでは、「社名ロゴの横のギザギザ何?」など書ききれないくらいあらゆるダサい要素を入れ込んでみました。
平成オタク遊佐の見どころ
バナーを見た瞬間に、カレーの香りを感じた。中心から神聖な光を放ち、中央からガネーシャが登場してきそうだ。右端の「最先端の…」が、「田舎の電信柱に括り付けられている、日焼けで一部分だけ文字が読めなくなった交通標語看板」を思い起こさせる。
■No.5黒図
デザイナーのこだわりダサポイント
自分の中でダサいデザインとは「昔のエクセルやワードで作ったデザイン」。そこで昔よく見かけたクリップアートの画像をそのまま使いました。画像は全てトーン&マナーの違うものをあえてチョイス。さらに、左下の黒い人のシルエットの切り抜きの雑さや手を組んでる人の画像の縁のボカシで素人感を。また、読みづらくなるように文字に袋文字やドロップシャドウなどの装飾を多用しています。かつてソフトを使えばいとも簡単にデザイン装飾が出来る事に感動して装飾過多だったあの頃の気持ちを表現してみました。細かいこだわりは、メインタイトルの鏡面反射をつける時に、本来床からの距離が離れるほど消えるところが白く残ってしまっているところです。ただ、なんだかんだ最終的に普段の癖でレイアウトとして収まりよく仕上がってしまった…
平成オタク遊佐の見どころ
こだわりポイントの「装飾過多だったあの頃」に感動。その初々しさからか、これだけトンマナの概念がなくても「一通り見てみよう」という前向きな気持ちになり、さらに華やかにしていいものを作りたいという無邪気な心意気を感じる。
■No.6岡村
平成オタク遊佐の見どころ
もしかしたら今、普通に存在しているかもしれない、そして過去こんなバナーが多数存在していたとも感じるノスタルジーと不安が表裏一体のバナーだ。電話マークは昭和のマッチでしか見たことがなく、さらに電話番号が重複しているので、絶対に信用できない。そして言いたい事が溢れた前のめりな気持ちが良く表現されている。
ダサさに刮目せよ!これがダサいの究極形。
ジュニメンバーとデザイナー各自が投票した結果、圧倒的1位となったのは…
No.3レイ
ダサさの概念を超えてツッコミの連鎖が止まらない強烈なXファイル感!
1位になったこのバナーを記事のタイトル画像に据えたので、このインパクトから気になって記事を読んでしまった!という方も多いのではないだろうか?
■デザイナーも認める他を圧倒するダサクオリティ
みゆき
見た瞬間大笑いしました。エイリアンとエンジェル、周りを囲むとうもろこしやPNGの画像が強すぎて完敗を認めるしかなかったです。自分の思い描いていたダサいと違う方向のダサさでインパクトがあり素晴らしい仕上がりです。
きりん
全員のバナーを並べてみたときに真っ先に宇宙人に目が行きました。ボタンがセンターだったり、引き(縮み)伸ばされたとうもろこしがフレームになっていたり、pngがそのまま貼られていたりと工夫が施されていて見れば見るほど面白かったです。とにかく驚かされました。
TAKA
まず見た時のインパクトがすごいです。脈力のないとうもろこしを強引に飾りに使っていたり、エイリアン、パソコン画像のレトロさや背景が切り抜かれていないところ、バナーのセンターにボタンがついているところが秀逸です。
■ジュニメンバーからのコメント
・宇宙人のセンス、Amazingにアメリカを感じる。これは普通出てこない。
・20年前のHP全盛期を思い出せて良かったです!!
・完璧な90年代の感覚を与えてくれた
・驚異的な発想力。選択されたアイテムのセンス。
・思わず笑ってしまいました!
「ダサい」の法則とその法則を超えたアメージングな世界観
「ダサい」とは、一体何がダサいと感じさせるのか。ダサさに法則はあるのか?その答えがダサいバナー選手権を通じて見えてきた。力作たちを並べてみると「素人感」「90年代」「全く違うものの組み合わせ」がヒントになりそうだ。そのキーワードで構成されたデザインを見るとツッコミどころが生まれ、ダサいという概念が生じるようだ。
バナー作品に多く共通したのは、日本人の2・30代がダサいと認識している、素人が真面目に熱い気持ちを込めた90年代のホームページブームを思わす世界観だった。
そこに今回新たな世界を見せたのは「最ダサバナー賞」に輝いた、宇宙人とトウモロコシの異色の作品だった。育ってきた国や文化が違うからこそのアメージングな世界観。最初にトウモロコシと宇宙人に目が行き、次に「Amaging」や「CLICK ME」などの細部に目が行ってもなお突っ込まずにはいられない。この止まらないツッコミの連鎖が素人と見せかけたプロの技なのだと唸ってしまう。
普段のデザイン業務とは真逆のダサい世界を突き詰めた今回の企画。ダサさの奥深さと、どんな仕事でも取り組むプロの姿勢を垣間見た。
次回もお楽しみに(未定)
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