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オタクの底力!Episode4

Episode1

https://note.com/junnene/n/nb7a352b83344

Episode2

https://note.com/junnene/n/na01c3452c7ac

Episode3

https://note.com/junnene/n/n81c98e186267


いよいよコンサート当日
コンサート会場には早朝から向かうので、ホテルで早めの朝食をとります。

宿泊した東横インはホテル毎に朝食メニューが違うので、それも楽しみのひとつです。博多の東横インは和食の種類が豊富で、明太子ももちろんありました!普段は朝にパンを食べる事が多いけど、その日はもちろん和食にして、美味しくいただきました。朝食が終わったらすぐにホテルを出発し、会場へ。

何故そんなに早く?コンサートって夕方からでは?

そう思う人も多いかと思いますが、オタクの楽しみ、コンサートグッズを購入する為です。

購入したいものが売り切れてしまっては困るので、欲しい物がある時は並ばないといけないのです。

私達も車を会場前の駐車場に入れて、焦る気持ちを抑えながらグッズ売り場に向かいます。妹に車椅子を押してもらいながら、購入場所に行こうとしたその時。「ガクン」という衝撃の後、私は道へ投げだされました。駐車場の道はガタガタで怖いなと思っていた矢先のことでした。

まだ車椅子の操作に慣れていない妹が操作を誤り、私は道に放り出されてしまったのでした。妹の焦る姿に私は痛さも忘れて「大丈夫、大丈夫!」と応えていましたが、実は肩から落ちたみたいで、手が上がりませんでした。
でも、それを言ったら妹が動揺するので、私は平気なふりをします。

どうしてか…

それは、妹の性格を知ってるから。

彼女は小心者で、何かあるとくよくよ悩み、気持ちの動揺が行動にまで出てくるので、何かあっては困ると思ったからでした。案の定、妹は顔面蒼白になりながら心配してきます。痛みをこらえて何事もなかったように会話をしていくと、だんだんと普段の妹に戻ってきたのでした。

私はよく脱臼をしていたから、たぶんそれだと気づいていたので、普通に装えていたのだと思います。痛みと戦いながらグッズ販売の時間まで待っていました。「購入したら、コンサートまで時間があるから、ホテルに帰って自分で肩を入れてみよう」と思っていたのでした。

その後グッズの販売が始まり、無事買いたいグッズを購入完了!

次は抽選場所に向かいます。オタクが大好きな特典付きの抽選です。
この時点で、痛みはピークにきていたのですが、この抽選ははずせません。なぜなら、当選すると推しに直接サインをもらうことができるから…

しかし、抽選場は人が多く、車椅子で行くのは難しい状況だったので、妹に抽選を託して車で待つことに。購入したグッズを見ながら待っていると、妹が走って帰って来るのが見えました。手には小さな紙を持っています。

な、なんと、当選していたのです!!!

1人のメンバーにつき、10名しか当選しない抽選に1回で当選したのです!なんという強運!

痛みを忘れそうなくらい嬉しくて!「あぁ、神様はちゃんと見てるのだな…」と本気で考えていました。だって、苦しいことがあった後には必ず良いことがあるっていうじゃないですか。(本気でそう思っています)

でも、この肩の状態ではコンサートを見るのも、推しに会うのも辛い状況だった為、一旦ホテルに戻ろうと妹に伝え、ホテルに戻ります。

ホテルに到着後、妹には飲み物を買いに行ってもらい、その隙に肩を戻してみようと試みました。皆さんは肩の脱臼の治しかたを知っていますか?脱臼していない方の手で脱臼している腕の肘を持ち上げ、肩をはめるのです。

言葉で言うのは簡単なのですが、「ウワァァー!!!」と叫ぶくらい、涙が止まらないくらい痛いです。一度では上手くいかず、本当に病院に行かないといけないかと思ったけど、何とか戻すことができました。(ちゃんと戻らない可能性があるので、おすすめはしません)

推しに会う為だったら、こんな痛みなんてどうってこと無くなるのがオタクです。(私だけかな?)

飲み物を買って部屋に帰って来た妹が、私が泣いているのを見て心配したのですが、「コンタクトがずれて痛すぎて…」とごまかしておきました。

その後は肩が痛いのにも関わらず、自分の外見を少しでも整えようと動き出しました。変わらないというのは分かっているけど、化粧直しと洋服の着替えをしたのでした!まだ痛みは残っているのに、オタクパワーで何でもやってのけます。

そして、いよいよ夕方になりコンサート会場へ

今回はツアーの初日なので、ワクワクは最高潮です。
おまけに、コンサート後には推しに直接会えるんですよ!
もう、浮かれないわけにはいきません。

席は車椅子席なので、後ろの方なんですけど、心はハッピー!
最高のステージを堪能いたしました。

終了後、いよいよサイン会の集合場所へ。

私と同じく当選した幸運な人たちが集まっています。

その場にいるだけで、幸せな気持ちでいる私は、これからオタクの争いが始まるという事を、その時はまだ知りませんでした。

サイン会はまず、当選した推しのグループ毎、一列に並んでいきます。ただ、今回の当選券には並ぶ順番の番号が書かれていなかったので(通常は番号がふってあり、番号順に並ぶそうなのですが、日本でのサイン会は今回初の試みだった為、番号が必要だということは想定されておらず、番号無しの状態でした)こうなるとオタクはどのような状態になるでしょうか?

「一番最後になりたい…」

オタクはそう思うのです。

オタク度が高い人程「どうぞ、先に」と言って他の人を、前に行かせようとします。私はオタク度は高かったのですが、舞い上がってそんなことを考える余裕もなくて、「ありがとうございます」と列の前のほうに行っていたのですが、スタッフさんが、当選した車椅子の対応に慣れていなかった為、どうして良いかわからず、スタッフ同士で相談した結果下した判断は、「車椅子の方は最後でお願いしたい」というものでした。最後を狙っていた人(今後は「ドウゾオタク」と命名)の眼の怖かったこと!

その表情を見て震え上がりました。

その後は各メンバー毎のグループに分かれて、サイン会場まで進んでいくのですが、ドウゾオタクはまだ諦めません。

最初、前に行く事を拒否しなかった私には、「もっと強く言ったら前に行くだろう」とでも思ったのか、何度も「前にどうぞ」と言って来るのです。その都度私は「大丈夫です、ありがとうございます。」とお断りしていたのですが、あまりにもしつこいので、しびれを切らした妹が、「本当に結構です」と瞬殺で断っているのを見て、相当イラっとしたのだろうなと思いました。(ちなみに妹は車椅子を押してくれていました)

その後サイン会の部屋に入ってからも、後ろに行こうとするドウゾオタク。

今度はスタッフに目を付けられ、阻止されていました。もう、ギャグマンガを見ているようで、スタッフがその場を離れるとすぐに、私の後ろに行こうとするのです。それを見ていたスタッフは私を後ろの壁の所に移動させ、後ろに誰も入ることができないようにしました。そうなると、ドウゾオタクは諦めるしかなくなったのでした。

オタクがどうして最後に行きたがるのかというと、メンバーと同じ部屋に長時間(サイン会が終わるまで)いれて、ずっとメンバーを見ていることができるからなんです。

サインが終わったらすぐに部屋から出て行かないといけないので、最前と最後では同じ空間にいれる時間が、随分違いますからね。

そうこうしているうちにサイン会が始まります

その日は日本で初めて実施されるサイン会だったので、メンバーも勝手が分からず、韓国でのサイン会に近いサイン会のように、結構話をしたり握手したりしてました。

それぞれメンバーで対応の仕方も違うので、見ているのも面白くて、それを最後まで見れるのだから、今回は最後で良かったなと感じたのでした。

そして、ドウゾオタクが終わっていよいよ私の番に

コンサートの感想などを必死で伝えている間、目を見てうなずいて最後までちゃんと聞いてくれます。(スタッフが途中で終了させるような事も無かったのです)そして、全て話終えサインを手渡しで受け取り、痛む手で握手をして「バイバイ(@^^)/~~~」と手を振りあって会場を後にしました。

もう、幸せ全開です!走れないけど、走り回りたい気分です!

ここで、ふと気づきました。

妹が、サイン会場に入っていた!

そうです。

「介助は途中でスタッフに交代します」と言われていたのに、スタッフが忘れていたみたいで、妹がそのままサイン会の中まで車椅子を押して行ったのでした。妹曰く「面白い体験ができたわ」というさめた感想をいただいて、その日は終了しました。

今回は幸せでしたが、車椅子オタクがオタク活動を続けるのには試練も待ちうけています。次回からは一人でのオタク活動開始です!
良かったらまた読みに来てくださいね!

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