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52ヘルツのクジラたち | 必ず呼応してくれる

久々に、読むって楽しい!
小説って、感情の擬似体験ができておもしろい!
と思える本に出会いました。


夜10時頃、ちらっと見るだけ・・・とページをめくったら、面白くてなかなかやめられず。最後の章は、翌朝、駅で人を待つ間に読み終えたのですが、あまりにも夢中になっていたので、銀行のカードを落としたのにも気づかず…トホホ。


買い物に入ったお店で、カードでのお支払いをしようといつも入れている場所を見たら無い!!と、焦りました。(いつも携帯電話ケースのポケットに入れているのですが…)


急いで来た道を戻り、駅員さんに事情を説明したら、奥から私のカードを持って来てくれて… 親切な方が拾って、届けてくれていたようです。約1時間の間の出来事。でももっと長い時間に感じました。感謝です♡



で、『52ヘルツのクジラたち』。
町田そのこさん作、中央公社。

他のクジラ達とは違う音(周波数)である52ヘルツの声を出すクジラがいた。同じクジラとはいえ、みんなと周波数が違うので仲間とコミュニケーションが取れない。その52ヘルツのクジラは、誰に届くかわからない音を出し生きている。


主人公のキコは、虐待を受けて育ち、でも「母親の愛情を受けられるのなら」、「母親が喜んでくれて幸せに生きていてくれるのなら」と、理不尽な状況も甘んじて受け入れていた。そんな彼女を救い出してくれる人に出会う。。。その人も他人からは理解されにくい環境にいた。

悲しい別れを経験しつつ、キコは周りの人に助けられ、新しい人生を歩み始めた頃、今度はキコと似たような傷を持った少年に出会う。キコにとってその少年は、自分のことよりも優先したい存在だった。

クジラも、登場人物たちも、自分たちが周りとは違うから、または少数派だから、声をあげても聞いてもらえない。ゆえに、声を上げることを諦めてしまった。それでも理解してくれる人たちと関わりあう中で、自分らしさを取り戻していくというお話でした。



きっと、読む人の立場や経験から受け取るものが変わってくると思いますが、わたしは、自分が母親であること、小さい子どもさんと関わっている経験からか、子どもと親/親戚、そして教師の関係の重要さ、そしてたった一人でも、一人の子ども(人間)の声を聞いてあげることの大切さを感じました。


(この本には、泣かせる箇所がいくつかありますが、特にわたしは、母親に対する感情についての記述に反応してしまう…。)

わたし、お母さんが大好きだった。大好きで大好きで、だからいつも…いつも愛して欲しかった。
お母さんが大好きだった。わたしの全てだった。

主人公の言葉

そして、核家族だったり、家族から離れた土地での子育てに苦しんでいるお母さん達の孤独さも浮かんで来ました。


核家族での子育てって、自由な部分もあるけど、自由だからこその孤独感が半端ない時があるー そんな日々をなんとかバランスを取りながら頑張っている女性たちの声も、実は、かなり限られた周波数であるのかも、と思います。

わたしも孤独だったので、バランスを取るのに必死でした。


他人と違う、少数派である、周りから理解されないー 
そういう状態になると、
『一人ぼっちの自分の声』より、周囲からの影響や大多数の意見の方が、大きく聴こえてしまうものです。

人間はどうしたって、人と関わって生きているもの。

例えたった一人だと思えても、必ず呼応してくれる人がいる、だから大丈夫。それがこの宇宙の法則だと思います。

とても良い本でした☆

表紙もかわいい












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