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海とばあちゃんと

「日本海の夕日が見たいんだ」

夫は密かにロマンチストだ。私たちは宮城県気仙沼市から山形県へと旅をしていた。

「海かぁ。いいね」

私は昨年亡くなった祖母を思い出した。海のすぐ側にあった祖母の家。

「ばあちゃーん」

祖母を呼ぶと「じゅんちゃーん」と返事が返ってきた。

畑で採れる胡瓜や茄子、夕顔、トマト。ばあちゃんの野菜は不格好だけど最高に美味しい。ばあちゃんは海を、なんでもない日常を、みんなを愛していた。

晴れた暑い日、畑から海を眺めるばあちゃん。

キラキラ光る海に顔を上げ汗を拭き、腰に手を回すばあちゃん。彼女はみんなのために野菜を育てる。恵みに満ちた海をいとおしそうに眺める。その姿は美しかった。遠くでセミが鳴く声が聞こえる。私は何年経ってもその光景を忘れられない。  

そんなことを思い出している間に日本海が見えるレストランに着いた。綺麗な夕日が私たちを出迎えてくれた。

日本海には、どんな素敵な物語があるのだろうか。

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