見出し画像

要するに、保活も悪くない、という話。

地味に保活を始める


保育園・こども園入園のための書類を役所に取りに行った。

3人目といえば手慣れたものかと思われるだろう。ところが上の二人は春~初夏生まれだったため、見込みも高く一般的な4月入園パターンだった。

冬生まれの娘となると、途中入園となるのでハードルが高い。私の住まいでは、希望した月からの入園ができなければその月から3カ月は申し込みが有効。それを過ぎれば変更届を出し更に3カ月の申し込み有効を続けるといった形であった。更に、その途中で次年度の4月からの申し込みも並行する。

混乱した。職場との兼ね合いどうしようか、ということに。

例えば10月1日からの入園で申し込みをしても、実際に入園できるか分かるのが9月中旬。その時に、「やっぱり入園できませんでした。働けません。」と急に言うと非常に申し訳ないことになるので、予め調整が必要である。

色々前倒しで、職場に確認しておかなくてはいけない。早めに確認や準備をするのに越したことはない。入園申し込みの書類を渡してくれた職員の方は、分かる範囲で丁寧に教えてくれた。

子供が生まれてからというもの、役所にお世話になる機会が格段に増えた。訪問する機会が増えていくたびに、ありがたさが身に染みる。きっと、来訪者から文句を言われることもあるだろう。理不尽さを突き付けられることもあるだろう。

「(そうは仰られても)こういうシステムなので…」

こう言うしかない状況もあるだろう。決まったシステムの中で、自由の範疇の中で工夫していく。しかし、決められたことはできて当たり前。そう考えると、役所で働くというのは難易度の高い職種の一つだと思う。

乳児の娘を連れて出かける機会はそう多くない。その中で、娘に嬉しそうな顔で声をかけてくれることがある。エレベーターで当たり前のように、お先にどうぞと勧めてくれる。施設に授乳室がある。きれいにしてくれている。おむつを捨てるゴミ箱がある。椅子が授乳用に柔らかく肘が置けるようになっている。

数限りない、人の配慮や、建物の配慮を感じる

私は、配慮する側でもあるし、配慮される側でもある。その、配慮される側に立つということで、それまでいかに自分の配慮できる範囲が狭かったか思い知った。

こういう配慮の仕方がある、ということに気づかなかった。


いつか失敗する、と言われた中学3年生


中学3年生の時に、ピアスを開けた。その当時、そうすることが格好いいと思っていたのか、自分が軽い存在になりたかったのか、そうすればモテると思っていたか、正確な理由は分からない。おそらく、その当時もはっきりとした理由なんていうものはなかった。

そして、担任の先生に個別にしっかり怒られた。何せ規則の厳しい進学校に通っていたので先生も怒らない訳にもいかないし、報告をするシステム等があって手間を増やしてしまったのかもしれない。

「(今はそれでいいかもしれないけど)いつか失敗する

その時に、先生に言われた言葉を、文面は非常におぼろげながら覚えている。ピアスを開けたぐらいでどうしてここまで言われなくてはならないんだろう。悲しかった。そんなにだめなことをしてしまったんだろうか。

振り返って、今分かることがある。

妊娠、出産をして、私は痛い目をみた。もちろんそれまでに悲しいことや悔しいことの一つや二つと言わず数十個数百個と積み重なったものはあった。

よくある話だから大したことない、訳ではない


妊娠、出産をして、その間に思い知ったこと。
身体の調子が悪いこと、気持ちが落ち込んで仕方ないこと、物理的に仕事を減らさないといけないこと、お願いしないといけないこと、周りから否定的な言葉を受ける可能性も承知すること。

こう見えても、体や心は不安だらけ


その時に初めて、弱い立場、というものが胸にストンと落ちた

分かったつもりになっていただけだった。何かをお願いしないといけない、迷惑をかけることを予め伝える、これが自分の自己肯定感をぎゅっと下げることになるとは思いもしなかった。

妊娠、出産、子育てはよくあることだ。ただし、よくあることだからと言って、その大変さや心もとなさが大したことない訳ではない

今になって、あの時先生に言われたことが少し分かる。自分ではどうしようもなく、配慮してもらい、肩身の狭さを感じる。そして感謝がじわりと湧き上がる。

色んな人に言ってもらったあれこれの伏線が、今になって回収されていく。年を取ることは少々寂しく、不安でもあるけれど、巡り巡って気づかせてくれることの多さに驚きもする。

4月でアラフォーになった私だが、子供の時に描いていた私になっているような、なっていないような。もっと精神的に大人になっている未来を想像していた。実際は、捉え方が少し前向きになっただけで、長所は長所のままだが短所も短所のまま。これからも振り返って、いや振り返らなくとも恥の多い人生になるだろう。

要するに、という言葉を使う時は大体要せていないという話もあるが。

要するに、保活も悪くない、という話。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?