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『日本の不思議な名建築111』執筆での気付き

日本の不思議な名建築111』(エクスナレッジ)という書籍を執筆した。3月27日に発売される。

「不思議な」というネーミングは、「一般的な」「普通の」という言葉の対義語のように捉えている。見ると心が動かされて「不思議だな…」と思わずつぶやき、「なぜこうなっているんだろう」と頭が動いてしまう建築物。「これでいい」ではなく、「こうでなければならない」という意思と迫力が伝わってくる建築。単なる適性解とは異なるゆえに、独特の存在感をもち魅力を放っている。

執筆にあたっては、実際に建築を見たときの感覚を大事にし、竣工当時の雑誌などで設計意図などを読み取りつつ、「なぜ不思議と感じるのか」という理由を紐解いてわかりやすく読めるように心がけた。

この本は約7年前の『日本の不思議な建物101』の情報改訂版。既出掲載分を取捨選択し、新規の建築物は24。撮影をしたフォトグラファー傍島利浩さんの精力的な行脚により、名実ともに全国版となった。不思議な名建築それぞれの魅力を、傍島さんはあえて正攻法ではない撮り方をして引き出している。よく見る有名な建築物でも、こんな表情があるのかと驚いたカットは多い。

そして増補改訂版ということで必要な個所を修正するため、過去の自分が書いた文章に対峙することになった。改めて読むと、ところどころで我ながら「なかなか面白いこと書くな、この人」と思った。自画自賛という熟語は、自分ではない誰か他の人が書いたように感じて、不思議な気分になることを意味しているのかもしれない。

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